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エッセイとしての私の記録  作者: マッキー
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営業部編

楽しい地獄の社会人生活、営業部編!

なんのマニュアルもない営業部に放たれた私はとにかく必死で渡された取引先企業リスト(最近の取引なし)を片っ端から訪問した。


多くは町工場系なので駅から遠く、5〜6km程度は徒歩範囲となった。営業車が新入りである私のぶんはなかったため、公共の交通機関を利用する他なかったのだ。


いかにも新入社員というリクルートスーツと、し●むらで購入したフォーマル用のヒールパンプスでとにかく歩いた。足の裏は角質が珪藻土マットほど硬く厚くなり、常に靴ズレしていて外反母趾にもなった。

この当時はバラエティ番組に登場する足ツボマットに乗ってもおそらく真顔でいられただろう。


余談だが現在はお笑い芸人並みのリアクションを取れる軟弱な足の裏となっている。10分歩いたら動悸息切れ、●心●心♪


担当地域は都心および埼玉と神奈川の一部であったが、便利な郊外出身の私にとっては意外と不便だなという街も多かった。

「郊外なんて、タヌキとかいるんでしょ〜」などとよく相手企業の担当者から笑われた。出身地域は栄えているのでタヌキは画面の中の猫型ロボットしか見たことがなかった。


タヌキなんてこのころ某I区の山で初めて見たし、O駅から出るバスが1時間に数本というのも衝撃だったが、そこはヘラヘラと流していた。地域マウンティングは闇が深い。


不況の風が吹きすさぶ中、取引がなくなっている企業から案件を取れるはずもなく、ときには「小娘では話にならない、技術の男を呼べ」と胸ぐらを掴まれることさえあった。


幸い私はボタン付け程度の裁縫はできるので、シャツのボタンが取れた場合にはあえて色糸で縫いつけてやった。私をよくよく見る人などこの時点ではいなかったので、胸に注目する人以外は気が付かなかった。(それもボタンではなく私の胸を見ているのだが)


そのゴミ箱行きだった取引先企業リストを渡してきた当の営業部長からよく怒られた。ついでに彼のデータ入力もさせられた。テンキーは便利だと初めて知った。ただし携帯電話と数字の並びが違うことに慣れるまでは少々時間が必要だったが。


ある時なぞ彼の案件の品を朝イチで相手企業まで届けに行かされたこともある。無理のある納期、ダメ絶対だ。


また、他の営業部社員と同行させられることもしばしばあった。なんでも、若い女性がいると相手の態度が軟化するため商談が進むのだそうだ。


実際、私が同行した場合には取引が成立することが多く、よく面倒を見てくれた先輩(私の父と同年代)からは有り難くもラッキーガールとの二つ名をいただいた。


立てば足つり座れば腰つり、歩く姿はC3●Oとなるころ、会社事情で異動となった。新しい地獄の門を前に考える人ポーズを取ることも出来なかった。前述のとおり、私の体はこむら返り祭りだったからだ。

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子供のころから作文は誉められていました。 スマホの半角スペースだと段落の頭に空白マスを作れませんね。 でも寝転がって書けるのでスマホは便利。
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