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僕っ娘

 そのまま私は宿に、シャーリーはギルドへ戻り、夜が明けて次の日、私はギルドに来ていた。


 もうこの街で調べられることもなさそうなので、そろそろ旅に出る旨を二人に伝えに来た。それにあたってシャーリーにはそろそろ準備を始めてもらわないといけない。


 いつものウェイトレスさんにシャーリーを呼んでもらうように伝え、いつものように席に座って待つ。最近毎日来ているからか、自分なりのいつもの席というものがいつの間にかできていた。そのいつもの席へと向かう。


 しかし、今日は先客がいたようだ。女の子が私のいつもの席に座っている。少し残念な気持ちになったせいか、自分が思ったよりもかなり長い時間その席のほうを見つめていたらしい。その視線に気が付いたのだろう女の子がこちらに視線を飛ばす。


 とっさにそむけたつもりだったがおそらく目が合った気がする。それによく見たら少し見覚えのある容姿だったような。


 女の子のほうから席を立ち、歩いてくる足音が聞こえる。そんなに不快だっただろうか。謝らないといけないかなぁ。




「あれ、なんか見覚えあると思ったらやっぱり。昨日図書館にいたおねーさんじゃないっすか。」




 聞き覚えのある声と口調が聞こえてきた。怒っていないことはわかったので安心しながら振り向くと、昨日図書館で話しかけてきた女の子がいた。




「あぁ、昨日の...奇遇ですね。」


「僕もおねーさんも冒険者だしギルドで会うことはそこまで奇遇ってわけでもないんじゃないっすか?」


「それは、そうかもですね。」


「よかったらご一緒しません?一人でご飯食べるの飽きちゃっったんすよ。」




 昨日逃げるように帰っちゃったし、今日も変に視線送っちゃったし、さすがにそれぐらいはきいてあげないと申し訳ない気がする。




「いいですよ。私も人を待っていたところなので、良い暇つぶしになりそうです。」


「ありがとうっす。あ、あとため口でいいっすよ。多分おねーさんのほうが年上だし。」


「そう?わかった。私もこっちのほうが気楽でいいや。」


「なんか一気に距離が縮まった気がするっすね。やっぱ口調って大事なんすね。」




 確かに。でも初対面の人にいきなりため口使うのも違う気がするし難しいなぁ。




「そういえば自己紹介がまだだったっすね。僕はシャルロット。シャルでいいっすよ。」


「私は、モモ。そのままモモでいいよ。」


「いや呼びやすいのでねーさんと呼ばせてほしいっす。」


「モモでも呼びやすさなんて変わらないと思うけど。」


「ねーさんがしっくりくるんでお願いっす。」


「まぁ、呼び方なんてなんでもいいけど...」


「やった。」




 ねーさんとか師匠とか、私ってそこまで名前で呼びずらいのかな...


 まぁどちらも呼ばれて不快ではないし、なんなら名前よりうれしいまであるからそのままで全然問題ないんだけど。




「シャルは僕っ娘なんだね珍しい。」


「そうっすね。昔から僕って言ってたせいで、僕以外がなじまなくて。」




「そうだ。ねーさんなんで図書館のあのエリアにいたのか聞こうと思ってたんだ。」


「あのエリアって、地下の3属性以外の魔法の書物がまとめられていたエリアのこと?」


「そうっす。僕この街に来て何度かあの図書館に足を運んでるんすけど、あのエリアに人がいるところ見たことなかったんすよ。」


「あのエリアそんなに人気ないのか。」


「人気がないというか、この街の人は興味を持ってない感じっすね。」




 そういわれれば。司書さんすらあのエリアについては場所以外何も把握してなかったな。




「この街って、3属性については研究も最先端なんすが、それ以外の魔法について全くと言っていいほど研究しないんすよね。なんでかは知らないんすけど。」


「なるほどねぇ。それでシャルは何の本読んでたの?」


「おっ、それ聞いちゃうっすか?じゃああとでねーさんも教えてくださいね。」


「えっ。」




 聞かなきゃよかった。




「僕、魔法剣士なんすよ。」


「魔法剣士?珍しい、というか聞いたことない職業だな。なんとなく名前で想像はつくけど。」


「はい。ねーさんの想像通り、魔法を駆使する剣士っすね。駆使するといっても、基本的には剣にバフ魔法を付与して戦うことがメインなんで、光属性使いの剣も使える魔法師って認識でオケっす。」


「ということは光属性魔法の知見を深めに来てたってことか。」


「まぁ、そんなとこっすね。この街には人探しの旅の途中でふらっと寄っただけなんで特に新しい発見とかには期待してなかったんすけどね。」


「何か発見はあったの?」


「さすがにあれぐらいの量じゃ目新しい書物はなかったすね。」


「そっか。」


「次はねーさんの番っすよ。なんでねーさんは...」




 そうシャルが言いかけたところで、私たちは二人して誰かが使づいてくることに気が付いた。どうやら待ち人がやっと来たようだ。




「師匠遅くなってすみません。ちょっとお店の手伝いをしていて...」


 


 そういいながら私の前に座っている女の子にやっと気が付いたようだ。

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