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001 幼女は旅立ちの準備をする

 10歳の誕生日に、トンちゃんとラテちゃんとプリュちゃんとラヴちゃんの4人からスピリットフェスティバルの招待状を貰った私は、早朝からいそいそとお出かけの準備をしていた。

 スピリットフェスティバルとは年に一度ある精霊さん達のお祭りの事だ。

 本来は人がそのお祭りに参加する事は出来ないのだけど、特別に許可を貰えたらしくて、私はトンちゃん達のおかげで参加出来るようになったのだ。

 私はまだ見ぬ絶対に可愛い精霊さん達が集まるお祭りに心を躍らせながら、鼻歌まじりに荷物を確認していると、ママが私に話しかけてきた。


「ねえ、ジャスミン。それ、リリィちゃんからのプレゼント?」


「う、うん」


 ママが私の太股から見えている白のガーターベルトに目を向けて訊ねるので、私は一瞬だけ硬直して返事を返した。


「可愛いじゃない。よく似合ってるわよ」


「あはは。ありがとー」


 リリィからプレゼントを貰った時は、リリィが鼻息を荒くしていたのもあって、凄く微妙な気持ちだった。

 だけど、実際に着けてみたら結構可愛くて、ガーターベルトは何気に私のお気に入りになっていた。


 私がママにお礼を言うと、それを聞いていたトンちゃんが荷物を見ながら私に話しかける。


「あれ? ご主人、いつものパンツじゃないッスね」


「うん」


 いつものパンツ。

 それは、天使の輪っかと羽がプリントされている白いパンツの事だ。

 ちなみに、私は同じパンツを10枚持っている。


「私ももう10歳だから、色んなパンツを穿く事にしたの」


 私が答えると、トンちゃんは私をジト目で見つめて話す。


「そんな事言って、本当は変なあだ名をつけられない様にする為ッスよね?」


「うっ」


 私は図星をつかれて、変な汗をかきながらトンちゃんから視線を逸らした。

 不老不死になる前の嫌な思い出が甦る。


 だって、いつも同じパンツばかり穿いてたから、皆が私の事をパンツで判断するんだもん。

 純白の天使だとか、パンツの女神とか、もう言われたくないもん。


「そんな事より、ちゃんとパンケーキの素は荷物に入れたです?」


 ラテちゃんが私の頭の上に飛び乗って、私の頭をペチリと叩く。

 私は苦笑しながら荷物を入れる鞄を開けて、パンケーキの素を入れている箱を見せて、ラテちゃんに答える。


「大丈夫。ちゃんと入れたよ」


「それなら問題無いです」


「それに、ラヴちゃんの為にお煎餅もって、あれ? プリュちゃんとラヴちゃんは?」


 私は自家製のお煎餅が入った小箱を取り出して、この場にプリュちゃんとラヴちゃんがいない事に気がついて訊ねると、ママがニコニコと顔をほころばせながら答える。


「プリュイちゃんとラーヴちゃんなら、リリィちゃんの事が待ち遠しくて、玄関を開けてお座りしながら待っていたわよ」


 え?

 何それ可愛い。

 2人の様子を見に行かなくっちゃ!


 と、私が玄関に向かおうとすると、ラテちゃんが私の頭をペチリと叩く。


「ジャス。そんな事をやってる暇はないです」


「うぅ。そんな事って、私が何をしようとしてたか分かるの?」


「どうせ、プリュイとラーヴのお座りを見に行こうとしたです!」


 ……はい。

 仰る通りです。


「さっさと準備を終わらせるです」


「はい……」


「ご主人、肌着が入って無いッスよ。しっかりするッス」


「はい……」


 私は先程とは打って変わって、プリュちゃんとラヴちゃんの可愛い姿を拝めない事への悲しみで、力無く肌着を準備する。


「しっかりするです。スピリットフェスティバルの会場まで、ここから飛んで行っても三日はかかるですよ」


「飛ぶ前提で3日って、凄く遠いよね」


「そうッスね~。でも、ご主人とハニーじゃなきゃ、もっとかかるんスけどね」


「そうなんだ?」


 まあ、確かに自分で言うのも何だけど、私は魔法で空を飛ぶの結構得意だもんね。

 それに、リリィも魔法を使わないのに何故か飛べて、しかも私より速いんだよなぁ。

 リリィの飛行の原理って、どうなってるんだろう?

 凄く謎だよね。

 本当にリリィはチートだなぁ。


 私がそんな事を考えていると、私達のお話を聞いていたママが、ため息混じりに呟く。


「でも心配だわ。本当はママとパパもジャスミンが心配だからついて行きたいのだけど、ママもパパも飛べないし、かえって足手纏いになってしまうものね」


「リリィも精霊さん達もいるし、心配しなくても大丈夫だよ」


 心配するママに私が笑顔で話すと、ママは私の笑顔を見て微笑む。


「そうね。でも、十分に気をつけてね」


「うん!」


 私が元気に返事をすると、丁度その時、玄関の方からプリュちゃんとラヴちゃんが走って来た。


「主様ー! リリさんが来たんだぞー!」


「ジャチュー! リリ来たー!」


「わっ。早くしなきゃ!」


 私は急いで腰かけポーチを腰に巻いて、荷物を入れた鞄を背負ってから、玄関に向かって走り出す。

 すると、トンちゃんは私の右肩に座って、プリュちゃんは私の左腕にしがみつき、ラヴちゃんはポーチの中に入った。


「うふふ。ジャスミン、いってらっしゃい」


「うん。ママ、行って来ます!」

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