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信念は揺らがない

 次の日。


 泣き腫らして目を赤くした私に、テイリーは言った。


「今日は学院をお休みしましょうか」


 これまで、無遅刻無欠席でいた私。皇太子の婚約者として相応しくあろうと頑張っていた私。頑張りすぎていた私。


 …今日は、今日だけは。そんな彼女(私)たちも許してくれると思うの。


「いいえ、そういう訳にはいかないわ」


 けれど、だめなの。私は悪役。

 …体調不良でおやすみ?だめだめ、そんなの許されないわ。悪役令嬢は弱みを見せてはいけないの。


「さあ、テイリー!いつも以上に私を美しくしてちょうだい!」


 昨日までの、弱かった私を隠してちょうだい!あなたたち公爵家のメイドならできるでしょう?


「…ええ、かしこまりましたっ!」



 …ふふん。完璧ね。

 目の前の姿見には涙の跡など見る影もなく、強気で高飛車な悪役令嬢が映っていた。




「やあ、リリアン。いい天気だね」


 いつかと同じ挨拶。


「ええ、そうですわね」


 本当に。悪役日和で嬉しいわ。


 今日の私のやることは、レヴィン様に引っ付いていること。そしてレヴィン様のいない所では権力を振りかざして我儘三昧(わがままざんまい)をするの。


「あの、レヴィン様。今日のご予定は?」


 馬車に揺られながら、レヴィン様に話題を振る。


 私から話しかけないと、空気が滞ってしまう。明るい声を出すことを心がける。


「予定?特にはないが…」


レヴィン様は苦々しい顔をした。


 噂の域だけれど、学院でも婚約破棄の話が広まっている。もしかすると、あの場を目撃した者がいたのかもしれない。すると、それらの真偽を確かめようとする人が少なからず出てくるため、四六時中視線に晒される。…たぶんレヴィン様はそれが嫌なんだろう。


「提案なのですが、私たち学院での時間を共に過ごしませんこと?昼食の間だけでもいいのです」


 レヴィン様の分も既に用意しておりますの、と言葉を添えて、隣の座席のバスケットを指す。


 今まではお互いの時間を大切にしようと別行動をしていたため、朝のこの時間だけが二人の時間だった。上手くいっていたからいいけれど、今はそれではだめ。悪い噂を払拭(ふっしょく)するために、仲良しアピールが大切だと思う。本当に。…私の思惑とも被るし。


「私たちの婚約関係が(ほころ)びなく続いていると分かりやすく示してあげれば噂も消えていくでしょうし、(のち)の婚約破棄もスムーズにいくと思いますの」


 (ほとん)どを正直に言う。聡明なレヴィン様のことだ。私を嫌いというわけでもないだろうし、この申し出は受け入れられるだろう。


「…僕にも予定があるからね。でも、昼食だけなら問題ない」


 レヴィン様は少し悩む素振りを見せた後、承諾した。


 たいした予定は無いと先程おっしゃったではありませんか…。発言に矛盾が生じておりますよ…。


 呆れを顔に出さないように表情筋に指示を出す。


「ありがとうございます。それでは、食事は中庭で取りましょうか。あそこは美しい花が咲き乱れ、落ち着いた場所ですから」


 私はいつも中庭で一人休息を取っている。静かだし、いい所だ。べつに、友だちがいなくても悲しくなんてない…。


 …だから、他には誰も利用しないし、それでいて人の目はあるので、レヴィン様との仲を見せつけるには絶好のポイントだ。


「分かった。クラスに迎えに行こうか?」


 令嬢とはエスコートされるものだ。殿方と約束があれば、殿方の方から迎えに来てくれるというのも珍しくない。


「いえ、私の所の先生はお話が少々長いんですの。レヴィン様をお待たせするのは心苦しいので、中庭でお待ちください」


 今までは別行動だったのに、急にそんなことをすれば怪しまれるに決まってる。それに先生の件は本当だ。「この国の王太子様をお待たせするなんて…」と不興(ふきょう)を買うのは私だ。それは目的に沿うことではあるけれど、今回はお断りです。私の気持ち的に。


「学院に着いたようですね。…それでは後ほど」


 こんな感じでどうだろうか。悪役への道を舗装し、にやりと心でほくそ笑む。ここまで来たらあとはスキップで進める。だってゲーム通りにするだけなんだもの。





 授業が終わり、お昼の時間。予想通り私たちのクラスは他より遅めのスタート。


 …よかった。レヴィン様への言い訳が嘘になってしまわなかったことに心からほっとする。私はこういう所では前世も含めて小心者だ。


 中庭へ向かうと、やはりレヴィン様がいた。


「お待たせしました。すぐに食事の用意を致します」


 気にするな、と器の広いところを見せるレヴィン様。やはり素敵だ。


 …だめだめ!やはりリリアンの性格が尾を引いているようね。失恋したのだから潔く諦めなさいよ!


 自分に言い聞かせるもなかなか上手くはいかないようで。


「うん、これは美味しいね」


 テイリーに入れさせたお茶を片手にサンドイッチを口にするレヴィン様はたいそう絵になる。


「お口にあったようで僥倖(ぎょうこう)ですわ。私、うちの料理長の作るそれが大好きなんですの」


 冷静に言葉を返す裏では心臓が早鐘を打っているが、私は一体どうしてしまったのだろうか。自らの心の内を探るも、ルーシーの幸せを一番に願っているのは間違いない。


でも、これはきっと。


 ───私はレヴィン様を諦めたくないんだわ。


 それしか考えられない。今まではどうでもいいと思っていたのに。これは明らかに、昨日恋心を自覚したせいだ。…けれど、だからなんだというのだ。私の信念は揺らがない。



 二人の幸せのために、悪役を演じてみせましょう…!!


大変お待たせ致しました!

ブックマークを外さないでいてくれた皆さまには感謝してもし足りない…!!

いえ、読んでくださっただけでも十二分に嬉しいのですが!!


更新カメさんな作者(そのあり)ですが、筆を折ることだけは絶対にありませんのでどうぞ今後ともよろしくお願いしますね!!


最近暑くなってまいりましたので、皆さま体調を崩されないようお気をつけください!!


また次の更新でお会いしましょう!ではではー!(●︎´▽︎`●︎)

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