告白
「私とさ、一緒に旅しない?」
シャーリーが肩をビクッと動かし、固まる。返事がない。
「い、いやわかってるんだよ。シャーリーはギルドマスターさんと暮らしてるし、この街も救えたから一緒に来るメリットないよね。わかってるんだけどさ...」
シャーリーといた一日が本当に楽しくて。そう言おうとした時だった。
「いい...ですよ。はい。一緒に旅に出ます。というか私からもお願いします。連れて行ってください。」
予想外な返答だった。今日一日私はずっとシャーリーを連れまわしてばかりで、街についてから口数が減ったのはそういったことに対して怒っていることもあるのだろうかと考えていた。
「え、いいの...?私てっきりシャーリーに少し嫌われてるのかもと...」
「...?何の話ですか?」
「い、いや街に戻ってきたときというか、神殿を出たあたりからシャーリーあんまりしゃべってくれなくなってたじゃん。てっきり振り回しすぎて嫌われたかと。」
「何言ってるんですか。私はただ、モモさんの魔法が頭から離れなくて、どうすればモモさんのようになれるのか考えていたんですよ。」
そうだったのか。安心した。
「それに私から旅についていきたいと切り出そうとずっとタイミングをうかがってたのですが、先を越されちゃいましたね。」
「そっか。とにかく今日からは仲間だね。改めてよろしくシャーリー。」
「はい。師匠。」
「し、師匠?」
師匠と言ったよな今。思わず聞き返してしまった。
「はい。私師匠のようになりたくて師匠についていくと決めたので師匠と呼ばせてください。」
「師匠か...なんかジジ臭いな...」
「お師様のほうがよかったですか?」
「様を付けられるのはもっと違うな。」
「じゃあ師匠でいきます。よろしくお願いします師匠。」
そんなこんなで今日唐突に弟子ができた。下位職の魔法師が上位職の賢者を弟子に持つというのもいささかどころではなくかなり変な気がするが、本人が望むのならば仕方がない。
夕食を食べ、弟子ができたところで、二人とも体力が限界に達し解散の流れとなった。シャーリーがギルドの奥へと帰っていくのを見届けて私も宿に戻った。
その日は、久々に魔力を大量に使ったことに加え、街について休む間もなく討伐に出たハードスケジュールもありすぐに眠りに落ちた。