表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスの女子と関わったことの無い俺の机の中に手紙が入っていたのですが  作者: 有原優


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/153

第103話 旅行

 そして翌日早速計画を立てた。温泉に行く計画だ。向かう温泉は、混浴目的として作られた温泉であり、カップルのための温泉だ。

 家からおおよそ三時間程度かかるらしく、俺たちは旅行としていくことに決めた。

 早速、火曜日、まずは莉奈の家に泊まり、水曜日に二人で温泉に行くという計画だ。そして、水曜日は二人で温泉に併設されているホテルに泊まる計画だ。

 そして、お金は全部莉奈持ちだ。


 そして火曜日、早速莉奈の家に行った。温泉道具を持って。


「優斗くんいらっしゃい!」


 そう莉奈が笑顔で出迎える。

 それに呼応して俺も「お邪魔します」という。


 まずは莉奈の部屋に入る。今日は前日とは言え、まだ一〇時だ。まだまだ遊ぶ時間はある。そして、早速俺たちは部屋でキングカートをして、外に出かけた。その先は、カラオケだ。二人でのカラオケは久しぶりだが、莉奈が相変わらずの上手い歌を歌ったことで、もちろん俺も楽しかった。流石は莉奈だ、今日の歌も期待を裏切らない。


 そして、莉奈の家に泊まった後、二日目、俺たちは混浴のお風呂に向かって電車に乗る。


「今日も優斗君と一緒にお出かけ……幸せです!」

「ああ、俺もだ。しかも今回は莉奈と一緒にお風呂入れるもんな」

「それに、私以外の裸も見れますよ」

「莉奈、一旦黙ろうか」


 まずい流れになっている気がする。


「えー、私の水着エロいって言ってたじゃないですか。それに、優斗くん地味に私以外の水着見てませんでした?」

「それは完全に誤解だな。俺はそこまでは見てない」


多少目移りした程度だ。別にガン見はしていない。


「そこまではってことは見てるじゃないですか」

「……」

「……私は寛容なので許します」

「おう、そうか。だけど、こういうのは水着を着ているからっていうものもあるし、別に裸に興味があるわけじゃないぞ」


 何しろ、結構莉奈の裸を見ているしな。


「それは本当ですか?」

「本当だよ」

「まあ、もし私以外の裸を見たら、即ビンタですからね」

「寛容じゃなかったのかよ」

「ふふ、冗談です」


 冗談かよ。


「そう言えば優斗くん、今日温泉だけじゃ物足りないですよね」


 ん? 温泉だけ行くと思ってたんだが。


「なので、これ持ってきました」


 そうして莉奈が見せてきたのは、遊園地のチケットだった。


「おい、それはどういう」

「もちろん遊園地で遊ぶんですよ」

「それは完全に聞いてないぞ」

「ええ、言ってませんもの」


 っくそ。しかも莉奈の場合絶対絶叫マシン得意なんだよな。

 普通に終わったかもしれない。

 何しろ、ウォータースライダーでもぎりなのだ。ジェットコースターに乗ったら死ぬこと間違いなしだ。


「なあ、莉奈」

「何ですか?」

「絶叫マシンとかに載せないでくれよ」

「え? 何を言ってるんです? 載せるに決まってるじゃないですか」

「なあ、破いていいか?」

「だめです。優斗くんは私とジェットコースターに乗る運命ですから諦めてください」


 こりゃあ駄目だ。何を言っても聞いてくれそうにない。

 ジェットコースターか。今日が俺の命日にならなければいいけど……。


 そして、そんな会話をしていると、一つ目の乗換駅に着いた。ここで、電車を乗り換えるのだ。


「そうだ、優斗くん。ここで何か買っていきませんか?」

「お土産的なやつ?」

「いえ、間食系です」

「おやつか……」

「はい!」


 確かにここから先も距離はある。新幹線内で何か食べないともたないだろう。


 そして、おにぎりと、軽いスナック菓子を買い、電車に乗る。莉奈が欲張ったせいで、思ってたよりも多くの量になってしまった。これ絶対宿に残るなあ、まあ莉奈はそれが目的だろうけど。

 新幹線の中で、スナック菓子を食べながら、進んでいく。あくまでも電車の中なのでこぼさないようにきをつけながら。


「そういやさ、莉奈」

「なんですか?」


 スティック菓子を手に持った莉奈がとぼけた顔でこちらを見る。


「やっぱりさ、ジェットコースター止めないか? 俺、今楽しくないんだが」


 まさに死刑を待つ罪人のような気分だ。


「私は楽しいですよ。それにご褒美が待っていますから」

「お前との混浴?」

「もちろんです」


 確かにご褒美ではある。だが、


「その前の罰ゲームが嫌なんだがな」

「そんなこと言わなくても。……それに観覧車とかコーヒーカップとか、ゴーカートとか、絶叫じゃない遊具もありますよ。それに確かアトラクションもありますし」

「じゃあ、ジェットコースターはやめてくれるか?」

「やですよ。それは確定事項です」

「そうか……」


 少しだけこの旅を後悔した。なぜこの可能性に気づかなかったのだろうか。


 そして現実は残酷なもので、新幹線はあっという間に駅までついた。今回ばかりは新幹線の速さを恨む。

 そして周りを見渡すと、大きな観覧車が見えた。

 ……遊園地、ふつう楽しいはずの物なのに、なぜ俺は遊園地を非常に恐れ、絶望の象徴としえ扱っているのだろうか。


「まずは遊園地に入りましょうか」


 そう元気に言う莉奈。


「待ってくれ、ジェットコースターは本当に勘弁してくれないか?」

「嫌です」


 そう言った莉奈の手により俺は遊園地の中に連行されていく。俺の意思など関係なく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ