第6話
紙を見終わった2人が顔を上げ、話し始める。
「龍奈。まず、今日と明日は、能力禁止。家事の手伝いとこれから言う約束事を必ず守ること。」
「約束事?」
「まず、危ないことは積極的にしない。」
「・・・うん。」
「助けを求められたら助けること。」
「・・・うん。」
「自分が最強だとは思わないこと。」
「・・・うん。」
「1人で背負いこまないこと。」
「・・・うん。」
「最後に、もう家族に隠し事はしないこと。」
「・・・うん!」
「この5つを守りなさい。その後は好きにしていいわよ。」
「え?!」
「龍奈が事件を起こした人のようなことはしないでしょうし・・・あ、最後に聞きたいことがあるの。」
「ん?なに?」
「龍奈が今やりたいことはなに?」
「あ、俺もそれ聞きたい。」
「え?今?今・・・リルに会いたい?」
「・・・リルさん?どちら様?」
「あ!な、なんでもない!!」
私は顔が赤くなるのを感じた。
「ついに、龍奈にも男が?!」
「そうなの?!龍奈!」
「なんでもないって言ってるでしょ!!忘れて!えっとーえっとー今やりたいことは・・・大切な家族を守りたい!」
「つまり、リルさんを入れた家族を守りたいということね?」
「リルのことは忘れてって言ってるでしょ〜!」
そんなこんなで家族会議は無事に終わった。夕飯の準備をして、ご飯を食べて、お風呂に入って部屋に入った。
っはぁ〜よかったー約束事と家事ですんでー。
『甘々だなお前の家族は。しかも、最初の奴なんだよ。[危ないことは積極的にしない。]って、積極的にじゃなかったらいいのかよ。』
ははは。だって、母さんは私が危ないことに巻き込まれるだろうっていう自信があるんだと思うんだ。
『巻き込まれるだろうって。ぶっあっはははは!!』
もうそんなに爆笑しなくてもいいじゃん!
それで?あのステータスのこと教えてよ。なんでそんなことになってんの?
『あはははは!ひぃ。ふっくくくくふっ。』
わ!ら!う!な!
『ふっくくくくく。あ、あぁー。よし、落ち着いた・・・ぷっ。』
くっそー神の世界に行ったら必ず1発ぶん殴る!
『バトル漫画の主人公みたいなこと言うなよ。で、お前のステータスについてだが・・・』
『それについては私たちが説明するわ!』
『おう!俺たちが教えてやろう!』
『1人に4人の神が集中したらダメでしょう。貴方達私に譲りなさい。』
『勝手に出てくんな!ってか龍奈に目をつけたの俺だからな!譲らねえからな!』
・・・なんかたくさん出てきた。誰が誰だかわからん。わかりやすくしてー。
『分かりやすくか?んー。じゃあ、俺は冒頭に★つけるわ。ちなみに俺はリルだからな!』
『ええ!名前つけてもらったの!私にもつけて!貴方が★なら私は❤︎つけるわ。』
『むう。では俺は♦︎にするか。俺にも名をくれ。』
『では、♠︎で。皆さんにつけるなら私にもお願いします。』
・・・リル。♣︎にしない?
『★だが断る。』
『❤︎トランプのジョーカー的なポジションに就きたいのね。ガキね。』
リルがガキなのは知ってる。
『★おい!』
というか、3人も一気に名前?
とりあえず、リルにもした質問ターイム。
好きな色は?
『❤︎私は薄い緑とか薄い感じの優しい色が好きよ。』
『♦︎俺は茶色か、黄色だな。』
『♠︎私は青と緑ですかね。』
ふむふむ。じゃあもう1つ。質問。
好きな動物は?
『❤︎私は兎ね。』
『♦︎動物か、むう。サイだな。』
『♠︎そうですね〜。鳥でしょうか。鷹とか鷲とかいいですよね。』
おおー。♠︎さん気が合いそう!
それじゃあ、❤︎さんはラミナ。♦︎さんはキサラ。♠︎さんはシャル。でどうかな?
『❤︎ラミナ・・気に入ったわ!!よろしく龍奈!』
『♦︎キサラか、なかなかいいな。今後ともよろしくな!』
『♠︎私はシャルですか。よろしくお願いします。龍奈様。』
シャルは神様なのに、私を様呼びってなんかおかしいから呼び捨てでいいよ?
『♠︎いえ、神という身分ですが、真名をくださった貴女を呼び捨てで呼ぶなどできません。本来なら、キサラもラミナも敬う呼び方にしなくてはならないのに・・・まったく。』
え。真名ってなに?!
『♠︎・・・リル。貴方、何も話してないんですか?』
『★・・・。』
『♠︎・・・はあ。あのですね。まず神は普通名を持っていないのです。シャルという名前が与えられる前は知識の神だとか知の神などと呼ばれていました。』
ヘぇ〜。
じゃあ、キサラとラミナはなんて呼ばれてたの?
『♦︎俺は鍛治の神だとか鋼鉄の神だな。』
『❤︎私は戦女神ね。』
何やらかっこいい呼び名だね。
あ、リルは?
『★・・・俺は言わん。』
えー。教えてくれてもいいじゃん!
『❤︎龍奈に言っても構わないんじゃないの?呼び名を言ったくらいで嫌われないと思うわよ?』
『★言うなよ?』
『♠︎・・・龍奈様、リルの名が知りたいですか?』
ん?んー。知りたいけど、言いたくないならいいや。まあ、私が神の世界に行けばすぐわかるだろうしね!
『♠︎・・・!龍奈様は神界に来るための条件をご存知なのですか?』
いや、知らないよ?これから知ろうと思ってるところ。
『♠︎・・・そうですか。』
『❤︎龍奈が来たら楽しくなりそうね♪』
『♦︎だな!』
『★言っとくが、龍奈が神界に来た後に手を出したら、俺が許さないからな。』
そういうところがガキだと言われるんだよ?リル。
『♦︎フン!』
・・・ダメ元で聞くけど、条件なんて教えてくれないよね?
『♠︎♦︎❤︎★無理だな。』
デスヨネー。
で?話を戻すけど、ステータスの秘密は?
『★まず、名前の横のレベルは危険度を表してる。』
危険度?
『♠︎はい。
Lv1が普通の人間。又は異能力初心者。
Lv2が異能力を少し利用して人間に怪我を負わせられる者。
Lv3が異能力を自由自在に操れ、人間を重症の怪我又は死者にさせてしまう可能性を持つ者。
Lv4が異能力を自由自在に操れ、多数の人間に影響を与え、死者を出す可能性がある者。
Lv5が異能力を自由自在に操れ、高層ビルなどを簡単に破壊できる者。
Lv6が異能力を自由自在に操れ、自然をも凌駕する者。
Lv7が異能力を自由自在に操れ、世界に危険だと知らしめる者。
Lv8が異能力を自由自在に操れ、世界に干渉できる者。
Lv9が異能力を自由自在に操れ、この世界の外にも危険視される者。
Lv10が最高レベルで宇宙を滅ぼすことも、可能な者
です。』
・・・ということは、私は今、Lv4だから・・・多数に影響を与え、死者を出す可能性がある者、か。
確かに!影響を与えたばっかだよね!
『★だよなー。』
『❤︎ふふっ。そうだったわね〜。』
『♦︎あれは凄かったな!』
『♠︎今のところ、Lv4に達しているのは龍奈様だけですね。』
でしょうねー。このレベルってさ、誰があげてんの?
『★それは審判神だな。公平な判断するいいやつだ。』
そんな神様もいるんだね。
じゃあ、レベルについてはわかったから次行こう!
『★では次な。えっと。体力は0になると死ぬことになる。攻撃は異能力の技の威力を表す数値。守りは異能力も関係するが、ほとんど肉体的な部分が関係する。器用さはその人間の器用を数値化したものだ。器用さが高ければ、異能力のコントロールもよくなる寸法だな。ちなみに
会社員の一般男性の平均は、
体力50
攻撃10
守り10
器用さ10
となっている。』
ふーん。さっきと似たようなこと聞くけど、この数値って、誰が数値化してんの?
『★審判神だ。』
審判神・・・頑張り屋さんだね!
『★・・・。』
『❤︎ぷっ。』
?どうしたの?ラミナ。
『❤︎ふふっなんでもないわ。』
ふーん?それで、私の数字がおかしいのはどういうこと?
『★・・・まず、体力を上げたのは俺があげた。真名をくれた褒美に。神界に来てもらうためには死んでもらっては困るからな。ちなみに、体力は1日休めば回復するぞ。怪我も病気もすぐに治る。』
『❤︎それで、攻撃は私が上げたの。龍奈はいろんな能力をこれからも覚えるだろうから、数値を度々上げていかないといけなくなるでしょ?それはさすがに、審判神が苦労すると思って、あの状態にしたの。』
『♦︎俺の担当は守りなんだが、攻撃と同じ感じだ。』
『♠︎そして、器用さを上げたのは私です。貴女のことを少し調べまして、貴女は異能力に関してだけでなく、肉体的な器用さもかなりあるのに低すぎたので上げさせました。』
『★ん?肉体的な器用さが適切な数値じゃなかったのはどういうことだ?』
『♠︎審判神に聞きましたが、数値化はなかなか難しいようで、一人一人を調べてやることは流石にできないから修正したほうがいいと思った人間がいたら教えてくれと言っていましたよ。後から修正はしているようでしたが、正確な人の人数は不明ですから。』
・・・ねえ。もしかして審判神って1人なの?
『★おう。1人だぞ。補助に神の眷属を何人かつけていたが、流石に全ての把握はきついだろうな。』
うわー。大変そう。スポーツ選手とかを先に修正していったらいいんじゃないかな。肉体的な器用さの数値が上の人間がよくいそうだし。
『♠︎ありがとうございます。そのように伝えておきましょう。』
うん。役に立てばいいけど。
で、私がラミナとキサラとシャル、リルの4人に真名を与えたことによる恩恵でこのステータスの数値になったってことだよね?
なんかすごいことしちゃったね。というか、このステータス超える人なんて現れるんだろうか。チートだね。
そして、今のところ一番Lv10に達せそうな人ってことになるよね。うん。まあ、目指せLv10なんて思ってないから別にどうでもいいんだけど。
『★龍奈は、【日常】が送れればそれでいいもんな。』
『❤︎平和が一番よねぇ。』
ふわぁ。長い説明聞いたら眠くなってきた。今日はもう寝るね。
『★おう、おやすみ。』
うん、おやすみ。リル。
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「あらあら、私たちも居るのに、リルにだけ挨拶して寝ちゃったわ。」
ふわふわな長い髪を垂らしている優しそうな女の人が拗ねるように口を尖らせる。
「戦女神ともあろうお方が嫉妬なんて珍しい。」
モノクルをかけた髪を1つに束ね前側に垂らした、本を持っている男の人が微笑みながら言う。
「うるさいわね知の神、龍奈が可愛いのが悪いのよ。」
「まあ、守ってやりたくなるよな!」
黄色の髪の短髪でニカっと笑う豪快そうな男の人がこたえる。
「鋼鉄の神!守る役目を持ってるのは俺だからな!!龍奈は俺のものだから!絶対に渡さないぞ!」
黒髪で赤い目、そして、長身の男が怒鳴る。
「あんたも自己紹介すればよかったのに。俺は邪神なんだ!って。」
「戦女神、龍奈に教えたらお前でも許さないからな。それに、邪神なんて呼ぶな。俺はリルだ。」
「私だって、ラミナって名前があるわ。」
「私はシャルですね。」
「俺はキサラか。」
「・・・・・・とりあえず、俺の空間から出てけ。ここは俺の住処だ。お前たちの体に影響を与える場所だぞ?」
「そうね。そろそろ出ましょうか。また来るわね!」
「来なくていいぞ。」
「貴方はここを出たいと思わないのですか?」
「ここにいればいつか、龍奈が来てくれると言った。それに、俺の居場所はここにしかない。」
「・・・そうですね。ではまた来ます。」
「いや、来るなって。自分たちの空間から話せばいいだろ。なんで集まるんだ。」
「集まってみたほうが楽しいだろ!次は酒持ってくるわ!」
「やめろ!酒持ってきたら空間閉じるからな!持ってくるんじゃねえぞ!!」
「しょうがねえな。じゃ、手ぶらでくるわ。」
「ああ、そうしてくれ。・・・・・・・・・いや、来るなよ!」
はあ、あんな奴らじゃなくて龍奈と一緒に話したいなー。龍奈が起きるまで俺も寝るか。