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第八話 【もう結婚はええわ!】

うちはキュリオスが行方不明なった森に駆けつけた。

ギルドメンバーから事情聞いたらやっぱりキュリオスは魔獣の討伐依頼について気にしてた事、

森に着くなりメンバーの隙ついて行方くらました事がわかった。

せやからキュリオスが魔獣討伐しようとしとるんは間違いないんやけど・・・


「おらんやんけあのボケェ!!!」


キュリオスは森のどこ探してもおらんかった。

討伐対象の魔獣はギルドメンバーが討伐した、せやけどキュリオスはおらんかった。

その周囲の魔獣達のとこにもおらんかった。

ほなどこ行ってん!って話やねんけど、まったくわからん。

森中探し回っても全然おらん!


「華!」


うちが考えとったらエストアが来た。


「やっぱりあいついねぇぞ!森にはもういねぇんじゃねぇか?」


エストアはデートを邪魔されたのに嫌な顔せずキュリオス捜索に手貸してくれてる。

うちはエストアに感謝の気持ちが溢れた。


「ありがとうなぁ、すまんなエストア。

せっかく楽しく過ごしてたのにこないな事なって・・・」


「何言ってんだよ。華が悪いんじゃねぇから謝んな!

それより早くキュリオスのやつを見つけてやんねぇと!夜になったら魔獣が凶暴化して余計危ねえぜ」


エストアの言う通りやった。

夜は魔獣が凶暴化するし、捜索も困難になる。

出来たら日が落ちる前に見つけたいんやけどもう時間があらへん!


「華ちゃぁん!こっち来てぇ!」


捜索に来てくれたノルムが何か見つけたみたいやった。

うちとエストアはすぐに駆けつけた。


「なんやノルム!見つけたんか!!?」


「違うの!けどこれ見て!」


ノルムが指差してるんはただの石ころやった。

なんの変哲もない石ころに見えたけどようみたら・・・


「これ!魔族の魔力やん!!」


「そうなの!魔族の魔力がわずかに感じれるの!

あとこの辺りの土からキュリオス君の匂いがするの!」


「ほんまかいな?!」


うちは状況が思ったより悪いと感じた。

魔族は魔王ベルゼバーン以外にもおる。

ベルゼバーンの配下の奴もおるけど、

大概が人間に敵対的や。

そんな奴らの魔力の近くにキュリオスがおった痕跡がある。

ドワーフのノルムが言うんやから間違いないんやしこれはやばい!!


「エストア!あんたすぐシャーリーに連絡してここに来てもろて!

うちとノルムはこのまま痕跡辿ってキュリオスを追うわ!」


「待てよ!俺も一緒にいくぜ!?」


「あんた今なんの装備もあらへんやん!

ただの魔獣ならええけど魔族の相手せなあかんかもしらんのに連れていけるかいな!」


「くっ!そ、そりゃそうだけどよ!」


魔族はベルゼバーン程やなくても強者が多い。

なんぼエストアが歴戦でも装備無しやと危ないからうちは連れて行くんは断った。


「それに連絡係もいるんやから!あんたに任せたからな!

ほな行くでノルム!」


「はぁい!早くキュリオス君を見つけてあげよ!」


うちらはキュリオスの匂い辿って駆け出した。

後ろからエストアが呼びかけてくる。


「華!ノルム!無理すんじゃねぇぞ!シャーリーが来たらすぐに俺も行くからなぁ!!」


うちはエストアに手だけ振って森の奥に駆け出した。




うちらは森のだいぶ奥深くまで来た。

普段の依頼やとこんなとこまではけえへんし、途中結界で何回も封じられてたから誰かがおるんは間違いあらへん。


「ノルム、注意しぃや?いきなり魔族が来る可能性あるからな?」


「うん!けど多分もうすぐキュリオス君のところに着くかも!だいぶ匂いが強くなってきたよ!」


そう聞いてうちはより一層警戒しながら森の中を進んだ。

右も左も木や草だらけでわけわからんけど、

敵が来たらすぐに反応出来るようにだけはしとく。


「あ!」


急に木々が薄くなったかとおもたら集落に辿り着いた。

小さな集落で遠目からみたらただの村に見える。


「ノルム!あれ、魔族の集落とちゃうか?」


「た、多分。えぇ〜けどこんな所に魔族が住んでるなんて私知らなかったよぉ」


うちもそんなん知らんかった。

魔族は色々おるけど、皆ベルゼバーンが治める魔界に住んでるんが常識や。

森の奥深くとはいえ、人間の街の近くに魔族が住んどるなんてありえへんかった。


「とにかく行くで!キュリオスがおるならあそこに違いないやろ!」


「うん、わかった!」


うちらは集落に近づく事にした。

ゆっくり慎重に近付いていくと、


「ノルム!避けぃ!」


いきなり頭上から誰かが奇襲かけてきよった!

うちはノルムを突き飛ばして自分も回避した。

襲撃者はやっぱり魔族やった。

全身青緑の身体にトカゲみたいな尻尾生やした魔族やった。


「お前何すんねん!」


「・・・侵入者・・・排除する」


魔族はこっちを無視して槍で襲いかかってきた。

鋭い突きをうちは躱しながら魔族に話しかける。


「お前らキュリオスちゅう人間攫ったやろ!?無事なんやろうな?!」


「・・・」


やっぱりこの魔族は無視して攻撃ばかりしてきよる。

うちは反撃するべきか、下手に手出してキュリオスに何かあったらどないしよかとか色々考えとったら、


「華ちゃんになにすんのよ!!」


ノルムがブチギレて魔族に襲いかかった。

うちが止める間もなく魔族の槍ぶち折って、組み伏せて身体中手当たり次第に殴りまくる。


「ははは!もう終わり!?ははは!!」


魔族は必死にガードしとるけどみるみるうちにボロ布みたいになってく。

うちは慌ててノルムを止めた。


「ちょいちょい!!ノルム待った待った!

まだキュリオスの事聞かなあかんねんから殺したらあかんて!!」


うちはノルムをなんとか止めて魔族から引き離した。

魔族はこの一瞬で半殺しどころか9割殺しにされとった。


「お、おい?あ、あんた大丈夫か?うちの言う事わかるか??」


「・・・ぐ、が、」


意識失いかけとる〜!あっかぁん!もしこいつ死んだら絶対キュリオスも殺される!!


「ちょっ!死ぬな死ぬな!ヒールパワー!」


うちはこの間エストアを直した要領で魔族にヒールかける、キスはせんけど。


「あ、ありが、とう」


うちはヒールかけてとりあえず話せるとこまで回復させた。

完全に回復させたらまた暴れられても敵わんからな。


「礼なんかいらんねん、それよりあんたキュリオスの事知っとるやろ??どこにおるんや??」


「そ、それは・・・」


魔族が言い淀んどると集落から声がしてきた。


「なんだ?何の騒ぎだ??」


やってきたんはキュリオス本人やった。




「ほんまにすんませんでした!!!」


うちは魔族の人らに必死に頭下げてる。

魔族の人らは気にせんでええよって言うてくれとるけどうちは申し訳なさでいっぱいやった。


うちらの前に現れたキュリオスから事情を聞いた。

キュリオスはやっぱり魔獣退治を自分でしようとしたみたいやった。

せやけど道に迷ってウロウロしてる間に別の魔獣に襲われて死にかけた。

そこをさっきの魔族の人に助けられて村まで連れてってもらって治療受けとった。

そこにうちらが来て命の恩人の魔族の人を9割殺しにした、ちゅう事やった。


いやこんなん頭下げるしかないやん!!

うちは事情聞いて即効魔族の人完全回復させたからな!

ついでに村中の病人怪我人にヒールかけまくって詫びたからな!

せやけど申し訳なさすぎてまだ頭下げてるんやけど、


「まったく、華はちょっとそそっかしすぎるんじゃないか?もう少し考えて行動しろ」


「そうだよ!華ちゃんったら慌てん坊なんだから!

あ、このお菓子おいしぃ♪」


この騒動の原因と9割殺し女の2人がいけしゃあしゃあとぬかすからうちは本気のゲンコツを2人に見舞った。


ガンッ!ゴンッ!


2人は頭抑えてうずくまる。うちはちょっとだけ溜飲が下がった。


「華ちゃん痛いよぉ!何すんのさぁ!」


ノルムが涙目になりながら抗議してくる、うちは腰に手当てて説教した。


「やかましい!あんたは戦いになったらいつもやり過ぎやねん!!

ハ◯クか?あんた実はハ◯クなんか?!」


「よくわかんないよぉ。

あ、それより華ちゃんも食べる??ここの村のお菓子おいしぃよぉ??」


「いらん!」


「・・・ゲンコツの理由を聞こうか?」


ちょっと遅れてキュリオスも起き上がってきた。

キュリオスにもうちは説教する。


「そもそもあんたがいらんことせえへんかったら良かってん!

なんや一人で魔獣退治て!出来るわけないやろ!?」


「・・・僕にも一応魔術は使える、あの依頼の魔獣なら倒せると思ったんだ」


「その結果死にかけとるやんけ!うちらやギルドにも迷惑や心配かけとるしなにしとんねん!

あんた頭えぇんやからそれくらいわかるやろ!?」


「わかっている!だけど華に好かれたかったんだ!

華が他の男とデートすると聞いたら焦ってしまって、だから魔獣を一人で倒したら気が引けるかと思ったんだ!

・・・けど、結果こんな事になってしまった、済まなかった」


うちは真っ直ぐなキュリオスの気持ちを聞いてこれ以上怒られへんくなった。

せやけどキュリオスがこんなにうちを好いてくれてる理由が知りたくなった。


「な、なんでやねん!なんでうちなん?うちよりえぇ女どこにでもおるやん!」


「以前も言ったが華は僕に人をちゃんと見て愛する大切さを気付かせてくれたからだ。

それに真っ向から僕にぶつかってくれる人も華が初めてだった。

周りの人は皆僕を領主の跡取りとしてしか接さない。

僕に意見したり否定したり、普通の人と同じようにはしてくれない。

だけど華は違った、僕を普通の人間として扱ってくれた。 

それが僕にとってどれだけ嬉しかったか華にはわからないだろう?」


確かにうちにはよくわからん事やった。

うちは普段通り接したつもりやし、特別扱いなんてしてへん。

あ、特別扱いしてないんが逆に良かったんか?


「今もゲンコツで怒ってくれるなんて嬉しかった。ありがとう」


「いや、ゲンコツに礼言われたらうちもどないしたらえぇかわからんやん・・・」


うちが困ってたらキュリオスが勢い出してきた。


「こんな気持ちになったのは初めてなんだ!

華は素晴らしい女性だ!

はっきりと自分の意識を表に出せる強さ!

その強さがあるから僕の立場にとらわれず接してくれた!

さらに他者を慈しみ守る優しさも持っている!

散々迷惑をかけた僕の為にこんな森の奥深くまで探しにきてくれた!

普段から冒険者として皆を守って見守るその優しさにより惹かれるんだ!」


「いや、ちょっ!もうええて!」


うちの言葉を聞かんかったみたいにキュリオスは続ける。


「華は内面も素晴らしいのに外見も素敵だ!

その髪は柔らかな栗色でまるで爽やかな秋をイメージさせる美しさ、

あえて短くする事で今の短い美しさと、

長く伸ばした時の美しさを想像させる。

顔はより美しい!

開かれた眼は純粋さと気高さを併せ持つユニコーンのような澄んだ眼。

鼻は川辺に佇む花のようないじらさ。

口は普段力強い言葉を紡ぎ出しているとは思えないほど美しい形をしている。

その顔を彩る肌のきめ細かさはどうだ!まるで産まれたての赤子のようなみずみずしさじゃあないか!

外見も内面も美しい華に僕は本当に惚れ・・・」


「やかましいわ!!えぇ加減にせぇい!!」


うちは真っ赤になってまたキュリオスにゲンコツ食らわせた!


「お、お前ようそんな歯の浮くような事ペラペラと言えるなぁ!!」


キュリオスは頭抑えながらもまだ心折れとらんみたいやった。


「・・・僕は本気だ。

本気で華に惚れたんだ。

君の夫になれるなら僕は何でもしよう。

どうか僕にチャンスをくれないか??」


キュリオスは真っ直ぐうちを見て言うてくる。

その目には嘘ややましさはまったく無かった。


(なんやねん!こいつなんやねん!

18歳の恋愛感情どないなってんねん!

暴走列車か!列車にスティー◯ン・セ◯ールでも張り付いてるタイプの暴走列車か!

そんなハリウッドみたいな感じやから求婚も外人バリに直球なんか!

ほならこっちは大リーグボールで勝負したろか!?)


うちはあんまりに真っ直ぐなキュリオスの求婚に、頭ん中めちゃくちゃになってわけわからんツッコミ入れまくってた。

もうどないしたらええかなんてわからんし、

求婚を受けてあとは野となれ山となれでいったろかおもてたら、


「あの〜?お取り込み中に大変申し訳ないですが、お連れ様が村にみえたようですよ??」


「え?」


村の魔族からエストアとシャーリーが村まで来たん教えられてうちはもう頭パンクした。


「もう知らんわ!」





「なるほど、つまり貴方がたがキュリオス様を保護してくれたんですね。

本当にありがとうございます」


事情を聞いたシャーリーは魔族達に頭下げとる。

今は皆で村長の家に集まってる。

エストアはうちを心配してあたふたしとるし、

キュリオスはそんなエストア見て不機嫌なってるし、

シャーリーは村長に根掘り葉掘り事情聞いてて、

ノルムはさっきのやりとり全部聞いとったからずっとうちをみてニヤニヤしとる!


「・・・ノルムなんやねん?」


「ふふふ♪華ちゃん良かったね♪キュリオス様のあつ~いラブコールもらえて♪」


「やかましい!今はややこしいから黙っとき!」


うちらがゴニョゴニョしてたらあらかた村長から話聞けたシャーリーが話出した。


「事情はわかりました。本当にこの度はありがとうございます。

しかしわからないのは何故貴方がたはこんな森の奥深くに住まわれているのですか??

魔族は魔界に住んでいるはずですが?」


シャーリーが尋ねたら村長の魔族は苦い顔して語りだした。

なんでもここの村は魔界に住まわれんくなった魔族達の避難所らしい。

魔界は今魔界の王であるベルゼバーンと、

複数の強い魔族達の争いになっとるみたいで、

ベルゼバーン派やけど戦う力なんてほとんどない魔族達は敵対魔族達にめちゃくちゃされてたみたいや。

せやからベルゼバーンのやつが危険な魔界から弱い魔族をこの森に逃がして匿っとったちゅう話やった。

先日の魔獣の侵攻やうちらが潰した拠点もこの村に目いかさんようにするカムフラージュやったらしい。


「はぁぁぁぁ!ベルゼバーンやるやん!案外えぇ王様なんやなぁ?」


うちが感心してたらシャーリーが睨んできた。


「華?事はそう簡単じゃないわ。

村長様?私達人間と魔族の確執は知っていますよね?

魔族が人間の集落からこんなに近くに居たら非常に厄介な事になります」


シャーリーは脅しかけるみたいに凄みだした、村長の魔族はビビり上がってブルブル震えながら、自分達は争いは好まんとかなんとか色々言うとる。


「そういう問題じゃないんです。

人間は魔族がいるだけで敵意を持ちます。

最悪この村が知られたら人間達は徒党を組んで村を滅ぼそうとなだれ込むでしょう」


「ちょいちょい!シャーリー!それはあんまりやで!」


うちはシャーリーを止めようとしたけど、シャーリーはうちを無視して話続ける。


「だから!この村は絶対に見つかってはいけないんです。

わかりますか?見つかったら終わりです。

貴方がたも結界を張っていましたがあれくらいでは全然ダメです。

今から私が結界を張り直します、

継続して張れるように貴方がたにも結界術を教えます。

だから絶対に見つからないようにしてください。

見つかったら私達は貴方がたの味方はできませんから」


シャーリーはそれだけ言うて村長に頭下げた。

村長は涙流しながらシャーリーに感謝して快くシャーリーの指導を受け入れる言ってくれた。



「いやぁシャーリー焦ったで!まさか村を引き払わせるんかおもたで!」


その日の晩、うちらは感謝する村人達に誘われるまま村の宴に参加してた。

村人達は皆ええ人ばかりやけどほんまに気弱な魔族ばかりで、ノルムが倒した門番の人が唯一戦える魔族らしかった。

皆優しいし、門番の人もすっかり元気なってうちらに感謝してくれてた。

そんな人らと楽しく飯食ったら美味いに決まってた。

シャーリーも同じやろう思って話しかけたんやけど、


「華?本当にお気楽さんね?

私最初は本当に村を引き払わせようと考えたわよ?だってどう考えてもリスクが高すぎるもの」


シャーリーは苦い顔してそない言う。

けどうちにはシャーリーの心がちゃんとわかってた。


「シャーリーはほんまに優しいなぁ」


「なんでよ?」


シャーリーはムスッとして睨んでくるけど全然怖くあらへん。


「だってリスク高すぎるんはこの村の人らがやろ?

うちらには正直なんも関係あらへんやん?

せやのに結界張り直したり、結界術教えたったり。

どうせ帰ってからもこの村見つからんようにあれこれ細工するんやろ?

ほんまに優しなかったらこんなでけへんで?」


「・・・うるさいわね」


シャーリーはますます膨れてそっぽ向いてもた。

せやけどうちはこんなシャーリーがほんまに大好きや。


「うちはシャーリーと友達で幸せやなぁ♪」


「・・・気分よく浸ってるけどキュリオス様の事どうするのよ?求婚されたんでしょ?」


シャーリーにツッコまれてうちは飲んでた酒吹き出した。


「な、ななな、なんで知ってんねん!!」


「あれ」


シャーリーが指差した方にはええ感じに酔ったノルムが村人に向かってなんやら劇しとった。

器用に土魔術で人形まで作ってしとる劇はさっきのうちとキュリオスのやりとりやった。


「あんのガキ!!!いてもうたる!!!」


うちはノルムに飛びかかろうとしたらシャーリーに止められた。


「はいストップ。その前にあっちをなんとかしなさい」


シャーリーが次に指差した方にはエストアがこの世の終わりみたいな顔で一人酒飲んでた。

明らかに落ち込んどる。


「・・・嫌や、絶対嫌や」


うちは拒否したけどシャーリーが魔術つこうてすでにうちの身体の動きを完全にコントロールしとった。


「ちょっ?シャーリーさん?」


「・・・エストアはうちの稼ぎ頭だから優しくフォローしてあげてね?」


シャーリーはニコォってめちゃくちゃ怒った顔のまま笑ってて、はっきり言って竹◯直人の百倍怖かった。


「あ、シャーリーさんもしかして怒ってはるかな?

嫌やわぁ、さっきからかったん気にしてんの??

さっきのは冗談やん♪そんな怒らんといてな?な?」


「行ってらっしゃい華。頑張ってね♪」


シャーリーのお許しは出んかった。

シャーリーが手を一振りしたらうちの身体はエストア目がけて一目散に滑っていった。


「うわぁぁぁぁ!シャーリーの鬼ぃぁぁあ!」


うちはすんごい勢いでエストアの横に着地した、

エストアはびっくりしたと同時にうちの顔みて目そむけた。


「は、華か、なんだよ?」


「いや、まぁ、あ〜げ、元気か?なんやあんた元気ないみたいやん」


うちはとりあえず無難な話題に逃げた。


「あぁ、大丈夫だよ、俺なんてほっとけよ」


エストアは明らかにほっとかれへん雰囲気でちびちび酒飲んどる。

うちはとりあえず隣に座って様子見る事にした。


「なぁ?なんか悩みあるなら聞くで?うちら仲間やん?」


うちはエストアにそない言うてみたけど、エストアは苦笑いしながら首振るだけや。


「本当に大丈夫だって。それより良いのかよ?こんなとこ見られたら彼氏に悪いじゃねぇか」


「いや大丈夫ってあんたなぁ・・・

ちょいまち、今なんて言うた?」


うちは聞き捨てならん言葉に一瞬フリーズしたけど改めて聞いてみた。


「いや、だからお前キュリオスと付き合う事になったんだろう?

それなのに俺なんかに構ってたらやばいだろう?」


「なーんーでーやーねぇぇぇん!!!」


うちは思いっきりエストアの胸にツッコミ入れた。

エストアは数メートル吹っ飛んだ。


「な、何すんだよ!」


「何でうちがキュリオスと付き合う事になっとんねん!

誰から聞いたんや?!」



「あいつ」


エストアが指差した方にはノルムが劇以下略やった。

うちはとりあえずノルムに向かって全力のスキルブッパした。


「グリコキッーク!!!!」


「ぎぃにやぁぁぁぁ!」


ノルムは森の彼方に吹き飛んだ、けど知らん!


「おいおい、いくらノルムでも死ぬぞ」


「知らん!それよりうちはキュリオスと付き合ってないからな!求婚はされたけどOKしとらん!」


うちがそない言うたらエストアは一瞬目丸くして、その後顔輝かせながら大はしゃぎしだした。


「な、なんだよぉ!ノルムのデマかぁ!!なんだぁ!マジかぁ!いやぁ!騙されたぜ!いやぁぁ良かったぁぁぁ」


全力で大はしゃぎするエストアに見てるうちが恥ずかしくなる。


「ちょいちょい!もうええて!そんなはしゃぐなや!」


うちが止めてもエストアのはしゃぎっぷりは止まらんかった。

そしたら村長の家からキュリオスが出てきた。


「なんだ?騒々しいぞ」


キュリオスは騒ぎの原因がエストアとしり不機嫌になってた。


「いやいや、すまんな!けどちょっと嬉しくてな!」


「そんなに人の恋路が上手くいかないのが嬉しいか??」


キュリオスはさらに不機嫌に言い返す。

せやけどエストアも負けとらん。


「あぁ、嬉しいね!お前なんかに華をやらずに済むからな」


「お前みたいな三下傭兵にお前呼ばわりされる謂れはないぞ」


「こっちもたかが魔獣討伐も出来ない坊っちゃんに三下扱いされる謂れはねぇ」


2人は睨み合ったままビリビリしとる。

うちがどないしたらええかオロオロしとったら、


「なんだ!なんの騒ぎだ!」


村の上空にベルゼバーンがおった。

どうやら村に来るためにワープしてきよったみたいやった。


「なぜ人間がここにいる!貴様ら村を荒らしに来たのか!?」


ベルゼバーンは怒った様子で構えるけど、うちを見かけた途端急に態度変えた。


「おお!華ではないか!ついに我が妻になる用意が出来たのだな??」


「いやいや!ちゃうちゃう!」


うちはまたややこしなる前に否定したけど、

エストアとキュリオスにちゃんと聞こえてたみたいで、


「え?華!まさかキュリオスを振ったのはベルゼバーンと付き合うから?

そんな・・・」


「魔族にも魔王にも僕の想いは止めれない、

華、思い直してくれ!」


2人は勝手に落ち込んだり、熱くなったりしとる。

ベルゼバーンもベルゼバーンで、


「うん?おやおやどうしたんだ?我が妻になるなら早く準備しろ?」


やっぱり勝手になんや言うとる。

それ聞いてまた2人があわちゃわちゃする、

はっきり言ってめちゃくちゃめんどくさがった。


「ええかげんにせぇぇ!うちは誰とも付き合わんし、もう誰とも結婚せえへん!

結婚なんてもうええわぁ!」


うちは力の限り大絶叫した。

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