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依頼達成

球体の状態はほぼ傷もなく、シャーリーがしっかり守ってくれたということだろう。




「シャーリーしっかり守ってくれてありがとね。ちょっとやりすぎちゃった気がしたから。」


「本当ですよ。シールド壊れないように維持するの大変だったんですからね。」


「ごめんごめん。」




 そういえばこの機械って結局なんの機械なのだろうか。




「これって結局何なの?」


「これは私たちの街に魔物や魔族が入ってこないようにするための結界を作る魔力装置です。装置の性質上結界の中で結界を作ることはできないので街から少し離れた場所に設置しているんです。」


「なるほど。魔力供給とかどうしてるの?」


「その辺は魔力供給を交代で行う職業があるらしいですね。」




 そんな職業あるのか。私なら一人でずっと供給できるからそれなりの額もらえそう。




「ちなみにさっき倒したゴーレムって実はこの神殿と装置を守っている魔力人形なんですよね。」


「そうなんだ。なんで暴走したの?」


「それがよくわかってないんですよね。しかもあのゴーレムって古代魔法で作られたもので、今ではあの街で作れる人いないらしいです。」


「え、じゃあ守りどうするの?」


「引退した高ランク冒険者がこのあたりに家を建ててみてくれるみたいですよ。」


「それならよかった。」




 ちょっと街から外れたところで余生を楽しみたいとかだろうか。スローライフにあこがれる気持ちは少しわかる。


 


「そろそろ帰ろうか。」


「そうですね。」




 ゴーレムのかけらを一つ回収して街に帰ることにした。




 案外早く片付いたので日が暮れるころには街についた。シャーリーは結構疲れた顔をしている。初めての戦闘であれだけ魔力を一気に使ったのだ無理もないだろう。




「お疲れシャーリー。確かギルド併設のギルドマスターの家に住んでるんだよね?私も報告に行くから一緒に行こうか。」


「そうですね。」




 朝に比べて口数が明らかに減っている。良くついてきてくれたと思う。私だったら初の戦闘を含む冒険でこんなに過酷だったら冒険者やめてるだろう。勇者の強さに恵まれて甘やかされてきてほんとに運がよかったと思う。




 ギルドまでの道のりで街の人々を何人か見かけたがこの街の人は本当に危機感がないのか、シャーリーやギルドマスターがゴーレムにあの装置を壊されるとまずいとあれほど焦っていたのにもかかわらず、街の人に焦っている様子は全くない。単純に知らないだけか、それとも何かほかに理由でもあるのだろうか。




 そんなことを考えながら歩いていたらいつの間にかギルドの目の前についた。ギルド内からは楽しそうな騒音が聞こえる。相変わらず危機感がないなぁ。まぁ、ここにいる人たちは仮にこの街がなくなっても食べていける人たちなのだろう。


 扉を開ける。するときれいなウェイトレスさんがいらっしゃいと元気に声をかけてくれた。とりあえず席に着き、ギルドマスターを呼んでもらった。




「何か食べようか。昼のお弁当以来何も食べてなかったね。」


「はい。もうおなかペコペコですよ。」


「ちなみにおすすめってある?」


「うーん、あんまり名物といった名物はないですね。この辺は牛がおいしいらしいですけどほかの地域のを食べたことがないのでなんとも...」




 牛か。最近ウサギばっかり食べてたからありだな。




「おう、モモにシャーリー二人とも無事に戻ったか。そういえば今日も勇者さんは来てないのかい?」


「そのことなんですけどお父様...」


「あ、えっとですね」




 シャーリーの言葉を遮るように口をはさむ。




「勇者は意外と多忙でして...私は魔法師としてこの街で見たいものがあるので今回の報告がてら私だけこの街に少し残ることになりまして、勇者達は先に次の街に旅立ちました。」


「そっかぁ。勇者さんたちのことだからゴーレムも倒してくれたんだろ?」


「それはもちろん。これがゴーレムの破片ですよ。」


「おぉ。これは間違えなく奴の破片だ。ありがとうな。報酬は明日までに用意しておく。今日は疲れただろう。ここで好きなだけ食べていけ。」


「おぉ。タダでいいんですか?ありがとうございます。」


「あぁ。どんどん食べてくれ。シャーリーもお疲れさん。いっぱい食べな。」


「うん。」




 そう言ってギルドマスターは去って行った。お言葉に甘えて牛料理を中心に値段が高く普段あまり手を付けないものを頼んだ。


 シャーリーはお気に入りの料理があるらしくそれを頼んでいた。




「モモさん、さっきなんで本当のことを言わなかったんですか?」


「あぁ、言ったでしょ?私普段はあの能力隠してるって。」


「聞いてないですけど?」


「あれ、言ってなかったっけ?ま、まぁそういうことだからあまり口外しないようにね。」


「はい。わかりました。」




 おそらくシャーリーなら言いふらすこともないだろう。今日一緒に過ごしてそれは確信した。しかし、彼女にはいろいろと話しすぎた気がする。そして、今日一緒に冒険ともいえないが依頼をこなして彼女といることがとても楽しくなった。一か八かだが聞いてみてもいいだろうか。




「あ、あのさシャーリー。」


「は、はい。」




 心なしかシャーリーが話しかけられたことに驚いている気がした。昨日初めて会った時のように。




「あ、あのさ...その、よかったらなんだけど...」


「はい...」


「私とさ、一緒に旅しない?」



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