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108 幼女は残念結果の反省会をする

「最年少天才魔性のバニー幼女ディーラーじゃないよぉ! 私のバカー!」


 時刻は夜。

 お星さまが夜空に煌めいて、あたりもシンと静まりかえった遅い夜の時間。

 加護を使った通信ができないから、カジノから外に出る事はできないだろうと内心覚悟していたのだけど、全然そんな事はなかった。

 私はオペ子ちゃんやモブ顔のお姉さん、それから一緒に働いていた何人かのお姉さん達とバイバイして、秘密基地に帰って来ていたのだ。


 今は幼くなったハッカさんやレオさんは眠っていて、ノームさんが秘密基地の外で見張りをしてくれている。

 私は自分のおバカ加減に頭を抱えて、ハッカさんとレオさんが目を覚まさない様に声を抑えて小さく叫んでいた。


「結局ずっと仕事してたなのですね」


「ジャスってさ~、ホンット馬鹿だよね~」


「流石にラテもどうかと思うです」


「うぅ……」


 自分でもそう思います。


 はい。

 そうなのです。

 私は、結局一日中ずーっとディーラーのお仕事をやっていたのです。

 そして、オぺ子ちゃんと「明日もお仕事頑張ろうね」なんて言って別れて今に至る無能っぷり。

 ダメダメすぎて穴があったら入りたい。


 そして、どうやらダメダメなのは私だけでは無かったようで……。


「ハニーにしては珍しいッスね」


「そうは言うがなドゥーウィンよ。妾にも流石に今回ばかりは荷が重いと感じるのぢゃ。リリィとてそれは同じぢゃろう」


「そうね……。本当にどうしましょう……」


 なんと、あのチートで何でもかんでも暴力で全部解決しちゃいそうなリリィが、手も足も出ずに猫喫茶に入る事すら出来ず帰って来たのだ。

 しかも、プリュちゃんが猫喫茶にいるとわかっていたのにもかかわらずだ。


「やっぱり強行突破だ! リリィ=アイビー! それしかないわ!」


「ニャーもそれが良いと思うにゃ」


「そんなの出来るわけないでしょう!? ぶっ殺すわよ!」


「リリーの言う通りぢゃ! 其方等、もし無理にでも押し入ろうとしてみよ! その時は妾とリリーで其方等の首を落としてくれるわ!」


 マモンちゃんとナオちゃんが2人揃って面倒臭そうに顔を顰めてため息をつく。


「何かしらの成果があったのって、結局私とスミレだけってマジ最悪じゃん」


「カジノの建物内に龍少女とナンパ鬼と蛇女の他に、光と闇の大精霊様がいたって話ッスか?」


「そーよ」


 セレネちゃんがドヤ顔で微笑む。可愛い。

 って、そうだけどそうじゃなくて、セレネちゃんとスミレちゃんはお仕事をサボって色々調べていたようだ。


 まず、セレネちゃんはこっそり3階に行っていたらしいのだけど、そこにはスーツを着た鬼人のロークとバニーガール姿の蛇のお姉さんがいたらしいのだ。

 そこにはクラップスと言うゲームがあって、2人はそこでディーラーをしているらしい。


 次にスミレちゃんだけど、セレネちゃんに協力してもらって4階まで行っていた。

 4階には1階より高い賭け金で賭け事が出来るルーレットがあって、闇の大精霊と龍族の女の子マーレの監視の下で吸血鬼達がディーラーをやっていたらしい。

 スミレちゃんが、闇の大精霊とマーレの会話を隠れて聞いた情報によると、光の大精霊も何処かの階にいるらしい。

 1階から4階にかけて光の大精霊を見ていないので、恐らく最上階6階の手前である5階にいるはずだと予想できる。


 ちなみに余談として、スミレちゃんは最初闇の大精霊を見た時に、ただのお客さんだと思って「いらっしゃいなのー」って適当に挨拶して睨まれて怖かったと言っていた。


 とにかくだ。

 目的とは違っていても、それなりに情報という成果を得たのはセレネちゃんとスミレちゃんだけで、私もリリィも何も無しで終わってしまったのだ。

 このままでは不味い……と、私が思っていると、トンちゃんが「それなら」と提案する。


「もういっその事、ご主人が猫喫茶にプリュイに会いに行って、ハニーがカジノで僕っ娘の所に行けば良いんじゃないッスか? カジノの方が結構危険そうッスし」


 トンちゃんの提案は凄く魅力的だった。

 だけど、私はそのお話に乗れない理由がある。


「オぺ子ちゃんと、明日もお仕事頑張ろうって言っちゃったし、嘘つきたくないから出来ないよぉ……」


「真面目ッスね~」


「ジャチュ、うちょちゅかない。えらい!」


 ラヴちゃんに良い子良い子と頭を撫でられて、癒され幸せになる。

 私がラヴちゃんのおかげで癒されていると、リリィが真剣な面持ちで口を開く。


「私もこのまま引き下がるだけでは終われないわよ。絶対プリュをジャスミンの許に連れて帰るわ」


「そうぢゃな。妾もこのまま引き下がるなど出来ぬのぢゃ」


 リリィとフォレちゃんが頷き合う。


「ねー。あのさ~、思ったんだけど、ジャスは今から自分の家に帰ってみればいんじゃない?」


「え?」


「ジャスの親から情報聞けるかもだし、って言うか、プリュイだって夜は帰って来てるかもじゃん」


「あ~……そっかぁ。確かにそうかも」


 言われてみればと私は考えた。

 お話によればプリュちゃんは猫喫茶でウェイトレスをしているみたいだし、別に何処かに閉じ込められているわけでは無い。

 そう考えたら、もしかしたら私のお家に帰って来てるかもしれないのだ。

 それに、久しぶりにパパにも会いたいしね!


 私はこくりと頷いた。


「うん。一度お家に帰ってみるよ」


「決まりッスね。勿論ボクもついて行くッスよ」


「ジャスミン様、大変申し上げにくいのぢゃが……」


「うん?」


 私がお家に帰ろうと意気込んでいると、フォレちゃんが申し訳なさそうに話して言葉を濁し、私は首を傾げた。

 すると、フォレちゃんの代わりにリリィが言葉の続きを話す。


「プリュは別の場所で寝泊まりしてるみたいよ」


「え? そうなの?」


「ええ。何処でとまではわからないけれど、そう聞いたわ」


「そっかぁ」


「ご主人、どうするッス?」


「うーん……」


 じゃあ、お家に帰ってもプリュちゃんとは会えないんだね。

 それなら……。


「今日はもう早めに寝て明日に備えよう」


 久しぶりにパパにも会いたかったけど、今はそれより優先するべきことがあるのだ。

 カジノの開店時間になる前に行けば、もしかしたらラークに会えるかもしれないし、そしたらオぺ子ちゃんの前に突き出して説得して貰おう。


「賛成です。ラテはもう疲れたです」


「あはは……」


 とにかく、そうと決まれば善は急げだ!

 と言っても、急ぐも何も睡眠をとる為に眠るだけなんだけどね。

 そんなわけで、今日は眠る事にする。

 皆も私に賛成してくれて、朝早くに起きて行動を開始するそうだ。


 そうして、私は魔法で作り出したお布団に入って考える。


 今日は失敗しちゃったけど、明日は失敗しない様にしっかりしよう。

 そう言えば、ラテちゃんから聞いたお話だと、結局休憩室にはバニーガール姿の女の子しか来なかったんだよね……。

 それに……今にして思えば、私って1階と2階しか行ってないんだもん。

 3階と4階は……セレネちゃんとスミレちゃんのおかげで……ちょっとはわかったけど…………5階から先がどうなっ……てるか分からないし……明日はそっちも……調べな…………きゃ………………。


 カジノでディーラーのお仕事をして疲れていたからなのか、私は驚くほど早く眠りについたのでした。 


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