ギフト (婚約破棄が予定されている)王子からの贈り物
自分が転生者だと気がついたのはお見合いで初めて王子を紹介された時。
「レジーナ、こちらは我が国の第三王子であらせられるオーディナル殿下だ」
王子の名前に何か聞き覚えあるな~ とノホホンとしていたら前世の記憶がフラッシュバックし、そのまま失神。
この世界はネットで読んだ小説そのままだ。ヒロインは悪役令嬢のレジーナ。
完璧令嬢のレジーナは、婚約者に浮気され冤罪をかけられ婚約破棄され国外追放されるも隣国の皇帝に見染められてラブラブに‥
今自分はレジーナだ。年齢は9歳だから体がちっちゃい。ベッドの中で意識を取り戻した私は状況を確認した。見合いをしたのはポンコツ王子になる予定のオーディナル。今から嫌われる予定。
用意されたレールに乗る気はおきなかった。だって今の自分がこれから完璧令嬢になれるのかと考えたら‥ 絶対に無理じゃん。隣国の皇帝ルートは転生した時点でアウト。
それなら他人の人生にただつき合うなんてまっぴらごめんだ。今のレジーナは私。
私は私の人生を生きてやる。
まずはオーディナル王子との関係を断ち切ろう。
再度開かれたお見合いに気合を入れた。
(ここで気が合わないとかなんとかごねて、まずは婚約しないように進めなきゃ)
ポンコツと浮気が確定している奴など早めに切り捨てるにかぎるよね☆
「先日は御見苦しいさまをお見せして申し訳ありません」
「うん、今日はお見舞いの土産を持って来てやったぞ」
王子の側仕えが箱をテーブルに乗せる。
「まあ、ありがとうございます」
リボンもかけられていない箱だから気軽にフタを取った。
ピョン! その瞬間にバッタがとび出す。
「おい、気をつけないと逃げられるだろ!」
芝生に着地するバッタに、王子は飛びかかっていた。
箱の中には、
他のバッタとか! トカゲのしっぽとか! 芋虫をモグモグしているカマキリが!
「ほら」
王子は捕まえたバッタをまた箱に戻す。
「集めるの大変だったんだからな!」
どや顔の王子からは一切の悪意が感じられない。
おそらく100%善意からのプレゼントだ‥ 私は無言で箱のフタを閉める。
(やっべ、ポンコツ王子おもしろ!)
どうしよう、こいつの生態を観察したい。
婚約は断らないことにした☆
側仕えは何しているんだ?




