博士
今回は"博士"登場回です。
今回の話だけでは謎解きはできません。
次回の話を読めば謎解きは可能だと思います。
プルプル、プルプル、ガチャ
電話の着信に気づいた典子は細く長い腕を受話器に伸ばし、白い受話器を掴み取った。
「はい、中村鉄鋼」
「あー、どうもどうも。斎藤です。今日は10×20を10枚注文したいのだけど在庫はあるかい?」
「はい、10×20ですね。、、、はい、大丈夫です。はい。」
「じゃあ、うちの若いのに3時に取りに行かせるからよろしくね、のりちゃん」
「毎度ありがとうございます。」
「それじゃあよろしく」
ガチャン
電話を切ると、付近は静寂に包まれた。
今日もまた、彼が来るのだろうか?
"なんでも知っている彼が"
……………………………
タンタンタン
階段を下りる音と共に彼は現れた。
小さな小さな物知り博士。
"なんでも知っている彼"
可愛い可愛い、不思議な坊や
「ママ〜、斎藤のおじちゃんまた来るの?またお菓子くれるかな〜」
「あら、坊。またまた、なんで分かったの?」
「えへへ、ナイショ〜」
彼はいつもそうだ。なぜか大人の話したことを知っている。2階にいるはずなのに。
少し気味が悪いほどに、、、。
典子は坊やの顔をじっと見つめた。
「ママ〜?どうしたの?」
坊の声に典子はハッとして返した。
「そうだ、洗濯機回さないと。ゴメンね坊。お母さん、お仕事しなきゃ」
「うん、いいよいいよ!いってらっしゃい」
「はい行ってきます。」
タンタン。
典子は階段を上がり2階に向かった。すると
プルプル、プルプル
2階で電話が鳴った。
典子は慌てて電話に出ると、先程聞いたばかりの声が告げた。
「のりちゃん。やっぱり取りに行くの4時に変えれないかな?」




