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第2話


 謎の黒い小箱が吐き出した紙には、こんなことが書いてあった。



 説明書です

 これはマジックキューブという、天国からの素敵な贈り物です

 とても素晴らしいです

 あなたの願いを何でも叶えてくれます

 素晴らしいことです

 ただし、一回だけです

 使い方は、マジックキューブの面を見ます

 数字が書いてあります

 実に素晴らしいことです

 数字の順に、漢字で文字を一面に一文字ずつ書きます

 金色の油性ペンです

 文字数は、ランダムです

 最大で六、最小で一文字です

 それが願いの単語の文字数です

 嗚呼素晴らしいです




「……うわ」


 馬鹿らしい、というか完全にイッちゃってる文面だった。

 箱が吐き出した、なんて事実がどうでもよくなるぐらい、強烈なインパクト。


 そもそも内容の前に、この気持ちの悪いですます調は何だ。

 まず常人が書いたとは思えない。

 完全にサイコだ。


 もちろん内容もどうかしてる。

 天国からの素敵な贈り物って何だよ。怖いよ。

 スピリチュアル感ゼロだよ。

 それに素晴らしい素晴らしい言い過ぎだろ。

 読みながら背筋が薄ら寒くなる。


 それにしても、何でも願いが叶うってのはありがちだなあ。

 とりあえずこの小箱はマジックキューブとかいう名前らしいが……。


「ていうか、数字?」


 思わず小箱を見る。おかしい。

『数字が書いてあります』って、いやいや、六面全部真っ黒だったはずだ。

 数字どころか何の模様すらなかったぞ。

 ほら、何にも書いてない……書いて……ある?


「え?」


 そっと小箱を手に取った。

 完全に黒一色だったはずの面に、いつの間にか数字が白く刻まれていた。

 そんな、馬鹿な。

 さっきまでは絶対になかったはずなのに。

 紙を吐き出したのと同時に浮かび上がった、ってことだろうか。


 呆然としつつも、俺は気付く。

 数字は、全ての面に出現した訳じゃない。

 数字が刻印されているのはちょうど半分、三面だけだ。

 一面に一文字ずつ、それぞれ「1」「2」「3」と番号が振られている。

 残りの三面は真っ黒のままだ。

 気持ち悪さを必死に抑え込みながら、俺はメモに目線を戻す。

 最大で六、最小で一……ランダムで選ばれたのは、三……?


「……じゃなくて」


 何だ? 意味がわからない。

 何がどうなってるんだ、冗談ごとじゃないのか?

 思考がこんがらがってどこかへ飛んでいきそうになるが、落ち着いて考える。


 そうだ、落ち着け。

 これはきっと誰かのイタズラだ。

 この小箱、マジックキューブだったか、これが俺の知らない物質で構成されているのは確かなようだ。

 次世代の新素材。

 おそらく強い衝撃が加わるとこの紙を吐き出し、同時に面に数字が浮かび上がるようにセットされていたに違いない。

 まあ、詳しいメカニズムはともかくとして。

 学校の俺の机に置いてあったのは、嫌がらせというかイタズラ目的だったのだろう。

 そうだ、そうに違いない。


「よし。……ほっとこう」


 机の引き出しにマジックキューブ(考えてみればアホくさい名前だ)とメモを放り込み、俺はベッドへ倒れ込んだ。

 もういいや。驚きました。ビビりました。

 ついでに何か知らないがどっと疲れた。

 今日はさっさと寝ちまおう。


 電気を消し、暗闇に身を横たえる。

 頭の中でメモの文面が浮かぶ。

 願いが叶う? 馬鹿らしい。

 だいたい金色のペンなんて普通持ってないっつーの。

 あ、でも女子は持ってんのかな、あいつら何でもデコるの好きだし。


 待てよ、女子宛のイタズラグッズが間違って俺のところに来たのかもしれない。

 もしかしたらイタズラじゃなくておまじない系のアイテムかもしれないな。

 だったら、俺が手に入れたこれ以外にも、もっとたくさん存在している可能性もある?


「まあ、だから何だ、って感じだけど……」


 そのまま眠くなり、やがて俺は寝た。

 この時点では、俺はマジックキューブのことなんて信じちゃいなかった。

 まさか俺のこの人生が、ハーレムに向かっているだなんて、予想できるわけがない。


 だが、翌日俺は出会ってしまうのだ。

 最悪に恐怖な魔女と。

 そして、最高に美しい彼女と。


 このつまらないはずの、現実世界の中で。

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