足跡
ある廃病院に、高校生四人のグループが肝試しをする為に忍び込んだ。……深夜、零時過ぎである。
もう使われなくなって長い、古い建物だった。……建物の内部にはアルコールや薬剤、カビやホコリといった匂いが混ざり合った、不快な空気が充満していた。
「……おい! 足跡があんぞ!」
――その内の一人がいった。……確かに、ホコリの積もった長い廊下に足跡がポツッ、ポツッ、と、続いている。
「なんで、一人分なんだ……?」
違う一人が言った。――全員が見つめ合い、考える。……たった一人で廃病院に肝試しをしに来るような奴が……いるのか……? 全員が、そのようなことを考えた。
「……追いかけてみよう」
足跡を見つけた者が言った。
足跡は、長い廊下に点々と続いていた。跡をつけるように、その後ろに四人は続く。
やがて足跡は廊下を曲がり、階段を上っていた。……四人もそれに習い、階段を上る。
――四階に辿り着いた。もうそれ以上、上の階は無かった。廊下に出た足跡を追って、四人は廊下に出た。
「――ッ‼︎」
ピタッ、と四人は同時に足を止める。――先頭を歩く者が照らした足跡は――。
五メートル程先まで歩き、Uターンしていた。
――こっちを向いている。
「ヤベェ……」
「帰ろう……ッ!」
四人は振り返り、階段を見た。
――そこには、ベッドや車椅子などがうず高く積み上げられていた。
その階には、上れないようになっていたのだ。
(……⁉︎ さっきまでは無かったのに……!)
――誰もがそう思った。
またもや振り返れば、足跡はもう、すぐそこまで迫っていた。
――一歩。
――また一歩。
足跡が生まれる瞬間を、四人は見た。