モフモフ
秋月 忍の『モフモフコンテスト企画』参加作品です
私がモフモフというと、紫色の使い捨ての埃取りのことです。使う前の手触りがたまりません。まさにモフモフ。長毛種の動物をなでている錯覚に陥ります。使う時には一通り触感を楽しんでから。順番を逆にすると、触ったとたんに手が埃だらけになりますから。
以前からの悩み事は、部屋の隅っこに固まっているモフモフ達。まだ子供達が小さかった頃奮発して、年に一度千葉県にある夢の国に行っていました。年に一度のことですからねぇ、普段は締めに締めている財布の紐もこの時ばかりは少しだけ緩めていました。夢の国に行ったのに欲しかったおもちゃが買って貰えなったって、後々言われても困る。だから1つだけ何か買ってあげるよ、と。息子は音の出る剣だのマジックハンドだの振り回して喜んでしました。娘はというと、一番最初がロバ、次が海の国限定のくまさん。次がピンクの頭から長い触覚の出ているエイリアン。その次が、クマさんのガールフレンド。次は緑の猫。猫のガールフレンドが出来たら行こうかなと思っていたら、ウサギでしたねぇ。このころから行かなくなったかなぁ。
お値段もお値段ですが、これがまた手触りがいいんです。生きている動物のような柔らかさ。それでいて毛が抜けないんです。なのになのに喜んで抱いていたのは、数日のこと。それでも1年くらいは思い出したように、なでたりひっくり返したりしていましたかねぇ。今では部屋の隅っこで埃をかぶっています。そのままではかわいそうなので、たまに私が皆のところを日向に出して埃を払っています。子供がいる時には、運搬を子供に手伝わせますけれどねぇ。
夢の国で買って来たモフモフの中に、私が大学の頃に買った猫さんがいます。保育園の頃から進学で家を離れるまで、猫と一緒に育った私。さすがに学生会館で猫を飼う訳にもいかず、お守り代わりに高さ40㎝ほどの猫さんのぬいぐるみを買てもらいました。確か駅前の百貨店のおもちゃ売り場で、何気で抱いたぬいぐるみの手触りにひかれて買ってもらったような気がします。
この猫さん、実家に帰ってきてから部屋の隅で私を見守り続けているうちにほっこりだらけに。娘の出産を機に、クリーニングに出してきれいになって帰ってきました。そしてしばらくの間は、娘のお守り役をしてくれていました。何でも噛みたがる時期の娘に鼻をかじられたり、話し相手になってくれたり。今では寝室で私を見守っていてくれているはずです。
猫さんに相手をしてもらっていた娘は、今は大きなリスを抱いて寝ています。近くにある、夢の国関連ショップでこれもまたモフモフした抱きごごちよいリスさん。かなりの年齢にもかかわらずぬいぐるみを抱いて寝ている姿を見ると、愛情が足りなかったのかと少し不安も覚えます。
娘が部活もないはずなのに、学校からの帰りが遅かった事がありました。聞けば、友達の家んで犬をモフモフさせてもらって遅くなったとか。家でも飼おうよってねぇ。生き物は大変なんだよぉ。お母さんはあんたたちの世話だけで手一杯なんですけど。モフモフはぬいぐるみだけにしておいてほしいのがホンネです。