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ゴーレム討伐

神殿だろうか...石造りで吹き抜けのやたら神々しい建物にたどり着いた。




「ここです。ここにゴーレムがいるはずです。」




 今回の依頼について詳しいことはシャーリーが分かるというので私はゴーレムに魔法耐性があること以外はほとんど知らない。ここまで来たのも彼女に付いてきただけだった。




「なんかぼろいのにきれいに見える不思議な建物だね。」


「この建物はうちの街を魔物から守るには重要な場所なんですよ。ゴーレムはこの建物を壊そうとしているはずです。」


「なるほど。意外と頭がいい魔物なのか、裏に何か操っている者がいるのか。」


「それはわかりませんが、今はとりあえず壊される前に討伐しないといけません。」


「そうだね。探そうか。」




 そいつは神殿の最深部にいた。何かを壊そうとしている。なんだろう球体状で見たことがない...なにかの魔力装置だろうか。




「あれなに?」


「まずいです。早く止めますよ。」




 答えてくれなかった。そんなに焦るほど壊されたらまずいものなのだろうか。


 ゴーレム...私が前に倒したものに比べて大きい。この巨体で魔法耐性も持っているとは、倒せるか不安になってきた。




「よ、よし。シャーリー光属性使えたよね?シールド魔法出せる?」


「出せますよ。というか少し顔が引きつってますけど、もしかして倒せないかもなんて思ってます?」


「い、いやそんなことないよ。とりあえずシールドをあの壊されたくない球体のほうに張って。」


「え、私たちがあいつに攻撃すればこっちにヘイト向いてあの装置に攻撃しなくなると思いますよ?」


「違うよ。私が壊すかもしれないから。とりあえず早く張って。」


「え?あ、はい。」




 そう言うとシャーリーは球体の前にシールドを張るために杖を構え魔法構築を始めた。ゴーレムは球体に夢中でこっちに気付かない。




「とびっきりのシールドを頼むよ。なんなら魔力すべて使う勢いでもいいよ。」


「わ、わかりました。ちょっと時間かかっちゃうんで待ってくださいね。」


「了解。」




 3分ほどたっただろうか。シャーリーの魔法構築がほぼ完成したように見える。しかし、あの球体見た目のわりに耐久力あるんだな。こうして魔法構築中で手が出せない間もゴーレムはあの球体を破壊しようと攻撃していたが、ほぼ傷ついていない。そこまで急ぐ意味もなかったのではないのだろうか。




「モモさん。シールド準備完了です。もう張っていいですか?」


「いいよ。じゃあ始めようか。」




 シャーリーがゴーレムの目の前にシールド魔法を張る。ゴーレムの攻撃はシールドに跳ね返される。不審に感じたのかやっとこちらを向き、私たちの存在に気が付く。そしてこちらへ向かってきた。シールドの大本が私たちだと気が付いたのか、それともただただ侵入者を排除しようとしたのか。


 とりあえず向かってくるなら迎撃するのみだ。




「見てなよシャーリー。ちょっと本気で魔法使ってみるから。」


「シールド張るの結構大変なので早くしてほしいです。」


「了解。すぐ終わらせるね。」




 向かってくるゴーレムに杖を向ける。私が使える唯一の上級魔法。巨大な炎の球体を生成し放つ魔法。特に正式名称などはないが、世の中の人は炎属性魔法の代名詞のような魔法なので[フレイム]と呼ぶらしい。


 私はフレイムを杖の先に魔力を集中して構築する。そしてその構築にかかる時間を魔力で無理やり短縮する。はたから見ると杖の先に魔力を集めた瞬間フレイムが生成されたように見える。横目にシャーリーが少し驚いた顔をしたのが分かった。上級魔法を魔法構築短縮で生成したのは初めて見たのだろう。


 とりあえず一発当てて様子を見ることにした。炎が当たり煙が立ち込める。


 煙が晴れるとほぼ傷がないゴーレムの姿が現れた。




「わかってはいたけどほとんど効いてないね。」


「まさか今のがごり押しじゃないですよね?全く効いてませんけど。」


「わかってるよ。今から本気出すからまぁ見てなよ。」


「はぁ。とにかく疲れてきたので早くお願いします。」




 ゴーレムにはほぼ傷はなかったが、よく見ると少し傷はついていた。魔法耐性も耐性なだけで効かないわけではない。しっかり少しでもダメージは入ることが分かってよかった。


 杖の先に魔力を集中し構築過程を短縮して約1秒足らずでフレイムを作り出し放つ。そして放った瞬間に次のフレイムを作り出し放つ。そしてまたフレイムを作り出して放つ。これを繰り返した。


 大体20発ぐらいはなっただろうか。煙で前が見えないが手ごたえはあった気がする。


 煙が晴れるとそこには崩れたゴーレムのだった岩と驚愕したような顔でこっちを見ているシャーリーの顔があった。


 


「どうしたのシャーリー。そんな開いた口が塞がらないみたいな顔して。」


「いやいやさっきのはなんですか。あんなに魔法連続で放てる人見たことないですよ。しかも上級魔法のフレイムを。」


「だから言ったじゃん。ちょっと本気出すって。」


「ちょっとって何ですか。ほんとに何者なんですか。」


「何者って...ただの魔法師だよ。ちょっと強すぎる能力持ってるだけのね。」


「はぁ...」


「そうだ。例の球体は大丈夫かな。」


「大丈夫ですよ。モモさんの魔法が激しすぎてほんとにシールド張るの大変でしたけど。何とか歩けるぐらいには魔力残ってます。」


「それはよかった。なら依頼はクリアだね。とりあえず球体の状態とか、ゴーレム討伐した証になるものとかその辺探って帰ろうか。」


「そうですね。」




 私たちは神殿内の探索を始めた。

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