第14話
さて、ログアウトして夕ご飯を食べてよく寝ました。
そして、今日は桜に会いに行こうかな。ゲーム世界のどこかで待ち合わせしようと声をかけたいし。
というわけで、商店街!
活気があって豊かな・・・じゃない、だと!
桜のお父さんに話を聞くと、なんでも、桜がゲーム三昧をして、店番をしてくれなくなったとのこと。
「おじさん、桜のところに案内してくれます?ちょっと叱るので。」
おじさんが元気ないと、買い物に来るおばあちゃん達も心配するんだぞ!桜のやつ!説教だ!
おじさんは、私が叱ると聞いてお手柔らかに頼むよ。といってきたが、甘い!甘過ぎる!
おじさんが飴なら私がムチになってやる!
心は怒れるドラゴン!顔は堕天使の微笑み。さあ、強制ログアウトのお時間だ!
部屋に案内された私はVRシステムを取り付けて横になっている桜のそばに行く。
起こす前に能力をもらっておこう。
『抜け目ないな。お前は。』
あ、おはよう。リル。今日は寝坊しなかったね。
『あぁ、おはよう。で?どうやって起こすんだ?そいつ。』
強制ログアウトの方法は至極簡単、緊急ボタンっていうのを押すだけだよ。その前にアナウンスすることもできる。
『ふーん。なんてアナウンスするんだ?』
実際に見せるね。えっと〜、このボタンを押しながら、
「ピーンポーンパーンポーン!天野桜さんへ、親友の神白龍奈さんから伝言でーす。今すぐログアウトしないと、緊急停止ボタン押しちゃうぞ♪押したらどうなるか知ってるよね?悪くて今までやったことがリセットされちゃうぞ♪戦闘中ならそれが終わったら即離脱、街にいるならすぐ帰ってこい。いいな?」
『脅しかよ。』
だってこうしたほうが早いもん♪
数秒後、
「緊急停止ボタンは押さないで!!!」
「おかえり♪」
「龍奈!ビックリした!なんで家にいるの?!」
「店番さぼりで廃人ゲーマーの桜さんをたたき起こしに♪」
「・・・いや。えっと〜。それは・・・」
目をそらす悪い奴はお仕置きしちゃうぞ♪
「そっか、そっか。桜はそんなにリセットボタンを押して欲しいか。店番さぼって、商店街の活気をなくしちゃう奴にはゲームデータ削除の刑に処すぞ?」
「や、やめて!ゲームの時間は制限するから!ねっ?ねっ?!店番もさぼらないからぁ!」
「おじさんにも謝るんだよ?」
「サーイエッサー!」
ビシッと敬礼したので、まあ、許してやる。
「まあ、これが言いたくて来たんじゃないんだけど。桜とゲームの中でフレンド登録しとこうかと思って、待ち合わせ場所決めに来たんだよね。」
「そっちが本題か。フレンド登録するのはいいよ。場所はセントラルの噴水広場でいいんじゃない?あっちでの私の名前はサクだよ。」
「私はまんま、リュウナだよ。じゃあ、明日の店番終わるの何時?」
「うぐ。・・・ぇえっーとー聞いてくる!」
走っておじさんのところへ向かう桜。
「はいはい。」
さて、コンバート試してみるか。
まずは、説明を読まないとね。
『コンバート』
説明:あるひとつのゲームのステータスと外見を反映する能力。使うには、コンバートするゲームを固定し、“コンバート!”と声に出していうか、心に思うだけで良い。元に戻るには“解除”と言えば良い。
ふむ、コンバート!
固定するゲーム名とキャラネームを答えてください。
ゲーム名Skill・Creator。キャラネーム、リュウナ。
・・・固定完了。
もう一回言えばいいのかな?コンバート!
リーン!
光に包まれ、灰色の髪のロングストレートの髪を持つ金色の目の女の子が現れる。
『それが、お前のゲームの中の姿か?』
うん。凄いなー。これはなかなかいいよ。変身扱いになるし、私とはわかりにくいでしょ。カメラに移りたくなかったり、に顔を覚えさせたくなかったりするときに使おうかな。
解除。
光に包まれ、元の私に戻る。
うん。こっちがいいね。やっぱり。
「おまたせ!えっとね、明日は朝から手伝ってくれれば、昼には遊んでいいって許可もらった!昼の1時にやろう!」
「うん。わかった!ちなみに何レベ?」
「んー。内緒!」
「じゃあ、私も内緒で。」
言えないけどねぇ。私のレベル。1日で何したのか質問攻めされそうだし。
『何レベなんだ?』
教えません!
『龍奈ー、駄目か?』
むぅ。しょうがない。48レベだよ。
『・・・1日でどうやったら上がるんだよ!お前は1日でトッププレイヤーになったと。楽しそうだな。』
うん、結構楽しいよ。本当に異界に行ったみたいだった!
『異界?・・・そうか。ちなみにその世界の名前聞いても?』
えっとね、アルストムヘルムだったと思う。
『・・・・・・そうか。わかった。』
ん?どうかしたの?
『いや、なんでもない。ほら、急に黙ったから桜が疑ってるぞ。』
あ。
「龍奈?どうしたの?」
「ごめん。ぼーっとしてた。今日は、帰るわ。」
「・・・うん。風邪ひかないようにね?」
「私は風邪ひきませんから!丈夫だからね!
というわけでまた明日!」
「うん、また明日!楽しみだなぁ!」
私はおじさんにもあいさつして、桜の家を出た。さて、今日は夜にログインするとして、これから道場に行ってみようかな?こっちでも身体動かしておかないと鈍っちゃうし。
道場に到着!今週は来ないと言ったな!あれは嘘だ!・・・言ってみたかったんだよね、これ。
さて、隆仙爺はなにしてるかな♪
道場横の窓から覗いてみる。
・・・座禅組んでる。暇人か!
石飛ばしてみよう。
『いや、なんでそこでそんなこと思いつくんだよ!』
いや、隆仙爺なら避けられるから。大丈夫。
『・・・避けれなかったらどうすんだよ。』
・・・避けれなかったら、逃げる!
『いやいやいや、救急車呼べよ?!』
大丈夫!大丈夫!さて、石はーこれにしよう!狙い〜をさだ〜め〜て〜!!そい!
ヒュン!キン!
・・・キン?
『キンってなんだ。何かに弾かれた音がしたぞ。』
「・・・何かと思えば龍奈じゃないか。窓の外で何をやっとるかと思えば、石を投げるとはのぅ。」
「なんだ、気づいてたのか。おもしろくない。まあ、いいや、今のどうやって弾いたの?」
「・・・手でじゃ。」
「いやいやいや、無理でしょ。そこはバシッて音がするはずでしょ!今のはキン!だったじゃん!」
「・・・秘密じゃ!」
「むぅ。おけちめ!で?組手する?」
「もちろんするに決まっておる!もう以前と同じくらいに調子は戻っとるからの!ビシバシ行くぞい!」
「はいはい。じゃあ、殺りますか!」
『物騒だな。』
いつものことだよ。
『・・・。』
私は道場に上がり普段着のまま構える。
『胴着とかはないのか?』
あれ、動きにくいもん。こっちのほうがいい。
『・・・そうなのか。?リュウナ?』
・・・。
「・・・ふぅ。行くぞ?」
「どこからでも来い爺。」
その瞬間。爺さんは腕が、龍奈は足がぶれた。
ガッガッ!!
バシッバシッバシッ!!!
「っぐぅ。」
神の目からも少ししか見えなかったが、爺さんが2回龍奈の攻撃を2回は防ぎ、龍奈が3回蹴りを胴、ふくらはぎ、胴の順で入れた。最後の胴は防げず、うずくまる。
「また、速くなっとらんか?龍奈。」
「にっしっし。鍛えるのは毎日してますからね?」
「ぬぅ。次はわしの番じゃ!」
ガッガッガッガッガッ!!!!!
バシッバシッバシッバシッバシッ!!!!!
防ぎきれたけど・・・なんかパワーが上がった?・・・・・・ふむ。もう少しやってみるか。
「龍奈、これからやる技は避けるんじゃぞ?」
「?」
「怪我はさせたくないが試したくなった!」
なんだ?気配が変わった。
何か来る!
「狼牙!」『ガアッ!』
狼がかぶりつくようなイメージが向かってくる。
私はつい、龍気を使ってしまう。それにより、私の背後に西洋のドラゴンのような影が唸り、狼のイメージをかっ消す!
「ぬぉう?!」ドン!
「・・・あ。ヤバ!爺大丈夫?!」
かっ消した後、爺は吹き飛ばされ壁に激突する。
すぐに龍奈は龍気を収め、駆け寄る。
「・・・今のはお前さんの能力か?」
「あはは〜まあ、一部かな?」
「むう。一部か、さすがに強いのぅ。儂もまだまだじゃのう。また、組手に付き合ってのう。」
「はいはい、付き合うよ!」
ダダダダダッ!!!
何やら駆け足で走ってくる音。
「「ん?」」
振り返ると、
「お爺ちゃん大丈夫?!・・・って、龍奈ちゃん!」
息を切らして走ってきたのは、世良さんだった。心配してきてくれるとか優しい子や!
「爺は大丈夫だよ。頑丈だから。」
「まあ、あれぐらいの衝撃くらいなら余裕じゃな。」
「そうなの?まあ、無事でよかったよ!・・・あ、もしかしたら!龍奈ちゃんならなんとかできるかも!」
「?何かあったの?」
とりあえず来て!と言って、手を引っ張られて、世良さんの家にお邪魔する。
「お邪魔しまーす。」
「こっちに来て!テレビのニュース!!」
「ん?」
“只今、イギリスでとある事件が起きています!”




