第130話 告白
そして、待合室のソファーに二人並んで座る。
「それで、話したいこととかあるのか?」
「勿論先程の件です。私はあまり周りに知られたくありませんでした」
「どうして知られたくなかっんだた?」
「それには訳があるんです。勿論、大貫さんにも知られたくない事です。でも、大貫さんにはともかくあなたには、バレる恐れがあります。だから前もって言っておこうと。……私は。……私は」
まさか、西園寺綾みたいに、俺の事を好きとかそんなことを言わないよな。
いや、そんな様相は見えないからないと思うが、西園寺彩の時もいきなりだったんだよな。
そうなったら非常に困る。やめてくれ。
「私はお兄さまのことが好きなんです。……異性として」
あ、そっち?
全く予想だにもしてなかったな。
「それを今なんで俺に?」
「ばれたからです。……だから言わなきゃいけないと思って。だって、どうせバレますし」
「それは寛人には?」
「言ってません。彼なら大丈夫かなと思って」
「ならなぜ俺はダイジョブじゃないと?」
「貴方には彼女がいますでしょ。だから、勘でダメになるかなと」
「俺は、そんな感が強い方ではないけどな」
何しろ莉奈の好意に一年以上気が付いていなかったし。
「とりあえずこれは、俺しか知らない事なのか?」
それに対し、瑞樹ちゃんは首を一回こくんと降った。
「そうか」
なんだか責任重大な話だな。
「それは莉奈には話しても?」
「それはやめてください。できれば誰にも話さないでください」
という事は本当に俺にだけしか知られたくないのか。
となれば前述の文章が気になる。
何しろ、バレると思ったからばらした。その理由は彼女持ちだから。それなら莉奈にも当てはまるはずだ。
なのに、その莉奈に話してないというのは、気になる。
だけ度それを話すのもどうかと思う。その矛盾に彼女自身も気づいていない可能性もあるのだ。
「分かった。俺だけの秘密にしておく。それで、俺は何をすればいい?」
自身の義理の兄が好きだという彼女。
という事はつまり、俺にも協力を要請してくる可能性があるという事。
その場合、俺は先に先行で言った置いた方が良い。
「何をですか?」
「だから、君達の仲が良好になるためにだよ。今のところあいつはお前の好意に築いてないんだろ?」
「そう……ですね。お兄さんはそう言う兄弟同士で付き合うのはよくないと思ってる節がありますから」
こうしてみると、まるで漫画みたいな展開だな。
出来過ぎ展開ともいえようか。
兄弟が、一緒に暮らす中でみたいなさ。
大体そう言うのは、継母とかそう言う系だが。
「じゃあ、一個だけお願いしたいことがあります」
「できる事なら何なりと」
「それは、それとなく、お兄さんを誘ってほしいのです」
「誘う……」
「実のところ、お兄さんは、ほとんど私と出かけたことがないんです。……こういう特別な日以外は。……あの人は基本、自分が家族の幸せを奪っているとでも思ってるのでしょうな、それがまさに恨めしい。いまだに、家族に成れていないんですよ。お兄さんが、いつも外出するのもそれのせいなんですよ。私はお兄さんが好きであると同時に、お兄さんが嫌いです。家族に成ろうともしないお兄さんが。だから、それとなく、私に行ってください」
つまり、俺が彰人に妹さんと仲良くするんだぞと言って欲しい訳か。
「分かった。……そう言うなら、俺がそう言っておくよ」
「……助かります」
そう、頭を下げる瑞樹ちゃん。
「じゃあ、早速俺はお前たちの距離を縮める努力をするよ」
そう言って俺は彰人たちの元へと戻る。
しかし、二人をくっつけるってどうしたらいいのだろうか。俺と莉奈の場合は単に莉奈が告白したからという理由だ。
だから俺たちは恋人じゃない時期なんて知らない。
しかも俺に片思いしていた莉奈に相談することもできないと。
しかも義理とはいえ兄弟だ。
中々きつい条件じゃね?
軽い気持ちで受け入れてしまったと、今更ながら後悔してしまった。
さて、どうしよう。彰人は普通に考えて鈍感なタイプだ。あいつは絶対に、妹の行為に気が付いていない。ただの兄弟愛だと思ってても何ら不思議じゃない。
「さて、話は済んだのか?」
彰人がそう言うと、瑞樹ちゃんが「はい」と答える。確かに若干乙女の顔をしているような、していないような感じだ。
俺は一瞬瑞樹ちゃんの方見る。そして、話を切り出す。
「今度さ、文化祭云々が終わったら瑞樹ちゃんとお前と俺と莉奈で出かけたいんだが、良いか?」
俺はそう聞いた。その間に俺と莉奈でタイミングを見計らって抜ければいい。
いや、違うな。こいつらはいつも一緒にいてなお気づいてないという事だから、そのうえで援護射撃をしてやらなければならない。
「姉ちゃんは?」
あ、そうだった。美幸さんのことを完全に忘れてた。
「いや、怪我してるらしいから、一応省いただけ」
てか、よく考えたら自分の姉にも明かして無かったのか。それをどうして急に俺にと思うが、その答えは分からない。
「まあ、姉ちゃんの怪我が治ってたら五人で、治ってなかったら四人でって感じだな」
「ああ、そうだな」
ふう、何とか、話がまとまりそうだ。
そしてその十分後莉奈が戻って来たから、俺たちも学校に戻ることになった。
「しかし、これからが憂鬱だな」
怒られること間違いなしだろう。
「でも、私は楽しみですよ。優斗君と一緒に怒られるのが」
「それは楽しみにしないでくれよ。誰に怒られるんだろうな、相手によってはもう死んだほうがましかもしれない」
「そこまで言うんですか?」
「そりゃそうに決まってるだろ」
怖さしかないんだし。
「まあでも、優斗君だったら上原さんだけのせいにはしませんよね」
「そりゃそうだろ。当たり前だ」
「おう、俺はこんないい友達を持って幸せだ」
「うるせえ、誰のせいでこうなったと思ってるんだよ」
「あれ、急に怒られてる」
そして俺たちは校門の前に着いた。
「お帰り、三人とも。じゃあ、地獄へと行こうか」
そう、寛人はにやにやしていった。恐らく今から連行される場所は、職員室だろう。
「いやだなあ」
「さらに嫌な事を言おう。今回起こっているのは、福原先生だ」
あ、終わった。もう、死刑宣告じゃねえか。
「さあ、地獄へようこそ」
そう、俺たちの耳元でささやいた後、職員室に向かって、寛人は「連れてきましたー!!」と言った。
「そうか、問題児たちを連れて来たか」
そう、低い声で福原先生が言った。この時点で、寒気を感じた。
「お前たちは自分のやったことの意味を分かっているのか? 無断外出だろ!!」
その声は職員室中に響く。
「しかも、その服を着たまま。ちゃんと自分たちのやったことを理解しろ。そのメイド服や執事服は信用の証だ。高校としての文化祭で利用するという事で安く借りることが出来た。なのに、私用で、外に出るなんてそんな馬鹿な事をして、次借りたい生徒が借りれなくなったらどうするつもりじゃ!!!」
至極真っ当だ。
「しかも、この学校でメイドカフェをするという事はもはや周知の事実。なのにお前らがメイド服で出歩いた。それはもう不真面目な生徒がいるという事を知らしめること、強いては、学校の評判に傷をつけているようなものだ。その深刻さを理解できておらんのか?」
恐らくこの説教は後に一時間は続くなと思うとげんなりする。
これが、ただの押し売りとかだったらいいんだが、正論なんだよな。
そして最終的に、三人で「ごめんなさい!!」と言って三十分にも及ぶ説教は幕を閉じたのだった。
「はあ、最悪な目にあった」
「本当だな。でも、今日ほど執事服を着なくてよかったと思った日はないぜ」
「お前なあ」
「事実だろ。何があろうと、学校で借りた物を外に持ち出したのは事実なんだから」
「うぅ」
まさに正論だ。
「まあでも、結果的に怒られるだけで済んだのはよかったんじゃねえの?」
「そうだな」
「ええ、定額なんてならなくてよ渇アtです」
「だな」
そうして楽しい文化祭は幕を閉じるのであった。




