魔法師の街へ
一週間ぶりの地面の上での睡眠は快適すぎて快眠だ。いつも目覚めの悪い私がこんなにもすっきり目覚めることができたのだ。地面って素晴らしい。快眠過ぎて改めて地面に感謝してしまった。
夜が明け、宿を出て、出発の時間だ。早朝から出発すれば徒歩で3日程度で次に向かう魔法師が集う街につくためもう出発することにする。
魔法師が集う街、そこには魔法師以外にも魔法を使える役職や魔術師が多くいる。また、彼らが集まるということは、魔法、魔術関連の供給もまた多く、店や書物また噂なんかも集まる。つまり、私が元の世界に帰る方法として一番考えられるのは転生または転移の魔法もしくは魔術のため、その街に赴けば方法とは言わずとも、何かしらの手がかり程度は手に入るのではないかと考えた。
港町を出て、東の方向目的の街に向かって歩いていく。この辺の魔物は人に対して害を与えないもの以外はほとんど狩りつくされていて魔法師が一人で歩いても安全だ。無駄な戦いをしなくていいのは無駄な時間もかからないしありがたい。しかし、ここまで害のある魔物がいないとあの港町で冒険者を始めた初心者は安全な近場で戦いの経験を得られないから強くなりずらいのではないだろうか。町の周りを安全にすることはいいことだが、初心者育成もしなければ将来あの町を守っていくはずの若者が育たないという問題もあって、両立が難しそうだと思う。
草むらからウサギが飛び出してきた。考え事をしながら歩いていたから少しびっくりした。ウサギにしては少し大きいな。ジャンプ力もウサギよりあるみたいだ。一応魔物なのだろうか。
まぁいい。魔物だろうが動物だろうが私を驚かせた罪は大きい。中級魔法で焼き殺してやった。美味そうにこんがり焼けた。どう食ってやろうか。
とりあえず一息付けそうな場所まで歩き、さっき殺したウサギを見ながらどう食うかを考えながらとりあえずナイフで皮をはぐ。美味そうにこんがり焼けた肉が出てきた。この肉を見ていたらかぶりつきたくなってきたので塩をかけてかぶりつく。
...うまい。この魔物めちゃくちゃ美味い。狩りやすいし、害がないからほとんど狩られていない。街に着くまでにもう少し狩っていこう。
それからウサギは見つけたら狩るようにした。しかし、なかなかにレアな魔物だったらしく出会えても一日1,2匹だった。余った分は干し肉にでもして保存食にしようかとも考えたが、一日で食べきれてしまうほどしか狩れなかったのであきらめた。
夜は見通しが悪く一日歩き疲れたので野宿することにする。この世界にも寝袋のようなものが売っていたので買ってきた。入ってみると思ったより寒さをしのげない。ないよりマシ程度だ。仕方がないので適当に薪になりそうな枝を集めて魔法で火をつけて寝ることにした。
仲間と冒険していた時は交代で見張りをしていたため安心して寝ることができたが、一人で野宿となると、この辺の害のある魔物は狩りつくされているとはいえ少し怖い。
...思ったより早く眠ることができたようで、気が付けば朝になっていた。ある程度野宿は慣れているとはいえやはり心地いいものではない。寝袋があったとはいえ硬い地面の上は痛い。枕がないのもまた寝心地がよくない原因だろう。携帯用枕を買うべきか。そんなものがあるのかは知らないが。
それからもう一日だけ野宿をして街についたのは3日目の夕方だった。行きかう人は杖を持ち、帽子をかぶり、ローブを羽織っているそんな人ばかりだった。いかにも魔法師だろうという見た目の人ばかりがまず目についた。魔法師が集う街。ここに手がかりがあればいいのだが。
...腹の音が鳴った気がする。3日間歩いたのだ風呂にも入りたい。とりあえず今日は宿を取り休むことにする。夜飯は先ほど見かけたギルドでいいだろう。ちょっとした情報収集もできるはずだ。それにこの街のギルドの料理も食べてみたいし、先ほど食料として狩ってきたウサギの皮なんかも売れるかも入れない。
そんなことを考えながら、安い宿で部屋を取り、宿の風呂で旅の疲れをいやし、夕飯時にギルドへ向かった。