第20話
〜サク視点〜
リュウナを怒らせて泣かせてしまった。意地張ってたけど、あれは転移した先で泣いてるに決まってる!それもこれも・・・!
「・・・。」
「落ち着いたか?サク。」
「あんなやつの事忘れちゃいなよ。」
「そうよ、私達がいるわ!」
「サク、友達。」
あんなやつ?あんなやつって何?今日会ったばっかりの私の大親友に向かって!!!
私はこんな奴らと遊んでたのか。人選ミスった!リュウナに面と向かって謝りに行かないと!
でも、場所が・・・あ、グランダルっていってたな!国か、町の名前?・・・他に目ぼしい情報は・・・・・・ルカさん!質問の内容に出てきた人!ギルドにいるって言ってた!探して聞いてみよう!何か知ってるかも!
「サク?」
その前にこいつらとはおさらばだ!
「・・・みんなと一緒プレイするのこれが最後にする。フレンドからも消させてもらう。」
「なに言ってんだ。急に!」
「まさか、あんなやつのところに?!」
「やめなよ。」
「そう。私達といたほうが楽しい。」
「さっきから何?私のリア友に向かって、あんた達今日会ったばっかりよね?リュウナのことあんなやつだなんて、ふざけないで!!」
「サ、サク?」
ついカッとなってしまった。でも、しらしめとかないと、こいつらが誰に手を出したのかを!
「・・・リュウナはいろんなゲームやっててね。私はいつも負けて、2番目だったの。・・・ねぇ?シルバ、あんた確か、dark・fantasyってオンラインゲームしてたって言ってたね。ランキングでいつも上位1位と2位だったプレイヤーの名前、知ってる?」
「・・・え、アレは確か。」
「1位がshiroさんで!2位が桜花さんだよね!あの人たちのアバターかっこよくて好きだったよ!」
「あ、この前動画で見たわ!」
「見た。あれは神!チーターをも負かしてた。」
「それ、2位は私よ。」
「え?!」
「・・・桜花さん?・・・あ。サクって桜のサクか!」
「え、じゃあ。1位のshiroって・・・まさか!?」
「嘘。」
「そう!リュウナよ!嘘じゃないわ!あんた達は今、チーターをも負かしていたって言ってたわね。ゲームのなかで、チートを使ったことなんてリュウナはないし、そんな技術を持った年でもないの!なのに、あんた達は!・・・もう、私達に関わらないで!」
言ってやった!!こいつらとの縁はこれっきりだ!早く早く!リュウナの所に!
「待っ!」
「shiro様ってあの子のことだったのかよ。」
「・・・。」
「・・・。」
勝手にショックでも受けてろ。
いい気味だ!
サクはそんな4人を放置して、ギルドに向かった。
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なんか、混んでるな。えっと、とりあえず受付に!
「あの、ルカさんという人を探してるんですが。居ますか?」
「あら、私に何かご用ですか?」
えっ?!まさかのNPC?!
「えっと、グランダルって国か町の場所を教えて欲しいんですけど。」
「グランダル?それは龍人の国の名ですね。どこでその名を?」
「私の友達のリュウナって子です。喧嘩しちゃって、仲直りに向かいたいんですが・・・」
「ッ!リュウナがグランダルに?!どうしよう!先手を打たれてしまう!姉様を連れて早く行かないと!」
「へっ?あの?」
どういうこと?先手?
「す、すみません、取り乱しました。貴女の名前は?」
「サクです。」
「貴女も一緒に来てください。その方がいいでしょう。後は・・・」
「ルカ!リュウナ様はどこですか?!」
え?また増えた?!リュウナ〜どんだけ仲良くなってんのー??
「リュウナはグランダルです!急がなければ!」
「ッ!転移の指輪を使います。行くのは、私とルカね?」
「いえ、この子も!名前はサク。リュウナの友達らしいです。」
「・・・わかったわ。サク、私の肩に触れてください。ルカも。・・・ユーシェ!シグレ!緊急事態なので、ルカを借りますよ!!転移!グランダル!」
「「え?ちょっ?!」」
何が起きたんだろう。ギルドに居たはずなのに、お城の前に来ちゃってる。ここがグランダル?大っきい。
「これはこれは、また珍しい客が来たな。冥土のシェリカ殿?」
「さて、単刀直入に聞きます。リュウナ様はどこですか?チェイル!」
「リュウナ様は、クレア様と一緒だ。今は誰も近づけるなと言われている。客間で待っていただこうか?」
「いえ、リュウナ様とお話ししなければならないことがあるので、それは拒否します。」
「無理だって、そのリュウナが話せる状態じゃないの。」
「・・・?どういうことですか!」
「セントラルで何かあったんじゃねぇの?泣きじゃくりながら転移してきたんだけど。」
「「え?!」」
「・・・やっぱり。」
今は誰も話せない、か。
「あの!客間で待ちますので!リュウナと話させてください!お願いします!!!」
「?誰だそいつは。」
「リュウナの友達らしいです。サク?何か事情を知ってるのですか?」
「・・・はぃ。」
「・・・わかった。まあ、いいだろう。客間に案内しよう。」
リュウナ・・・。
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〜リュウナ〜
あたたかい。クレアが頭撫でてくれてる。落ち着く。眠くなってきた。スー・・・
「あらあら、寝ちゃったわね。泣きすぎて目が腫れちゃって。・・・アシュラ、あなたは何か知ってるの?」
〔知ってるよ。〕
「ッ!?あなた!喋れるの?!」
〔喋れるようになったの、リュウナは他の異界人に虐められたの。リュウナが強いからってみんながリュウナに向けて酷いこと言ったの。リュウナの友達は否定してたのに。否定してるひとその人しかいなかったの。みんなリュウナを悪く言ってたの。オレはリュウナのこと守れなかったの。何も言えなかった。魔獣失格なの。〕
「・・・他の異界人が?・・・・・・あなたはまだ孵化したてなのでしょう。今回、守れなかったのなら次に守ればいいのよ。魔獣失格だからって、今のリュウナから離れちゃダメよ?わかった?」
〔離れない!だって、リュウナはオレが護るんだもん!〕
「・・・でも、あなたはまだ力不足ね。・・・なら、この国の魔獣に弟子入りしたらどう?各国に1匹ずつ魔獣は居るのよ?異界人に魔獣がなつくことは珍しい事なのだけど。」
〔他の魔獣に弟子入り?何を教わるの?〕
「それは、いろいろあるわね。パートナーの支え方とか、あなた自身の力の強化とかね。」
〔・・・でも、リュウナから離れたくない。リュウナはセントラルからしかこの世界に来られない。離れるのは嫌。〕
「それは大丈夫よ。この国についた時から、異界人もここから帰れるし、ここから冒険に出られるようになるわ。異界の扉はもう条件を満たして、開かれているから。毎回、リュウナに言い忘れちゃうんだけどね。」
〔!本当!なら、弟子入りする!〕
「なら、リュウナが起きたら会いに行きましょうか!」
〔うん!〕
「ん、んぅ?」
「あら、起こしちゃった?もう少し寝てていいわよ〜。」
ポンポンと優しく撫でるクレア。
「・・・スー・・・」
〔・・・オレも撫でたい!〕
「え?翼で撫でるのは難しいと思うわよ?」
〔じゃあ、人化する!〕
「え?」
光に包まれてアシュラは人化した!
「なっ?!」
〔これで大丈夫!なでなで〜。〕
クレアのように優しく撫でるアシュラ。
その光景を固まってみるクレア。
「っ。ね、ねえ?アシュラなの?」
〔んー?そうだよー。オレ、アシュラ!〕
「・・・嘘でしょう。魔獣が人化するのは成獣になって何年かした後のはずよ。それに、念話も。どうなっているの?」
その疑問に答える事ができるものはこの世界にも、異界にもいない。神ですら予想だにしてない事だったのだから・・・




