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血色の花嫁は雨夜に囁く  作者: 篠崎依月
遠雷

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17/31

 あの日から、距離を感じている。


「……」


 静まり返った執務室の中に小さく溜め息をこぼしながら、蓮は顔を上げた。同時に指から力を抜くと、手にしていた書簡がヒラリと卓の上に落ちていく。


 ──花嫁行列の進行は順調。特に襲撃などに遭うこともなく進んでいる、か。


 宿営地を通過するたびに早馬によってもたらされる書簡は、一行が都の手前まで差し掛かっても危難を伝えてくることはなかった。


 災は少なければ少ない方がいい。旅程が順調で、花嫁も健やかであるならば言うことはない。


 それでも蓮の口から溜め息がこぼれているのは、それとは別件の悩みが蓮の中にあるからだった。


「……」


 無意識のうちに、視線が執務室の中を撫でる。


 だがどれだけ視線を巡らせてみても、蓮の外衣を頭から被った小柄な人影が目に入ることはない。


 ──あっちも、あれ以降禁断症状が出ていないなら、それはそれでいいんだが。


 距離を、感じるようになった。


 それが麗華(リーファ)の行動だけで感じるものではなく、自らの後ろめたさによっても感じているものだということを、蓮は誰に言われずとも自覚している。


 麗華(リーファ)が錯乱した、あの日。


 麗華(リーファ)黒城(こくじょう)に連れ帰った蓮は、『治療部屋』と呼ばれる密室に麗華(リーファ)を押し込むと世話役として自身も同じ部屋に籠城した。


 三日三晩、あの部屋の中で薬香を焚き続け、時折意識を取り戻しては暴れる麗華(リーファ)を寝台へ押さえ付け、水や(かゆ)を与え、諸々の世話を手ずからこなした。痛みに暴れ回る麗華(リーファ)をなだめるために、あまり表立って言うことは(はばか)られる()()()()()も多少は使った。


 それは『麗華(リーファ)が錯乱したまま暴れたら、自分以外では対処できない』『あのまま監禁して放置というわけにはいかなかった』という真っ当な理由があったからだ。


 だがそれ以上に蓮の中には、『今の麗華(リーファ)に他の人間を近付けたくない』という、状況にふさわしからぬ独占欲があった。


(ヘイ)』の幇主(ダーレン)として、あの状況で抱くべきではない感情が、自分の中に強くあった。それが偽らざる真実だ。


【レン】


 そんな気持ちがあるからこそ、同時に思い出す声がある。


【レン、……レン】


 窓も扉も閉ざされたあの暗闇の中で、何度もその呼び声を聞いた。


 蓮を呼んでいるようで、その実『蓮』を呼んではいないと分かる呼び声。


 その濡れた響きに、自分の中に広がったのは、紛れもなく苛立ちだった。


 ──あの時、お前は誰を呼んでいた?


 本来ならば、そんなことに思考を割いている暇はない。


 結局自分達は予定外の祝儀をねじ込んできた犯人はおろか、検閲破りの馬車に火矢を撃ち込んだ犯人の目星さえ付けられていないのだ。そんな状況の中、個人的な、おまけに盗み聞きにも等しい状態で耳にした、言いがかりもいいところな発言にいちいち(こだわ)っている暇などどこにもない。


 ──これだけのことをされたのに、黒幕の尻尾が掴めない。


 予定外の祝儀は、直前になって()()()()()実行をねじ込まれたものだった。


 天燈を飛ばした人間を捕まえることはできたが、誰もが口を揃えてそう証言したらしい。


 黒城側の人間による事前点検も受けて、双方話はついていた。弓を射掛けるという演出の話は聞いていない。自分達はただ黒城側から依頼された通りに天燈を飛ばしただけだ、と個別に聞き取りを行った全員がピタリと同じ説明をしたという。


(ホン)』が行った調査だ。疑う余地などどこにもない。


 それ以上に、実行役は全員街の住人で、黒城と懇意にしている人間ばかりだった。黒城側が顔も名前も把握できるほどの付き合いがある彼らが、口を揃えて嘘を言う理由はどこにもない。


 ──そんな状況が発生するということは、だ。


 黒城の中にまで、ネズミが入り込んでいる。


 黒幕は花嫁行列の進行過程を『(ヘイ)』の動向の詳細に至るまで知っていた。そうでなければあんな風に針の穴を突くような計画は実行できない。矢を射掛けた人間が誰も捕まっていない事実からしても、これは明らかだ。


 それに加えて、相手は黒城が長年懇意にしている住人に対し、黒城の人間を装って接触することにも成功している。


 黒城の中に、……霜天(そうてん)商会の身内の中に、ネズミが入り込んだか。あるいは誰かが裏切ったか。


 そうとしか考えられない状況だ。


 おまけにその裏切り者は、随分と中枢部にまで潜り込んでいるらしい。相手がここまでに見せつけてきた諸々で、それが証明されている。


 ──こっちの中に協力者がいるなら、(いん)(ねい)の中に敵勢力を匿うことも、こっちの情報をすっぱ抜くこともお手の物だもんな。


 とはいえ、その考えを上層部は大っぴらにできない。身内を疑わなければならない状況は、商会内にいらぬ緊張と疑心暗鬼の風潮を生む。その不和から新たな亀裂や火種が起きれば、敵としては願ったり叶ったりといったところだろう。


 調査は游稔(ゆうじん)芙蓉(ふよう)(ばい)(えん)といった疑う余地がない上層部の人間だけで極秘裏に進められている。本来は蓮もそこに加わり、己の配下である『(ヘイ)』の人間達の裏を洗うべきなのだろうが、状況が状況であるだけに蓮はその役目から外されていた。


 端的に言ってしまえば、蓮は対(リー)(ファ)要員として温存されている。


 一番関与が疑われていながら、一番黒幕からは遠い。かと言って無関係ではないだろうと目されている、放置するにはあまりにも危険度が高い不穏分子の監視員兼対処役。


 それが目下、蓮に与えられた、蓮にしかこなせない役割だ。


 ──その点から考えても、こんな感情に振り回されてる場合じゃない。


 禁断症状が収まった。後遺症らしき後遺症も、今のところは見受けられない。


 それならば良かった。その一言だけで終わらせるべきだ。


 ──分かっているはず、なんだがなぁ……


 それでも、何もなかったフリができていない。その自覚が、今の蓮にはある。


 そんな蓮の態度から何かを察しているのか、あるいはあの錯乱の中で何か思い出したことがあったのか。


 あれから正気を取り戻した麗華(リーファ)は、ベッタリと蓮に貼り付くことをやめた。


(ヘイ)』の一員として課された役目は果たしているし、その際には集団行動を乱すこともない。蓮と役目が重なれば行動をともにするし、相変わらず夜は同じ寝台で休んでいる。


 だが以前ならば空き時間は必ず蓮の傍らに戻ってきていたはずである麗華(リーファ)が、あの日以降、蓮の傍に戻ってこなくなった。


 別の誰かとの行動が増えたというわけでもないらしい。鼓条(こじょう)禅譲(ぜんじょう)にも訊ねてみたが、『(ヘイ)』の中で麗華(リーファ)がどこで何をしているのか把握している人間はいなかったという話だ。麗華(リーファ)はどうやら完全に一人で行動しているらしい。


 ──いい加減、放置もマズいよな。


 蓮が一度その話を腹心二人にした時には、(リー)(ファ)に見張りをつけるかという提案も受けた。


 その時は『まだそこまではしなくていいだろう』と様子見を決めた蓮だったが、十日以上が過ぎた今も(リー)(ファ)の単独行動は続いている。むしろ頻度は日を追うごとに上がっているようにも思えた。


 いずれ(リー)(ファ)からその件について何かしらの報告があるかとも思っていたが、今を(もっ)てしてもそんな素振りは見えない。


 ──というよりも。


 最近の麗華(リーファ)がどんな表情を浮かべていたのか、とっさに思い出すことができない。


 それくらい自分達は真正面から視線を交わしていないのかと、今になって新たな自覚が生まれてしまった。


幇主(ダーレン)


 心はまた一段と重く沈んでいく。


 その瞬間、落ち着いた呼び声とともに、扉が控えめに叩かれた。


「よろしいですか?」

「どうぞ」


 馴染んだ声音と気配に、蓮は考えるよりも早く声を上げる。一拍間を開けてから静かに扉を開いて姿を現したのは、蓮の読み通りに鼓条だった。


「失礼します。南北両門の検問報告の件で……」


 きっちりと扉を閉めてから用件を切り出した鼓条は、卓についたまま鼓条を見上げる蓮に視線を置くと『おや』という風に言葉を止めた。そんな鼓条の様子に目をすがめた蓮は、緩く卓に肘をつくと自ら口を開く。


「そんなにヒデェ顔してるか?」

「そこまで思い悩むくらいなら、さっさと(シャオ)(ジュ)を捕まえて話し合った方が良いと思うくらいには」


 蓮の言葉に、鼓条は目をパチクリとさせたまま素直に答える。禿頭に入墨、落ち着いた長袍に身を包んでいても『ガラが悪い』という印象しかない大男が見せる存外幼い仕草に、蓮は思わず目をすがめたまま大きく溜め息をこぼした。


「他にも俺が頭悩ませるべき事案はゴロゴロしてんだろ。何でそこだけ一点集中すんだよ」

「他の事案であれば、幇主(ダーレン)がそんな顔をするとは思えませんので」


 蓮が剣呑な視線を向けても鼓条が揺らぐことはない。むしろ弟を見るような視線とともに苦笑を浮かべた鼓条は、卓へ歩み寄ると若干落とした声音で言葉を続けた。


()


 鼓条の声では久しく聞いていなかった呼びかけに、蓮は思わず頭を支えていた手から(あご)を上げた。驚きとともに鼓条を見上げれば、鼓条は柔らかな苦笑の中にわずかに厳しさも見える視線を蓮に注いでいる。


「私達は、いつ何時、どこで、どんな風に命を落とすか分かりません。その時に抱える後悔は、少しでも少ない方がいい」


 ──その、言葉……


 かつて何度も聞かされた言葉に、蓮は思わず声を詰まらせた。そんな反応を示す蓮の内心が手に取るように分かるのか、今度は鼓条が目をすがめて蓮を見やる。


「言った後悔よりも、言わずに抱えてしまった後悔の方が、きっと大きい」


 霜天商会は、ただの商会ではない。真っ当な商いもしているが、それでも(ヘイ)(パン)としての性質も同じだけ持ち合わせている。合法な商売敵も、非合法な商売敵も、それを超えた(ねた)(そね)みに政敵に至るまで、商会の『敵』は枚挙に(いとま)がない。


(ヘイ)』はそんな敵勢力から商会を武力的に守る立場にある。武力抗争が起きれば真っ先に前線に出るのが『(ヘイ)』だ。


 荒事の世界に身を置く自分達の命は、商会に属する人間達の中でも一際軽い。直接的な斬った張ったで命を落としやすいという意味でも、直接真っ直ぐに恨みを買いやすいという意味でもだ。事実、天寿を全うできずに死んでいく人間の数は『(バイ)』や『(ホン)』に比べてると圧倒的に多い。


 そんな世界の中で、蓮は商会の武力の頂点として君臨している。自ら表立って動くことはない蓮だが、そこそこに顔を知られているという自覚はある。游稔ほどではないが、蓮だって周囲から恨みを向けられ、命を狙われる存在であるのだ。


【君はいずれ、そういう立場に立つ人間になります。今は想像できないかもしれませんが、必ずなるのです】


 商会に拾われたばかりの蓮にそう教え込んだのは、『(ヘイ)』としての蓮の世話役を任された鼓条だった。


 霜天商会は、游稔の父の代に一度壊滅させられた。蓮が游稔に拾われるよりも何年も前の話だ。游稔の両親を殺し、游稔を人買に売り払って忘れ(まつ)()()漬けの奴隷とするよう指示していたのは、当時の霜天商会の商売敵だったという。


 そんな状況から執念で逃げ出した游稔は、自身の復讐のために、潰された商会とあえて同じ名を冠した商会を自身で立ち上げ直した。


 そんな游稔が商売敵と渡り合うために組織したのが『(ヘイ)』だ。蓮を拾い、正気に戻るように処置を施した游稔は、まだ蓮が状況を飲み込めていない状態の頃から真っ正直にその辺りの事情と、蓮を助けた意図を蓮に打ち明けていた。


【僕は君を僕の武力として見せびらかすつもりだ。『君がいるから霜天商会には手が出せない』。君をそういう看板として使うつもりでいる】


 君は確実に僕とともに四方八方から命を狙われる立場に置かれる。僕は君を強制的にその椅子に座らせるつもりだ。


 それが嫌だというならば、君をここで殺す。こっちの実情を全部明かしちゃったから、逃がしてはあげられない。


 だけど君がそれでもいいから生きていたいと言うならば、武力的脅威を除いた君の命の保証は僕が引き受ける。君の身元、衣食住、金銭、その他生きるのに必要な保証の諸々を全て僕が引き受けよう。


【僕に降り注ぐ不条理を全部叩き落とすために。君に僕の相棒になってほしい】


 そう言って差し出された手を、蓮は迷いなく取った。


 その頃には、すでに蓮の記憶は白紙になっていたけれども。『自分は何としても生きていなければならない』という漠然とした決意は、自身の胸にすでに宿っていたから。


【蓮。思ったことも、感じたことも、全部迷わず言葉にして伝えてほしい】


 蓮が拾われた当時、商会は今よりもずっと小さかった。


 前の商会の生き残りと、その()()で雇い入れた数人。精々十数人といった規模で、拠点は焼け崩れた前商会の跡地……黒城が『黒城』と呼ばれるようになる前に建っていた、小さなボロ屋だけだった。


 そんな状況でありながら、『商売敵』達は容赦なく全力で商会を叩き潰しにきた。


 昼夜を問わない襲撃なんて日常茶飯時で、あの頃はこうして静かに書類仕事に励むような日々が日常になるだなんて、正直想像もできなかった。いや、日々を生き抜くことにも、新しい日常に馴染むことにも必死で、未来を想像する余力さえなかったような気がする。


【僕達、こんな立場だし。それ以前に忘れ茉莉花にボロボロにやられて、寿命もどれだけ残ってるかも分からないし】


 そんな日々の中で、游稔は蓮に繰り返しそう口にした。


【考えてることってさ、言葉にしないと伝わらないから。死ぬ時になってさ、『あー、これは伝えとくべきだったなぁ』って思うのも、相手を亡くしてから『あー、もしかしてあんなことを考えてたのかなぁ』って思っちゃうのもさ、お互いに苦しいじゃない?】


 だから、新しい商会の中では、そういうのはナシにしたいんだよね。


 今よりも輪をかけて言葉数が少なかった蓮に、游稔は度々そうやって笑いかけてきた。


 大概の場合、手に湾刀やら銃器やらを握った状態で、全身を敵の血で真っ赤に染め上げながら、だ。


【みんなにそうやって徹底させてるの。前の商会が潰された時に、一番みんなその辺りを後悔してたみたいだからさ】


 游稔のその言葉を証明するかのように、梅煙も、鼓条も、蓮が心の内で何かを思うたびに似たような言葉で蓮をたしなめた。聞くところによると、梅煙は游稔の守役で前商会からの重鎮、鼓条は前商会関係者の縁者であったという話だ。


「今の状況で少主(シャオジュ)に何かあったら、それは貴方(あなた)の心に生涯残る傷になる」


 鼓条が穏やかに紡いだ言葉に、蓮はハッと意識を引き戻された。蓮が『蓮』になる前から商会に在ったかつての蓮の教育係の一人は、そんな蓮にあの頃と変わらない視線を注ぎ続けている。


「貴方がそんな後悔を抱えるところは、見たくありませんからね」


 保護者が『守るべき者』を見つめる視線。それが今、鼓条から蓮に注がれているという事実にいたたまれなくなった蓮は、思わずフイッと鼓条から視線を逸らした。


 それでも、鼓条が正しいことを言っていることも、鼓条が蓮を案じて言ってくれていることも、蓮はきちんと理解できている。その心を無下にすべきではないということも、分かっている。


「……分かった」


 羞恥に近い感情を覚えながらも、蓮は何とか言葉を絞り出した。苦り切った声になっていることは、この際見逃してほしいと願いながら。


麗華(リーファ)と、ちゃんと話す。……もしも見かけたら、俺のトコに早めに顔を出すように、言ってくれ」

「おや。夜になれば貴方のところに戻ってくるのでは?」

「……それが最速だったら、ちゃんとその時に、話す」


 暗に『自分から行かないのですか?』と(なじ)られたことを察した蓮は、舌打ちをしたい衝動を必死に理性でねじ伏せた。そんな蓮の様子を見てようやく手打ちにしてくれるつもりになったのか、鼓条はフスーッと息を吐きながら若干体を後ろへ引く。


「それで」


 話を変えるなら今しかない、と判断した蓮は、顔を向け直すと仕切り直しの声を上げた。


 だがその声は、先が続けられることなくフツリと途切れる。


 部屋の外から、慌ただしい足音が聞こえてきていた。随分慌てているらしい足音は、真っ直ぐにこの部屋へ向かってきている。


幇主(ダーレン)?」


 蓮の表情の変化に気付いたのだろう。鼓条は不思議そうに首を傾げる。


 だがその表情も蓮が椅子から腰を上げた瞬間に消えた。緊張とともに鼓条が部屋の扉を振り返った数拍後、扉は予告なくいきなり開かれる。


幇主(ダーレン)っ! 幇主(ダーレン)、すみませんっ!!」


 走ってきた勢いのまま扉に体当たりをするように飛び込んできたのは、『(ヘイ)』の若手である(かん)(えい)だった。


 ゼェハァと肩で息をした寒影は、自身の上役である鼓条がこの場にいることを見て取っても蓮に向けてだけ言葉を発する。


「殺しです、幇主(ダーレン)っ!!」


 その理由を告げられた瞬間、己の血の気がザッと音を立てて引いていくのが分かったような気がした。


「宿屋の親父さんからの通報で……っ! 結構な数が殺されてるって話でっ!」


 寒影が叫ぶように報告した瞬間、蓮の体は戸口へ向かって進み出していた。


幇主(ダーレン)

「鼓条、今すぐ麗華(リーファ)を探してきてほしい」


 鼓条の呼びかけに答えながらも、蓮は足を止めなかった。そんな蓮の動きを見て取った寒影は、息を整えるよりも早く身を翻し、蓮を案内すべく先へ立つ。


 そんな寒影の後を追いながら、蓮は一瞬だけ鼓条を振り返った。


「嫌な予感がする」


 蓮の言葉に、鼓条は言葉では答えなかった。


 ただ血の気の引いた顔で頷く鼓条は、蓮の言葉を全面的に肯定していた。


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