表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第1話:狼の影

深い森の奥に、小さな村がありました。ある晴れた日の午後、お母さんは赤ずきんに言いました。「赤ずきんや、おばあさんが少し具合が悪いようなの。この焼きたてのパンとワインを届けてあげてちょうだい」


お母さんはそう言って、赤ずきんに小さな籠を渡しました。「森の道は危ないから、寄り道せずにまっすぐおばあさんの家へ行くのよ」


赤ずきんは元気に「はーい!」と返事をしました。しかし、彼女は最近、ただの噂ではない、不穏な情報を耳にしていました。


「ねえ、お母さん、森で最近、ずる賢い狼が目撃されているって聞いたわ。なんでも、人の言葉を話し、姿を偽って村人を欺こうとするらしいの。家畜が不自然な形でいなくなる事件も相次いでいるって……」


赤ずきんは元々、聡明で用心深く、物事の裏を読むことに長けていました。しかしそれ以上に、彼女は生まれつき人との知的な駆け引き、特に命を賭けたような緊迫した勝負事に、異常なまでの高揚感を覚える、という特異な性質を持っていました。この狼との対決は、まさに自身の知略がどこまで通用するのかを試す最高の「ゲーム」になると、密かに予感していたのです。


この狼はただの獣ではありません。その知能は人間並みで、猟師が仕掛ける一般的な罠や、力ずくの捕獲では、一時的に退けることはできても、根絶やしにはできないことは、赤ずきんも以前から懸念していました。表面上の平和を取り戻すだけでは、いつか必ずまた犠牲者が出るだろう。だからこそ、この狼には根本的な「恐怖」を植え付け、二度と村に近づけさせないほどの精神的な打撃を与える必要があると赤ずきんは考えていたのです。


おばあさんの身を案じた彼女は、おばあさんの家へ向かう道すがら、携帯電話を取り出しておばあさんに電話をかけました。


「もしもし、おばあちゃん。私、赤ずきんだけど……」と、赤ずきんはおばあさんに何かを依頼していました。 おばあさんは戸惑いつつも、赤ずきんの強い口調に促され、その依頼に応じることにしました。赤ずきんはその後、さらに周到な準備を整えました。村の猟師には、以前から狼の不穏な動向について相談しており、今日の使いについてもそれとなく伝えていたのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ