第7話
おはようございます!今日はお母さんの手伝いをバリバリしますよ!
「龍奈〜起きたなら、ゴミ捨てに行ってきてくれる〜?」
「はーい!」
今日は、ゴミが二袋ですか。まあ、余裕だけどね!
「あら、おはよう。龍奈ちゃん。」
あ、隣のおばちゃんだ!よくかぼちゃの煮物を持ってきてくれる人!美味しいんだよね、これが!
「おはようございます!」
「お母さんのお手伝い?偉いわね!当分学校がないから、お母さんの手伝いがいっぱいできるのね♪」
「はい、バリバリ働きますよー!」
「ふふっ、頑張ってね!」
おばちゃんは家に帰り、私は曲がり角にあるゴミ捨て場に。
「あ、すみません!」
急に飛び出してきた女の子にぶつかり女の子にが転けそうになる。
「うわっ?!」
あ!危ない!瞬時にゴミを地面に置き、前にこける前の女の子の左手をぐいっと私の方に引っ張る。私は右足を後ろに下げ倒れこんでくるのを堪える。
「あれ?ぇ・・・??」
女の子はこけるの覚悟で目をつぶってたようでなにが起きたかわからないようだ。
「大丈夫?」
「ぁ。はい。すみませんでした。ありがとうございます。」
「ふふっ。今度から、曲がり角は気をつけて走るといいですよ。」
「はい、そうしま「世良ぁぁぁ逃がさんぞぉぉぉ!!!」はっ!あ。あ、あ、ごめんなさい匿ってください!」
なんか聞いたことある声がしたのでその方向を見ようとしたら女の子が私の背中に隠れた。いや、あの。丸見えですよ?隠れれてないよ?お姉さん身長高いな。
まあ、いいや。こちらに向かってきたやつから話を聞くか。
「世良!ようやく止まったか!さあ、帰るぞ!」
「・・・強面の形相で走ってきた零夜兄さんや、イケメン顏が崩れてますよ?」
「はっ!なんということだ!って、誰が強面だ。・・・・・・あれ?龍奈?なんでここにいんの?」
「いや、お前こそなんで居るの。ここは道場とお前の家よりも離れた場所で、私の家の付近なんだけど。」
「・・・マジですか。そんなに走ってきていたとは。ちなみに理由は龍奈の後ろにいる俺の妹で、世良っていうんだけど。最近、師匠に弟子入りしたんだわ。それで課題が嫌すぎて逃げ出したところを捕まえに来たところだ。」
お姉さんは世良というのか。私が零夜兄さんの知り合いということに気づき、混乱状態だが。
「え?お兄ちゃんの知り合い?・・・何歳ですか?」
「ん?13で中1だけど?」
「完全に年下!!お兄ちゃん、まさか、私以外にも手を出していたとは!!」
手を出していた?
「・・・零夜兄さんや、君は妹に手を出しているのかな?ちょっとお仕置きがいるかな?」
「ちょっ!待ってください!誤解です!誤解!!世良も辞めて!龍奈を怒らせないで!」
「何よ!手を出していないっていうの?私の入浴中に一緒に風呂入ろーって入ってきたじゃない!!」
ほう!
「零夜おまえは処刑な♪」
「ひっ!嫌ぁぁぁー!!!」
おびえた様子になり、ダッシュで来た道を帰ろうとする変態にゴミを1つぶん投げてぶつけ、転けたところにもう1つ投げて動けなくする。
「全く。」
「・・・あの。今更だけど。お兄ちゃんと、どういう関係でしょうか?」
「ん?私は天野零夜の兄弟子的なものだよ。柳 隆仙の一番弟子だから。」
そう言ったら、こちらはこちらでピシッと固まる世良。
「ま、マジですか。」
「マジです。・・・とりあえず、私はまだ朝ごはん食べてないんだけど、世良さんは食べた?」
「・・・食べる前に課題聞いてそれからずっと走ってたので、お腹ペコペコです。」
ふーん。
「じゃあ、あの変態にゴミを処分させて、私の家でご飯食べて行きなよ。というわけで零夜!お前もゴミの処分終えたら、家にこいよ!多分、お前の分のご飯もあると思うから。じゃ、頼んだ。」
私は世良さんの手を引っ張り、家に帰る。
「遅かったわねって・・・あら?龍奈どこでそんな可愛いお姉ちゃん誘拐してきたの?」
「誘拐じゃないもん!この人は世良さん。零夜のとこの妹さんなんだけど、何も食べずにここまで来たんだって、朝ごはん一緒に食べていい?」
「もちろん構わないわよ。1人分の追加ね?」
「いや、零夜も後でくるから、2人分。」
「わかったわ。世良ちゃんは龍奈と一緒に手を洗っておいで。」
「はーい。こっちだよ。世良さん。」
世良さんは私のことをじっと見てたようで、ハッと覚醒してついてきた。
「あ、朝ごはん用意してくれてありがとうございます。兄共々お邪魔します。」
とお辞儀した。
「はい。天野さん家にはこんなお行儀のいい娘さんがいたのね。そうだわ!今日は久々に道場の方にご挨拶に行きましょう!家にいても暇ですし、ね?」
「そうだね。まあ、話は朝ごはんの時にしよう!」
私は世良さんを洗面所に案内して、2人で手を洗い、リビングに入る。
「おお。君が妻が言ってた天野さん家の子だね?家の朝飯はご飯派だが大丈夫かな?」
「えぇ。大丈夫です!私もご飯派なので!」
「それはよかった。・・・そういえば零夜君はどうしたんだ?くると言っていたがきてないぞ?」
ん?おかしいな。ゴミを捨ててこいとしか言ってないんだけど。
「?ちょっと外見てくる。」
「あ、私も行きます!」
世良さんも後からついて家を出る。ゴミを置いてきた兄のところに行くと・・・
「ふんぬぬぬぬぬぬぬぅぅぅーーー!!!」
ゴミを持ち上げられてない馬鹿が居た。
私は呆れ顔で、
「何してんの?それが持ち上げられないとか弱くない?」
「いやいやいやいや、重いよ!なんで軽々持てるの!おかしい!世良、お前も試してみろ。」
「え?あ、うん。・・・よいしょっと。?全然普通だよ?少し重いぐらいだし。」
自分が持てなかったのに、妹が少し重そうにしか持ってないことに愕然とする零夜。
「・・・あっれー?おっかしいな。えぇー。」
そう言って、世良さんとゴミを交互に見る零夜。
「零夜のせいでまた手を洗わないといけないじゃん。世良さんの兄弟子名乗る資格なし!!」
ビシッと宣言する。
ショックを受け青白くなる零夜。
それを放置して、ゴミを運ぶ。
あ、ゴミはちゃんと私が運びました。
零夜の言う通り私が軽々と運んでいたので、少し驚いた世良さん。
「ほら、いくよダメ弟子。ご飯出来てるんだから早く来ないと冷めちゃうでしょ!」
「・・・はぃ。」
まったく。毎日の修練はどうなってるんだ?世良さんに聞くか。
家に着き、手を再び洗い部屋に入る。
「お待たせ、母さん、父さん。」
「あぁ。おかえり。先にいただいてるよ。」
「今、ご飯注ぐわ。龍奈、手伝って。」
「はーい。」
「あ、お邪魔します。すみません。2人分のご飯ご用意してもらって。」
「いいのよ。大勢の方が楽しいんだから。零夜君がいない間に言ってたんだけどね。今日は道場の方にご挨拶に行こうと思ってるの。」
「え?!あ、いや。えっとー。それは・・・」
なんか慌てだしたな。
「あら?どうかした?」
「えっとですねー。」
「別に異論はないよね?修練を怠るぐらいだし、隆仙爺は世良さんに変な課題出すそうだし?」
「・・・変な課題って何かしら。世良ちゃん。どんなこと言われたの?」
「あ、私も聞いてないや。」
「・・・その。・・・あの。」
「や、やめろ。世良!言うな!!」
「ちょっと零夜は黙ろうか。」
私は零夜を裸締に処す。
「あがっ!ギブギブギブ!!!締まってる!締まってる!!!!」
「世良ちゃん、その2人はほっといていいから、教えて?」
「・・・マッサージを頼まれました。」
「「マッサージ??」」
「・・・はい。しかも場所指定されました。それが・・・・・・お風呂だそうで。それを聞いた瞬間家から逃げ出して、今に至ります。」
「「・・・・・・。」」
「ガハッ!っちょっ!締まって・・・ガク・・・」
「龍奈。零夜君が逝っちゃったからその辺に投げときなさい。それと、奏、龍奈顔が笑顔なのに怖いよ。」
「・・・ちょっーと。あんのクソ爺にはOHANASHIが必要だと思うんだけど・・・どう思う?母さん。」
「そうね、長〜いOHANASHIがいると思うわ♪」
「「ふふふふふふふ。」」
「あ、あの?」
「大丈夫!!あのクソジジイは私達が締めとくから!安心して!」
「2人とも、零夜君みたいに締めたら隆仙さん。本当に逝っちゃうから手加減するんだよ。まあ、俺がストッパーで行くから大丈夫だとは思うけど。」
と、父さんは言ってるが。変質者は退治しないと!
「あの、でも。師匠、異能力覚えててなんか、『闘気』を操れてすごく強くなってて、その。危ないというかなんというか。」
「へー。あのクソジジイが異能力者か。年寄りのくせに欲張りめ。」
ちょっと待てよ。ということは?力に物言わせて世良さんを言いなりにしている、と?
「力を持って、調子に乗ってるみたいね?龍奈、あなたは異能力を使わずに闘いなさい。」
「ん。わかった。」
「え??駄目です!さすがに死んじゃいます!異能力があるなら使ってください!!」
「それは無理かな。今日まで能力禁止令出てるし。」
さて、ご飯も終わったし。準備しますか。動きやすい格好で行こう。二階の部屋に上がり身支度を整える。
「龍奈!先に行っててくれる?私はお弁当作ってから行くから!あ、私の分も痛めつけといていいわよ!」
「はーい。」
さてさて、零夜の服の襟を持ってひこずりながら歩く。なかなか逝ったまま帰ってこなくて仕方なくだけど。
そんな兄を見て何も言わない世良さんは私的にすごいと思ってるけども。そんな世良さんに声をかけられる。
「あの、龍奈ちゃんっていつから師匠の弟子なの?」
「ん?えっとー。小4かな。」
「・・・お兄ちゃんが師匠の弟子になったのはその1年後か。その、お兄ちゃんが入った理由知ってます?この道場に。」
「・・・零夜が高校時代に格闘技の大会に出てたの知ってるよね?高校にも、部活があって、顧問の先生に最強だと奉られてたことも。」
「う、うん。」
「その顧問の先生がね?隆仙爺と知り合いでね。こう自慢したんだ。《うちには未来最強の選手になる器がいるんだ。いつか、貴方の道場に行って、道場やぶりさせてもらいますわ!ガッハッハッハ!》って。高らかに笑ったそうなんだ。」
「へ、へー。」
「それで、イラっときた爺さんが《わしの一番弟子の足元にも及ばんぐらいで図にのるな!》って言い切ったんだ。」
「・・・。」
「それで、訳も分からずに格闘技大会中のステージに私を上らせて、審判の人とか怒ってたんだけど。爺さんを見た瞬間に引き下がっていってね。なんかよくわからない状態で、私は零夜と闘うことになったんだ。」
「・・・それで。どっちが?」
「もちろん。私が勝ったよ!あれは面白かった。私がまだ小5の時に闘ってね。負けたことがわかった零夜はしばらく呆然としてた。まあ、顧問の先生もだけど。・・・いや、観客もだったかな。それで、1人、爺さんが笑ってて《こんな速く終わると思わんかったわい!まだまだ最強には程遠いのぅ。》って言って、顧問の先生が復活して、零夜を連れて引っ込んだんだけど・・・多分それがきっかけで弟子入りしたんじゃないかな?」
「・・・。」
ヒクヒクと引きつった顔になった世良さん。
まあ、そんなこと置いといて。
「毎日の修練って、今どうなってるの?零夜が弱くなってるし。」
「え?毎日の修練ってなんですか?私が入った時は兄さん何もしてませんよ?腕立てとかスクワットとか走り込みとかするのだと思ってたんだけど。全然してないし・・・。」
は?いや、毎日の修練は私がいた時には零夜もやってたはず。走り込み10キロと腕立て100〜200回スクワット100〜200回あと、組手3時間。これは続けていたはずだ。いつからやってないんだ?
本人に聞くか。
私は零夜の服から手を離し、鳩尾に蹴りを1発入れる。
「グハッ!ゲッホゴホッ!な、何が起きた!!」
「おい弱小。毎日の修練をいつからやってないんだ?」
「・・・ひっ。えっとーそのー。」
目をそらし何か考える零夜。
「もう1発・・・いる?」
「い、1年程前からです!」
「理由は?」
「師匠が、道場破りに負けて道場取られてからです。」
ん?おかしくないか?じゃあ。なんで世良さんには弟子入りできたわけ?
「世良さんが師匠の弟子になれたのはどういうこと?」
「・・・その。兄さんが弟子だって自慢するから。頼んでみたらなれたというか。」
・・・なんだそれ。
「世良さんは強くなりたいの?」
「それは、護身用にと思って。異能力者が増えてきたから物騒でしょ?だから・・・。」
ふむ、それなら。
「護身用なら私が教えてあげるよ。だから、課題とかしなくていいよ。」
「ほ、本当!そっちの方がいい!お願いします!」
「・・・ぁ。俺の楽しみが・・・ヒッ。」
何やらほざいてた零夜を睨みつける。
「それで、誰に道場破りされたの?」
「俺の元顧問の先生だよ。生徒連れてきて道場破りして行ったんだ。今もその道場使ってる。道場はその先生のものになって、部活の合宿所みたいな感じで使われてるよ。師匠は自宅で世良いじりして暇を持て余してる。」
「でも、能力もってるんでしょ?なんで取り返しに行かないの。」
「やったんだけど、負けたんだよ。あっちも能力者が既にいて。」
はあ、なんで負けるかな。そこは勝てよ。
そんなことを話していると道場前に着いた。
さて道場破りに行きますか。