表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッセイとしての私の記録  作者: マッキー
6/21

退職までの暮らしぶり

退職することになったものの、好転なんてしなかった。

異世界に転生したいお年頃だった。

退職が決まってからもストーカーは「かわいそう」「守ってあげたい」「君に恋をしている」などとまったく収まる気配はなかった。郵便物は開封済みになっていることもあった。私の帰りを待ち伏せし、私の住居近くに頻繁に出没し、命の危機さえ感じた私はとうとう警察に相談することにした。

検索して出てきた「ストーカー等相談窓口」みたいなところへ電話をかけた。いかにもやる気のなさそうなジジイが出た。

「実被害はないみたいだし、証拠がないからねぇ、レイプでもされてたら良いんだけど」

耳を疑った。ついに私は耳までやられたのだろうか。警察からレイプされてからおととい来やがれと言われることなど思ってもみなかった。絶望だ。このジジイ、毎朝頭に鳥のウン●が降ってきますように!


ちなみにこのころにはお付き合いしていた人とは別れていた。数ヶ月連絡を取っていなかったり、半年ほど顔を合わせなかったりしたため、自然消滅したと思っていたが、ある日しれっと「次の休みに遊びに行くね」とメールが来た。怒っていればまだ良かっただろうが、何も感じなかったため別れ話を切り出したというわけだ。

恋愛フリーランス。この時点では誰とでもコラボ可能だが、ストーカーおじさんはお呼びでない。


ストーカー行為はSNSにも及んだ。私の心の叫びであるツイッターにも粘着され、脳内も筒抜けとなった。おじさんのほうの呟きは私への愛のポエムと自撮りであふれていた。24時間見張られていた。おじさんは私と同世代、むしろそれより若いくらいの気持ちで、私は地上に降りた女神だそうだ。届かない想いに酔いしれるおじさんの夜中のポエム。おお、痛い!


退職するまでも激務は続いた。有休消化なんてものは存在しなかった。しかし私は思いっきり体調を崩した。眠ることすらしていなかったので当たり前といえば当たり前だが、酷い咳がまったく止まらず、微熱が続いた。2万円引かれる謎の有給を取って病院に行ったが、アレルギーとの診断がついた。(のちに百日咳と判明して呼吸困難で夜間救急に運び込まれることになる)


眠ると明日が来る。眠らなければずっと今日だ。無駄に労働とストーカーに費やしてしまった時間を取り戻したい。そんな気持ちで食事も睡眠も放棄していた。


しかし38kgとなった私にはあまりにすべてが、生きることすらすべてが重労働だった。脳はバグを起こし、台所の水道をひねると「色と味のついた液体が出てくる」と本気で思っていた。つまりファ●タだ。水道からファン●が出てくると思っていた。今考えればむしろ歓迎だが。

そして使い捨ての商品以外には触らなくなっていた。未知のウィルスが増殖しているからだ。それに触れて感染でもしようものなら全身がボコボコの腫瘍にまみれ紫色になると信じ込んでいた。私は何にも触れず、ペットボトルの水しか摂取しなかった。


こうなっては出社など不可能以外のなにものでもない。誰から電話が来ようと、部屋に突撃されようと、すべてを無視してベッドの上から動かないことにした。いや、動けなかった。

ブッチでバックレ決行だ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子供のころから作文は誉められていました。 スマホの半角スペースだと段落の頭に空白マスを作れませんね。 でも寝転がって書けるのでスマホは便利。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ