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エッセイとしての私の記録  作者: マッキー
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ストーカー編

実録ブラック企業、となりのおじさん。

朝は外注先から戻ってくる商品を受け取るため7:00には出社し、現場を回って21:00から23:00ごろまで残業する日々が続いていた。幸い現場の人たちとは良好な関係で、とある部署のカラオケ飲み会に呼ばれたりもした。


私と同期で入社した同じく新卒の女性がいたが、彼女は現場との折り合いはあまり良くなかったようだった。(私の退職後も働いていたようだった)


隣部署のおじさんに声を掛けられて連絡先をしぶしぶ交換したあとから、ひっきりなしにメールや電話がくるようになった。

主に「いっしょに愚痴ろう」「2人で会おう」という主旨だったが、私には当時お付き合いしている人がいたし、多忙だし、何よりそのおじさんのことをしつこくて気持ち悪いとすら思っていた。


おじさんは正直あまり仕事の出来ない人で通常は定時で退社していた。


ところが電話やメールをあまりしないで欲しいと頼んだ矢先、定時で帰ったはずの彼に待ち伏せされるようになった。明らかに何時間も経っているのに「偶然だね、いっしょに帰ろう」などとのたまう。時空が歪んでいるのか、本気で疑った。


ブラック企業の味をこれでもかと嘗めさせられている中、おじさんの私への執着はどんどんエスカレートしていった。


靴箱に入れてある私の靴の中には中高生が作成するような、折りたたみ端を挟み込んである手紙が毎日のように入るようになり、時折プレゼントと称して私の趣味ではないアクセサリー(おそらく1000円程度の土産物)も追加されていた。


私にとっては犬のウ●チも同然、悩みが増えて憔悴しきった。


ある日当然のように待ち伏せされていたのを「買い物があるので」と断り、あまりの疲れにラーメン屋に入ったところ、「うそつき〜☆」と言いながらそのおじさんは私の隣に座った。


全身の毛穴から臭くて冷たい蒸気が出るようで、体の感覚は私の管理下を離れて地球のあらゆる方向からブラジルまで飛んだ。マイルが貯まっていたならそれだけで旅行できるだろう。


ラーメンにろくに手もつけられず、楳図●ずおばりの恐怖フェイスでお会計を済ませた。しかしこういうときに限ってレジ担当はスローモーションかつ間違う。私はなんなら軽失禁寸前。早く! なんでもいいから!


しかし店の裏の暗い駐輪場で結局つかまってしまった。

もう本当にやめてほしい旨を伝えたが、「ちぇ、なんだよ、じゃあ、しょーがねえな」


まるで私が駄々をこねて別れてもらう若いカップルのようではないか。こんなに意思疎通ができないだなんて、このおじさんは実は宇宙人かもしれない。


その後の日々もつきまといは止まらなかった。菓子パン投げ2軍ピッチャーの社長が社内で言いふらしていたので、ほぼ全員が私の住居を知っていた。


おじさんはもちろん私の部屋までお越しになった。ドアノブをガチャガチャし、手紙やプレゼントをドアポストに入れ、私に語りかけた。

うちは寺社ではない。鳴らす、お賽銭、祈りは他をあたってくれ。


このころになると食事は昼休みの仕出し弁当しか食べておらず、体重はみるみるうちに減っていき、栄養不足で全身こむら返り祭り、肌はゴビ砂漠、抜け毛はホラー映画レベルだった。

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子供のころから作文は誉められていました。 スマホの半角スペースだと段落の頭に空白マスを作れませんね。 でも寝転がって書けるのでスマホは便利。
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