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あれ

作者: 戯画葉異図
掲載日:2021/11/09

 あるところで、ある二人組が話している。エーとビーとでもしておこう。


エー「なあ、お前」

ビー「どうした」

エー「前のさ、ほら、あれ、どうしたんだったかな」

ビー「あれ、ってなんだ」

エー「あれはあれだよ」

ビー「それじゃあ、分からない」

エー「あれって言ったら、あれしかないだろう。お前も見たものなんだし」

ビー「分からないな。特徴を言っておくれ」

エー「小さかったな」

ビー「小さいのか。しかしそれだけでは、やはり分からないな」

エー「こないだ食べたやつの、その切れ端だ」

ビー「切れ端」

エー「そう、切れ端。その部分は食べられないと言ったのは、確かお前だった」

ビー「ああ、あれか、分かったぞ」

エー「分かったか」

ビー「ああ、分かった。確かに俺が、食べられないと言った」

エー「それを、結局どうしたんだったかなということを、訊きたかったのだ」

ビー「あれは確か、庭のどこかに埋めたのではなかったか」

エー「埋めた」

ビー「お前が、埋めれば何かが育つかもしれないと言ったのだ」

エー「ああ、そうだったか。そうだったか、思い出したぞ。そうだったか」

ビー「そうだとも。しかし俺の考えるに、あれからは何も育たない」

エー「どうして分かるのだ」

ビー「あれは植物の種ではないし、大根のてっぺんのようなものでもないからだ」

エー「じゃあ、何かが生えてくることはないのか。せっかく埋めたのに」

ビー「ああ、そうだ。きっと今頃あれは、地中で腐敗しているに違いない」

エー「残念だ。こないだ食べたやつは美味だったから、同じものがまた食べられればと思ったのだが」

ビー「切れ端だからとは言え、トカゲのしっぽのようにはならないさ」

エー「チェッ、また別のを捕まえてくるしかないか。久しぶりに、都会へ進出というわけだ」

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