第33話
そして、私は神界から帰宅した。
「龍奈?なぜ嘘をついた?」
「・・・・・・・・・その方が互いのためだからだよ。」
「龍奈が決めたのならそれでいいが。後悔はないようにの?」
「ないよ。そんな物。」
龍奈は目をそらし、呟く。
そして、話を切り替えようと話す。
「おじいちゃんの“約束”破ってごめんなさい。」
「よいよい、ほら、サマエル君に会って来なさい。契約も忘れずにの。」
「・・・していいの?」
「あの子は役に立つからの。」
「ありがとう!」
駆け足でサマエルの居る部屋に入る。
「サマエル!!」
「ッ!龍奈様!ご無事でしたか?!変なことされませんでした?!」
入ってすぐに私を見て私の心配をしてくれる人。
やっぱり、サマエルは私の家族!
「大丈夫だよ!魔界に送られたけどサマエルこそ大丈夫なの?!」
「大丈夫です。危うくなりたくもない女と結婚させられそうになりましたが、龍神様に助けられて帰ってこれました。」
「結婚?!え、大丈夫なの??サマエルどこも行かない?」
「はい、どこも行きませんよ。一生龍奈様のお側にいます。」
「話は纏まったかの?今度はそう簡単に破棄されぬように、血の契約の方がええと思うのぅ。」
「血の契約?どうやるの?」
「そいつが知っとるからの、そいつに聞きなさい。わしは終わるまで外にあるからの。」
そう言って出て行った龍駕爺。
「サマエル、何すればいいの?」
「血の契約ですか。まずは魔法陣を作らないとですね。『契約の陣、我が魔力を糧とし、紋様よ此処に刻め』!」
サマエルが私と手を繋ぎ、呪文を口にすると2人を中心とした床に紫の光の紋様が刻まれた。
「うわぁ!すごいね!」
「ふふ、そうですね。では次に互いの血を飲むのですが、龍奈様の手少し噛みますね。」
「うん、いいよ。」
カプッ!
「っ!」
「龍奈様の・・・血♡」
跪き、右手の人差し指を少し噛み血を出して、舐めとるだけかと思いきや、チューチュー吸い出すサマエル。
「んん!サマエル、後で、あげるから先に、契約、終わらせ、ない、と!」
「・・・後でくれるの忘れないでくださいよ?」
名残惜しそうに、傷口を優しく舐めながら上目遣いで言うサマエル。
「ッ!!わ、わかったから!」
やめてください。その目は・・・(汗
「では、次は龍奈様が私の血を飲んでください。」
自分の指に歯を立てて血を出し龍奈に指を差し出す。
「わかった。はむっ」
「♡!!」
血舐めるために、サマエルの指を加える龍奈。
それに興奮するサマエル。
(龍奈様が!わ、私の指を、舐めッ!ヤバイですね。ご飯3杯いけます!いえ、後で、拭かずについた唾液を舐め回しますか。)
あれ。サマエルの血、血じゃないみたい。甘くて美味しい。もしかして、サマエルも似たような感じなのかな?あまり長く舐めてたら怒られるからそろそろ離すか。
「ハァ、ハァ」
「・・・・・・で、次は?」
「・・・ハッ!そうでしたね。互いの名前を言って誓うのみです。」
「《私は、神白龍奈様を一生主人としてお側に仕えることを誓います。》」
「《私は、吸魔サマエルを家族として護ることを誓います。》」
キィーーーーーーーン!!!
言葉に反応して、紋様が浮き上がりスキャンするような感じで、足元から頭まで上がり消える。
「終わり?」
「はい、終わりです。」
「・・・呆気なく終わった気がする。」
「まあ、そんなものです。さて、次は・・・」
「あれ?まだなんかあったっけ?」
「え、血くれないんですか?!」
「あ、そうか。忘れてた。」
「じゃ、気を取り直していただきま・・・」
「何をしとるんじゃ!」
ゴン!!
素早く入ってきた龍駕爺にげんこつを食らうサマエル。
「痛つぅー」
「あらら、大丈夫?」
「龍奈も龍奈じゃ!変な約束するんじゃありません!」
「だって、サマエルのご飯だよ?朝ご飯食べてないだろうし。」
「はい、お腹ペコペコです。」
「血じゃなくてもいいじゃろうが!」
「この味を知らないからそんなこと言えるんです!ハッ!そうです!龍奈様!魔力珠を龍神様に食べさせてみてください!」
「ん?なんじゃ?魔力珠??」
「あぁ、いいよ。はいどうぞ。」
「・・・・・・・・・・・・・・何じゃコレは!?!?」
「まあ、いいですから食べさせてみてください。」
「美味しいらしいよ?」
「・・・・・・パク。ッ?!」
龍駕爺は食べた瞬間バリッと体に電気が走ったように動きを止めた。
「じゃ、今のうちに!龍奈様、失礼します!」
カプ。ジュルジュルジュルジュルジュルジュル・・・
音を立てずに飲んで欲しいんですが。
どんな勢いで魔力が無くなっていくかステータスチェッカー見ていようかな。
おぉ!すごい勢いで減ってる。あ、500切った。まだいけるかな。これ、魔力珠を私が食べたらどうなるんだろう。一個食べてみよう。
おっ!100回復した!へー。これいいな。魔力回復アイテムとして、自分でも溜め込んでおこう。
ん?そろそろ200切るな。
「サマエル?そろそろ終わりだよー。」
「ゴクゴクゴクゴク・・・んん。美味しかったです。あぁ、もったいない、ぺろぺろ。」
「もうキリがないでしょ、一回離れて。」
「ですが、血が、止まらない、のなら、仕方がないでしょう?」
舐めながら言うサマエル。
「はいはい、龍駕爺が覚醒してるから、手足がなくなる前に離れなさい。」
「・・・・すんませんでした!」
龍駕爺と目が合うなり、土下座するサマエル。
ゲシゲシと足蹴にされる光景を見ていてすごく面白い。
「ふふふ、仲良しだなぁ。」
「「どこがですか(じゃ)!?」」
「シロ、肩の怪我お願い。」
「ピカンピカン!」
シロは私の肩に取り付いてすぐに離れる。
肩の噛み傷はすぐに無くなっていた。
「ありがとう。シロ、クロおいで。いっぱい働いたからね。ナデナデしてあげる。」
「「ピカンピカン♡♡」」
「前から見とったが、そ奴らは龍奈が創ったのか?」
「うん。」
「凄いですよね。龍奈様はある意味、創造神よりも強いと思いますよ?」
「じゃろうな。能力について教えてくれんかの?」
「口で言うとややこしいから見せるよ。龍駕爺、握手。」
「む?なんじゃ?」
すんなり握手する龍駕爺。警戒心持とうよ。
読み盗り!
「はい、終わり。」
「いや、じゃから何したんじゃ?」
「まあまあ、龍駕爺が能力の説明してくれたら教える。」
「・・・・・むぅ、わしのはの、『事実』を書き換える能力じゃ。異能力説明のところにはチェンジファクトと書かれておってな。『ノート』といえば、このように一冊のノートが出てくる。これに、書き換えたい事実を書くことでそれが本物の『事実』となる。いいじゃろ!これで、サマエルのことを書きかえれば血は繋がってない兄がいると言う事実が作り出されると言うわけじゃ!」
「へー、『ノート』おお!出てきた!これ便利だなぁ。記憶操作より体力使わなそう。」
「・・・・・・んなっ?!なななななんじゃとぉぉぉ!!?」
「えへへ。ドッキリ大成功!」
「流石です。龍奈様。」
龍駕爺はどう言うことじゃ?!と連発している。
「どう言うことなんじゃ?!」
「私の能力は読み盗ること。物や、人から情報を奪うって言うことだよ!」
「・・・・・・そ、そうか。それが複数の能力を得た理由か!!」
「そう言うこと!まあ、もうそろそろ奪うのはやらないつもりだけど。」
「むむ?何故じゃ?」
「すでに無敵だから。シロとクロがいれば大抵のことは片付くし、私の目的は家族が平和に送れる日常があればそれでいいからね。後は困ってる人が居たら助けるような感じだし。」
「・・・確かにその2匹がおれば大概のことは片付くな。ふむ。それで?これからどうするかのー?」
「え、楽しく遊ぶ。」
「いやいやいやいや、力持つものは働かにゃいかん。」
「生活に影響がない程度ならいいけど。これから学校も始まるらしいし、今のうちに遊んどきたい!」
「学校??・・・・・・サマエル、いい考えが浮かんだんじゃが!乗ってくれるか!」
「・・・話によります。」
「それはじゃの!」
「なになに?私も聞く!」
「「・・・・・・。」」
2人は顔を見合わせ、頷き合った。
「龍奈にはさっきドッキリさせられたからの!秘密じゃ!」
「秘密です!」
「・・・むぅ。もう魔力珠あげないぞ?」
「「・・・それはいる!」」
「じゃ・・・」
「でも駄目じゃ!内緒じゃ!」
むぅ。仕方ない。諦めるか。
「ならいい。我慢する。そうだ!サマエル!明日ね友達と遊ぶけどサマエルも来る?」
「・・・それは男ですか?」
「男の子だよ?私より年下の小学生。」
「・・・それくらいなら大丈夫でしょう。いや、
待ってください。・・・・・やっぱりついていきます。」
何か気づいたようで来ることにしたようだ。
「ん!わかった。そういえばおじいちゃんはどこで寝泊まりするの?」
「わしはここに住むぞ。」
「え”?!」
固まるサマエル。
「なんじゃい、不満か?設定的にはわしがお前さんを養子として引き取って、孫の近くで住みたいと思ったからここに引っ越してきたと言うことにしてあるんじゃが。」
「・・・私の部屋に入らないでくださいね?」
「・・・・・・・・・何があるんじゃ。」
「何があるの?」
胡散臭そうに聞く、龍駕爺と純粋な瞳で聞く龍奈。
「龍奈様は絶対に駄目ですよ?!」
私に過剰反応するサマエルのお兄さん。
「・・・だいたい察したけど実際に見てみたいという気持ちもある。」
「わしはその部屋を燃やしたいという気持ちがあるのぅ。」
好奇心が勝った龍奈と、祖父として滅ぼしてやろうというガーディアンな龍駕爺。
「・・・・・・わかりました。空間を隔離して・・・」
「龍奈!わしがこいつを拘束しとくから探すんじゃ!」
「アイアイサー!!クロ!シロ!手伝って!」
「「ピカンピカン!!」」
「イヤァー!やめてください!この部屋から出しません!」
「そうはさせん!『拘束、我が龍神の名の下に、其の者の力と動きを封じたまえ』!!」
ガチャ!
龍奈は扉を開けることができ、ちゃんと廊下にも繋がった!
そして、部屋を開けまくる。
クロとシロも開けまくる!
どうやって開けてんだろ?
ついに、最後の扉となり、
「やめてください!龍奈様はみないで!!」
という言葉を背後にして、
開けて・・・・・ちょっと探索して・・・・・・・・・・閉めた。
「想像以上でした。ヤバかった。いろいろヤバかった。何作ってるの・・・お兄ちゃん?」
「イヤァァーーーーーーーー!」
泣き叫びながら崩れ落ちるサマエル。
「・・・・・・憐れじゃのう。まあ、部屋はそのままにしておいてやろう。」
憐れみの目を向けられるサマエル。
もう生きていけないと泣きながら顔を両手で覆い、ブツブツ言ってる。
プッ
「あはははははは!もーおかし。別に気持ち悪がらないから、復活して?というか、すごいね、いつ作ったのこの抱き枕・・・!これ感触フッカフカ!!」
「ギャァー、龍奈様!なんで持ってきてんですか?!」
「すごいのう、最近の若者は。まあ、とりあえず、龍奈よ。それを渡しなさい。燃やすから。」
「えぇー、結構触り心地最高なんだよ?燃やすのもったいないよ!私がもらおうかなー。カバーは変えたいけど。」
「じゃあ、カバーは燃やすかの。」
「やめて!力作なんですよ!龍奈様も返して!」
バッ!と抱き枕を奪い、シュバっと部屋に戻り、片付けてくるサマエル。空間を隔離するのも忘れない。
「えぇー。じゃあ、私に抱き枕作って!それちょうだい!」
「・・・いかがわしいもん作ったら消すからな?」
「新しく作るのは構わないです。それと、いかがわしい物なんか龍奈様に作るはずがないでしょう!」
「やった!楽しみにしとくね!」
どんなのができるかな??楽しみだなー♪
「今日はどうしますか?ケルンとベロスを連れて異界にでも行きます?」
「そだねー、あ、おじいちゃんも行く?異世界に遊びに。」
「・・・次から次へと、異世界とはどこに行くつもりじゃ。」
「アルストムヘルムってところだよ。今そこの神々達がお遊びで空間繋げてこっちの世界の人召喚して遊んでるの。こっちの人達にとってはゲームの世界って認識でしかないけどね!まあ、もう機械なしでサマエルの力使えば楽々いけるけど。」
「・・・はあ、規格外にもほどがあるわい。わしは今回は遠慮するわ。ドッキリのための準備が色々とあるんでな。」
溜息をついて、色々と諦めた顔をして言う龍駕爺。
「ん、じゃあ行こうか。ケルン!ベロス!お散歩行くよ!」
「「ガウガウ!」」
大きな黒色の狛犬姿になった2匹が吠える。
「そうだね。あっちでその姿になっても問題ないし、それで行こう!」
サマエルがゲートを作り、それに入る。
出た先は森。
「「ワオォーン!!」」
ひと吠えするケルンとベロス。
その声に怯え、近くの弱い魔物は去り、奥に潜む強い魔物達は目を光らせる。
「さて、まずはどれくらい戦えるかやってみよう!・・・って、私武器ないじゃん!あ、作ればいいのか。まずはコンバートしてっと。」
いつものプレイヤーリュウナとなり、
「次は『創造』!」
武器はとりあえず片手剣2本。初心者装備の見た目で、硬さ重視の切れ味最高な片手剣ってのをイメージして作る。
あ、サマエルは武器要らないのかな?
「サマエルって武器要らないの?前回は爪伸ばして戦ってたけど。」
「そうですねぇ。執事ぽい武器って何か思いつきます?」
「執事ぽい武器・・・ナイフとかフォーク?小型のナイフとかいっぱい投げてそう。」
「ふむ、私は接近戦がしたいので、まあ、小型ナイフがいいですね。切れ味抜群のをお願いします。」
「はいはーい。んーっと『創造』!」
切れ味抜群の最強の武器をあげる。Samaeを筆記体でかっこよく彫ってやる。これでサマエル専用武器の完成だ!
「はいどうぞ!」
「おぉ!ありがとうございます。すごいですねぇ。・・・あ、龍奈様!これって!」
「えへへ、かっこよく彫ってみた。大事に使ってね!まあ、壊れたらまた、作るから言ってね!」
「大事にします!さて、殺りますか!」
「オオォーーーン!!!」
「ガウガウ!!」
殺る気満々だね!さあ、レベル、上がるか検証しないとね。
「よし!1番誰が狩るか勝負!」
「負けません!」




