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彼女と私は双子ではありません

彼女と私は一緒の家に住んでいる

作者: 雷ライ

誤字脱字に注意してください。

嫌な表現があります。


※監禁描写がありますが推奨するものでも肯定するものでもありせん。犯罪行為であるということを留意してお読みください。


※フィクションです



そのほかを含めてなんでも大丈夫な方のみお読みください。


ダメだと思ったらすぐに読むのをやめて下さい。




高校2年生になり4ヶ月がたった。


夏休みに入っており、学校の講習期間も終わり家の自室でゴロゴロしていた。




壱耶は3年生なので今年は受験がある。


彼の勉強の邪魔をするつもりはないので、会うのは2週間に一度、電話は週に一回寝る前と勝手に自分の中で決めて生活していた。



昨日、壱耶に会ったばかりなので次に会えるのはまた2週間後だ。


今の時間は図書館にいるはずだし、電話もできない。


時間を持て余した私は昼寝をすることにした。










少しずつ意識が覚醒してきて、寝返りをうとうとした瞬間なんか分からないが体が動かなかった。


寝違えたのかな?と思い、目を閉じたまま意地でも動かそうとするが足しか動かない。


不思議に思い目を開けるがまだ視界は暗いまま。


一瞬動きを止めるが考えがまとまると、途端に怖くなり手を振り回す。


しかし両手首と指先はしっかりと固定されているし、二の腕あたりにも紐のようなもので何重にも縛られている感覚がある。


「なにこれっ!だれか!誰かいる?!助けて!」


何年ぶりかの大声で叫ぶ。


一回深呼吸をして声が続く限り叫ぼうとすると、

ガチャっと扉を開ける音が聞こえる。


「あれ?はーちゃん、もう起きたの?」


聞こえてきたのは女の声。


その声に私は驚愕した。


間違えるはずのない声。


この世で私を『はーちゃん』と呼ぶのは1人だけだ。


「しらゆき?」


確信がありながらも疑問符がついてしまう。


「うん、そうだよ。あっ、ごめんね。目隠しつけたままじゃ見えないよね」


白雪は1人で話し続ける。


「ふっふっ、本当にごめんね。でも嬉しいなぁ、はーちゃんがしーの声聞いただけでしーだって分かってくれて」


少し漏れた笑い声と心の底から謝っているとは思えない謝罪の言葉。


白雪が目隠しを取ったことで私の視界は一気に明るくなる。


目が絡み、数度瞬きを繰り返す。


視界が安定してくると今度ははっきりと白雪が視界に映った。


周囲を確認するがここがどこであるかはわからない。


手と腕の拘束は外してもらえなかった。


「白雪、これはどういうこと?」


相手が身内であるという安心感からか、思いのほか冷静に問いかけることができた。


しかし、相手が身内でしかも白雪あるということは、私の中に大きな疑問を抱かせる。


「はーちゃんと2人っきりになりたくて」


白雪は悪戯がばれたこどものような可愛らしい笑顔をこちらに向けてくる。


「せっかくの夏休みだからはーちゃんと一緒に出かけようと思って、何回も誘ってるのにはーちゃん全然一緒に出かけてくれないんだもん」


今度は拗ねたように言う。


「はぁ?」


思わず声に出してしまった。


そんな『だもん』とかで済まさせる状況ではない。


たしかに夏休み入ってから、白雪には何回か遊びに誘われた。


しかし、普段から仲の悪い妹と一緒に遊びに行って楽しめるとは思わなかったので断っていた。


白雪は誘いに応じなかった私が悪いかのように言っているが、私からしたら誘ってくる白雪の方が意味がわからなかった。


「どうしてもはーちゃんと2人っきりになりたかったから、協力してもらちゃった」


姉と2人っきりなりたいからって、普通は寝ている姉を拘束してどこか分からないところまで運ぶものなのか?


白雪と話しているとまるでこちらが間違っているのでは錯覚してしまいそうになる。


「白雪、これ外して。それから私を家に帰して」


白雪に向けていた目線を手首にやり、また戻して言う。


白雪はその大きな瞳を瞬かせ、当たり前のように言う。


「ここ、山の中のコテージだから今から帰るなんて無理だよ。スマホも通じないし」


何が問題かわからないというような顔をする白雪。


しかし、言っていることはまともではない。


「はぁっ?!なんでそんなとこにいんのよ!」


思わず大声が出てしまう。


「だから、はーちゃんと2人っきりになりたかったんだってば」


聞き分けのない子をあやすような声で言う。


「明日には迎えに来るのよね?」


不満があるものの話が進まないので取り敢えずながす。


白雪の返答は予想外だったが。


「2週間後には来るよ」


「2週間!?」


「2週間」


「なんでそんなにかかるのよ!?」


「健斗くんにそのくらいに来てって言ったから」


「食材なくなるし、ゴミとかたまるでしょ?」


「なんか3日おきにハウスキーパーさんが来てくれるらしいよ」


「ならハウスキーパーさんと帰ればいいでしょ?」


「軽トラに乗って2人で来るから乗る場所かありません」


「なんでそんなに用意周到なのよ!」


「3ヶ月前から練ってた作戦だからね」


「3ヶ月!暇なの!」


「はーちゃんのためなら大したことないよ」


なんかとんでもないことを言っている気がする。


「ふふっ、はーちゃん。そんなに難しく考えないで、しーとの生活楽しみましょう」


白雪はニコニコしながら部屋を出て行こうとする。


「ちょっ、待って!どこ行くの?」


縛られたまま放って置かれても困るので、慌てて白雪引き止める。


「はーちゃんの夕ご飯取りに行くだけよ。しーがはーちゃんのこと置いて行くわけないでしょう」


言い終わると白雪は足取り軽く部屋から出て行った。


改めて部屋の中を見回すが私がいる部屋にはベッドしかない。


窓も天窓しかなく、扉も1つだけ。


逃げることは現実的ではない。


どうしようかと考え込んでいると白雪が夕ご飯を持って戻って来る。


その後は白雪に食べさせてもらい、お風呂にも一緒に入った。


トイレの時は流石に外してくれたが、歯を磨くのは白雪がやってくれた。


最初はすぐに飽きるかと思って余裕ぶっていたが、5日も監禁が続くと、いくら妹が相手でも流石に心がヤバくなってくる。




6日目の朝、白雪に朝ごはんを食べさせてもらう。


白雪は食器を洗いに行く。


この時間は1人になれる時間だった。


それ以外は白雪がへばりついているので、常に2人だった。


1人だと言っても特に何もできないのでベッドに寄りかかりボーとしていた。


1週間がこんなに長いと感じたのは久しぶりかもしれない。



意識が遠のきかけていき、目を閉じそうになった次の瞬間、バンッと大きな音が聞こえた。


そして次に聞こえたのは


「初雪!どこだぁ!?」


壱耶の声だった。


意識がと遠のきかけていたのが一気に覚醒する。


「壱耶!」


どこかは分からないので彼の名前を私がここにいるのがわかるように大きな声で呼ぶ。


しかし次に聞こえたのは壱耶の声ではなく、白雪の声だった。


「なんであんたがここにいんのよ!!!」


「誰がここを教えたの?!!」


「帰れ!お前なんか要らないんだよ!」


壱耶に対して白雪が激しく詰め寄っているのが伺える。


「白雪!いい加減にしろ!」


また新たな声が聞こえる。


これも慣れ親しんだ声だ。


「お前は何がしたいんだ!」


淡雪だ、三つ子の真ん中がきている。


「壱耶さん、白雪は俺が抑えてるから初雪探してきてください」


そんな感じのことを言っている声が聞こえるが、皿の割れる音や物が倒れる音ではっきりとは聞き取れなかった。


「あっくんまで私の邪魔するの!?なんでよ!しーはただはーちゃんと一緒にいたいだけなのに、どうしていつも誰かが邪魔しに来るのよ!?」


「お前はどこまで自己中心的なんだよ!初雪はそれをいつ望んだ?お前の幸せのために初雪が犠牲になってるだけじゃないか!」


「それこそあっくんの勝手な決めつけでしょ!はーちゃんはしーと一緒にいるのを嫌がったことは一度もない!ずっと一緒だって約束したの。邪魔するならあっくんであろうと消えて!」


「ずっと一緒なんて無理に決まってんだろ!それぐらい分かれよ!」


白雪と淡雪が言い合っている声が聞こえる中、

バンッと私のいる部屋の扉が開く。


「初雪!」


私を呼びながら壱耶が部屋に駆け込んで来る。


「無事か?怪我してないか?」


そう言いながら私を抱きしめる。


拘束されているため抱きしめ返すことはできないが、彼の肩に顔を押し付ける。


彼は抱きしめたまま私の頭を撫でる。


「来るのが遅くなって悪かった。まさかお前の妹がここまでするとは思ってなかったんだ」


壱耶は悔しそうな顔をしながら言う。


「見つけてくれてありがとう」


顔を上げて壱耶を見ながら言う。


「取り敢えずここを出よう。外で母さんが待ってる」


壱耶はそう言って私を持ちあげる。


ここ数日まともに動いてなかった反動かすごく体が重い。


部屋を出て廊下を歩くが階段などは見当たらず、平屋建てあると思われる。


リビングらしき部屋の前を通ると


「何してんのよ!はーちゃんをどこに連れていくつもり!?」


白雪がリビングらしき部屋から出てくる。


「家に連れていくに決まってるだろ!」


その白雪を追って淡雪が出てくる。


淡雪は白雪の手首を掴み引き止める。


「今までは初雪がどうでも良さそうだったから見過ごしてきたけど、ここまでやるならもう見過ごせないから」


壱耶はそう言って白雪をひと睨みして建物から出た。


建物の前にある車のそばに沙耶子さんが立っている。


「初雪ちゃん!」


そう言いながら駆け寄ってきた。


「母さん、話は後。車に乗せるから扉開けて」


壱耶がそう言って沙耶子さんが開けた扉から車に乗ったところで私の意識は途切れた。










目を覚ましたのは壱耶の家の客室だった。


何回か泊まらせてもらったことがあるから間違いない。


慌てて起き上がるとベットの横にある椅子で壱耶が座ったまま寝ていた。


ベットから出て彼が本物である確証がほしくて、彼の頰に触れる。


彼の目がパチっと開く。


「ごめん、起こした?」


私は控えめに聞く。


「大丈夫、起きようと思ってたから」


彼は私が彼の頰に当てた手に自分の手を重ねながら言う。


そのまま私の手を外し正面にもってくる。


「跡ついてるな」


白雪に拘束されていた跡をなぞりながら悲しそうな顔をして彼は言う。


「痛くはないから平気」


彼の悲しそうな顔を見たいわけではない私は微笑みでかえす。


「もっと早くに見つけたかった」


悔しそうに言う壱耶。


「心配かけてごめんね、改めて見つけてくれてありがとう。それから聞きたかったんだけどあれからどうなった?」


壱耶の気持ちが少しでも軽くなることを願いながら、気になっていたことを聞く。


「白雪は取り敢えず如月きさらぎが引き取ってた」


如月とは健斗のことだろう。


彼と白雪がどう言う関係かは知らないがひとまず会わずに済むと言うことに安心する。


そして、監禁されていた部屋で目覚めたときのことから帰り車に乗るまでを思い出す。


「白雪は何を考えていたんだろうね。昔はあんなに白雪が考えいたことがわかったのに、今ではさっぱりわからないや。私はもっとしっかりと白雪に向き合わなくちゃいけないね」


今回の出来事で私は白雪に嫌われているわけではないと言うことは分かった。


今までずっと避けてきた白雪と向かい合うこと。


もう遅いかもしれないが、間に合ってくれているといいなと思う。


「初雪」


私の名前を呼ぶ壱耶に抱きつく。


こんなに落ち着く場所を私は知らない。


「少し無理するけど頑張るから」


壱耶に抱きしめられたまま、私は決意を固める。




※監禁描写がありますが推奨するものでも肯定するものでもありせん。犯罪行為であるということを留意してください。


割と初雪目線は急展開で進んでいきます。


初雪は突発的に巻き込まれているだけなので、何にもできないです。


当初の予定とかけ離れ、白雪が段々と壊れていってます。


初雪は特別頭が良いわけではないので有能ではありません。


淡雪と沙耶子さんが出てきました。


健斗も暴走し始めて、当初の予定とは異なるキャラになっていっています。




問題がありましたらご連絡ください。



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