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クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


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第125話 豪運再び

 様々なクラスの中に、きちんとした展示をやっている所もあった。

 そこは、太平洋戦争の日本兵について調べていた。

 しっかりと調べられてると思った。


 だが、やはり面白さには欠ける。

 さっさとアミューズメントパークみたいな展示を見に行こうと思った。


 その次は、メリーゴーランドもどきをやってる展示だった。


「二人乗りが出来ないってところが残念ですね」


 そう莉奈が残念そうにつぶやく。


「まあ、仕方ないさ。だって、学校レベルだもん」


 むしろよくぞここまで豪華にしたと言いたい。何しろ、全部が段ボールなどで作られているというのに、ちゃんと回ってるんだから。

 よく手動でここまですごいものを作り上げたものだ。


「じゃあ、俺が先に乗るから、それを楽しんでみていてくれ」

「優斗君がおびえている様を」

「え?」


 そんな激しいのか?

 そう言う目で見たら確かに怖そうに思えた。

 ああ、そう思うと乗るのが怖くなってきた。


「優斗くん、怖くなってきたんですか?」


 莉奈のやつ、にやにやしてやがる。

 なんだか嫌だな。

 でも、乗らなければ何も始まらない。

 そしていよいよ俺の番が来た。


「乗るぞ」


 俺はそう言ってメリーゴーランドに乗る、すると同時に、体育系の部活に入っていると思わしき人たちが一気にぐるぐると走り回る。

 そしてそれに従い、俺の乗っている乗り物も回っていく。

 しかもものすごい速さで。


 そのスピードは想定以上だった。

 こんなに速いのか、こんなに怖いのか。

 ああ、油断していた。こんなに激しいなんて。

 降りたい降りたい。

 嫌だああ。


「どうでしたか? 優斗君」

「……休みたい」


 もう気持ち悪い。


「やっぱりですね」


 和退社分かっていましたよ勘を出すな。


 そして莉奈も乗った。莉奈は楽しそうに乗っている。

 何か負けたみたいで少しだけ悔しい。

 莉奈のやつ、なんでこんなに楽しそうに。


 そして、その後、俺は案の定しばらく動けない状態になった。

 吐き気が凄い。

 電気を使っていない、人為的なメリーゴーランドでも、俺はだめなのかと、軽く自己嫌悪をする。

 ああ、莉奈に「大丈夫ですか?」と言われている現状が恨めしく思ってしまう。


「俺は、少し休めば大丈夫だ」


 今が少し気持ち悪いだけで。


「とりあえずだ。莉奈は置いといて先に行ってくれていいよ」


 莉奈に強制的に乗せられたあの時と違い、今は自分の意志で乗ったのだ。

 あの時は莉奈許すまじという気持ちがあったからで、今は違う。


「おいていけるわけないじゃないですか。ほら」


 莉奈が俺に水を手渡す。その水を飲む。


「はあ、まだまだシフトまで一時間くらいありますから、全然大丈夫ですよ」

「そうか……」


 なら、心配いらないか。


 結局回復までは十五分の時間を要した。

 それでも、まだ少しふらふらする。


「大丈夫ですか?」


 相変わらず莉奈が心配してくれているが、俺は大丈夫だ。

 多分。


 そのまま次の場所へと進む。

 次に行きたいと思っていた場所は、ギャンブルコーナーだ。

 カジノもどきを楽しめるのだ。

 また、様々なゲームも付属してある。

 その中で、莉奈はルーレットのゲームを見つけた。

 そのゲームは、ルーレットの升目をかけ、当てたらかけたチップの数だけ、報酬が増えるという物だ。

 莉奈はそれに、「三十枚全部を、三に賭けます」と言った。


「本気か?」

「本気です」


 莉奈がそう言うと、軽いため息をついて、


「じゃあ、どうぞ」と、受付の人が言った。


 勿論ふつうはこんなことしない。何しろ、このルーレットは、三までじゃない。六十まであるのだ。

 その中の十個くらいに分散して賭けてで、元が取れるかどうかのゲームだ。

 そこを一点賭けなんて、遊びでも普通はしない。

 だが、莉奈だ。莉奈は幸運の女神に愛されている。

 莉奈なら出来るかもしれない。


「行きますよ」


 莉奈がそう言って、ルーレットを回す。すると、三に落ちた。


「やりましたよ、優斗君!」


 そう言って、莉奈は俺の手を取る。


「「えぅとこれで、千八百枚ですね」


 莉奈は千八百枚で高く積まれたタワーを押し出し、「ではこれを全部12に賭けます」と言った。


 周りの人が一気に莉奈を見る。全員冗談はやめろと言っているような目だった。

 流石に六十分の一、一回は運よく当たるかもしれない。でも、二回目はない。それも普通ならな。


「行ってください」


 莉奈は手を祈るように握る。

 そして、ボールが放たれた。そしてそれは事に入った。十二に。


「うおおおおおお」


 周りから大歓声が聞こえる。

 そして、莉奈の前に五万六千枚のチップが置かれる……なんてことは無く。


「流石にチップの数が足りないから、もう勘弁してくれ」


 そう言った。当たり前の話だ。


「なら仕方ないです」


 そして次は俺だ。

 まず、3,5,8,15,21,、37,41,48,51,59に賭ける。

 そして一回も当たることなく、六回でチップは無くなってしまった。

 そもそも当たる確率が少ないんだよな、これは。


「ドンマイです」

「お前がおかしいだけだったな」

「ですね」


 そして俺たちはそこも後にした。

 その次は、文芸部だ。


 そう言えば忘れがちではあったが、莉奈は文学少女。


「そう言えば、莉奈は最近小説を読んでいるのか?」

「そうですね。……最近は読む機会をなくしましたね」

「そうか」


 そして、置かれている小説を取る。部員の小説が入っているみたいだった。

 読めと、純文学っぽいのと、漫画みたいな小説があった。

 前者は俺には難しい、後者の方がいい。



「優斗君、この詩、素晴らしいですよ」


 莉奈が見せてきた。それを見ると、詩が書いてある。


「この詩、本当に心が詰まってるし、詩にしかできない感じの表現がなされてて本当にすごいです」

「莉奈、分かったから、落ち着け。俺には詩のすばらしさなんて分からん」

「えー。本当にですか?」

「当たり前だろ。俺は文学男子じゃないんだ。俺は少なくとも、ここら辺にあるアクション系くらいしか読めないんだ」

「えー、それは単に小説の体をなしてるだけで、真に小説の味を醸し出してるのはこちらだと思うのですけど」

「まあ、俺はどっちにしろ、小説よりも漫画の方が好きだ」

「変わってますね」

「変わってるのはお前だろ」


 だが、まあ、他のやつに比べて、莉奈の言った詩の方が良いのは認める。

 なんとなく。感じ的に美しいのも。

 ただ、俺に言えるのはそこまでだが。


 そして、このアクションもの。世界観が広くて面白い。

 前読んだラブコメよりも面白いかもしれない。

 俺はラブコメよりも、アクション系小説の方が好きならしい。


 そしてこのアクション小説。

 王子という立場ながら、それに嫌気がさして、国を出て冒険者として冒険に出るところからストーリーが始まっていくが、なんというか、王道で、わくわくする。


「俺、これだったら読めるかもな」

「そうですか。なら購入決定ですね」


 そして俺たちは五〇〇円を支払ってその本を買った。


「これで、あの人たちが小説を書く資金になってると考えたら、嬉しいです」

「……そう言えば、莉奈は文芸部には入らなかったんだな」

「だって、自分で書くもんじゃなくて、読むものですから。この前優斗君に読ませたのだって、あれからそこまで筆が乗ってませんもん。私は読む側でいたいです」

「そうか」


 あれ、あれ行こう全然進んでないんだな。

 その次は、野球部の疑似バッティングセンター。

 莉奈はどんどんボールを飛ばしていたが、俺は全然バットに当たらなかった。

 それは、ノック練習でも同じだった。

 そんなこんなで、一日目は全出し物の五割ほどをめぐって、終了した。


「今日の売り上げは」


 そう、理央が言う。


「六万円です」


 その言葉に教室が沸いた。勿論ここからレンタル料と、材料費を引くのだが、それでも打ち上げ代を売り上げから出せる可能性が出てきた。


「それと、打ち上げの話もしときたいんだけど、少しいいかな?」


 理央が言うには、打ち上げには、焼き肉店を予約しているらしい。そして全員食べ放題だ。

 だが、勿論それだけではない、カラオケも行くという事だ。

 売り上げから出る。

 最高じゃないか。


 売り上げから半分は学校側に徴収はされるが、半分は自由に使えるようになってるからな。


「打ち上げ楽しみですね」

「そうだな。というか、まずは明日だぞ」

「勿論わかってますよ。明日も頑張りますから」


 ちなみに明日は彰人も来れるらしい。

 それを聞いて一安心だ。


「それで……文化祭のカラオケ、私全力で歌いますから、優斗君応援お願いしますね」

「おう」


 そして莉奈は政府君着替え、俺も制服に戻った。

 とりあえず、俺たちのコスプレはとりあえずは終わりだ。

 だが、明日もまたある。それが楽しみだ。

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