第十話 【幸せの形!】
うちが居た空間は砕けた。
気が付いたらベルゼバーンと決闘した場所に戻っとった。
「・・・なんやねん」
今のうちは色んな感情が頭ん中ぐるぐる回りまくってパニックやった。
オトンとオカンに会えた喜び、
離婚の真実を知った驚き、
極めつけが結婚だけが幸せとちゃう言われめちゃくちゃ困惑した。
今までの人生や、
これからの事や、
ほんまに色んな事考えるけど、今はなにより・・・
「ベルゼバーン!お前何勝手に人の親召喚して・・・」
うちはとりあえず親を勝手に召喚したベルゼバーンに対する怒りをぶちまけたろ思たけど、
その様子見て言葉失った。
ベルゼバーンはうちからちょっと離れたとこで、膝ついて座ってた。
せやけど身体全体がモロモロで、風の一吹き事に散っていく有様やった。
「おいおいおい!あんた何しとんねん!?」
うちは慌てて駆け寄った。
せやけどその風圧で余計身体が塵になってまう。
「は、華、少しは、話せたか?」
弱々しい声で話すベルゼバーンは今にも砕けそうやった。
うちは身体抱きかかえてなんとか治癒でけへんか試してみながら怒鳴りつけた。
「あんた何しとん!?何で死にかけやねん!?」
「はは、少々、魔力を使い、過ぎたようだ。
ほ、本来この召喚術は、一人を一瞬召喚、する術だからな。
さ、さすがに二人を長時間は無理だったようだ」
「お前アホやろ!?」
うちは勝手に無理して死にかけとるベルゼバーンにさらに怒り湧いてきた。
うちの周りの男はこんなんばっかりか!?
「勝手に無理して勝手に死ぬなや!絶対うちが治したるからな!」
うちは全力ヒールをかけるけどベルゼバーンの身体はどんどん砕けて塵になってく。
「も、もう良い、我は満足だ」
「お前の満足とか知らんねん!!はよ治らんかいボケェ!!」
うちはヒールを使うけどベルゼバーンは全然治らん。
もう方法は一つしか無かった。
「ああぁ!もう!なんやねん!!」
うちはベルゼバーンに無理やりキスした。
その瞬間うちのスキルが自動発動して、ベルゼバーンの身体をくまなく光らせた。
ほんでみるみるうちに身体再生させてあっちゅう間に元通りになった。
「お、お前、何を??」
ベルゼバーンは驚いた様子で口抑えながらうちを見てくる。
驚いたんはこっちやけどな!
「うちのスキルはこんな事も出来るねん!凄いやろ!
てかほんまええ加減にせぇよ?!何勝手に死にかけとんねん!」
「・・・済まなかった、華と両親の時間を出来るだけ長く取りたかったのだ」
「ありがたいけど自分が死にかけとったら意味ないやろ!!
そもそも何を勝手に親召喚してくれてんねん!」
うちはそこからベルゼバーンを小一時間怒鳴りつけた。
数時間後
冒険者酒場
「お前らほんまええ加減にせぇよ。
うちの知らんとこで勝手にごちゃごちゃしよって!」
うちは今はアホ三人を正座させて説教しとる。
アホ三人とはもちろん、
「エストア!お前は何、人の過去ペラペラ喋っとんねん。
うちは確かに口止めはせんかったけど、話してええかだいたいわかるやろが!?」
「う、うぅ、す、済まなかった」
「キュリオス!お前もお前で何禁術とか探し出しとん!
禁術言うからには禁止されとるんちゃうんか!?
人の上に立つ人間がそんなんしてええんか!?」
「・・・面目ない」
「ほいでベルゼバーン!
お前は死にかけるまで禁術使うってアホか!?
お前魔王やろが!お前が死んだら家臣も民も困るんちゃうんか!?」
「・・・その通りだな」
エストア、キュリオス、ベルゼバーンの三人や。
こいつらはうちに断りもなく禁術使って親を召喚しよった。
行為自体には感謝やけど、許せるかはまた別問題や!
ちゅうわけで三人を公開説教しとるんや。
「華?もうそのくらいにしてあげなさい?
三人も反省してるじゃない」
「やかましいわ!シャーリーもどうせ手貸したやろ!わかってんねんで!」
うちは止めに入るシャーリーにツッコミ入れた。
これだけの禁術をアホ三人で完成出来るわけないから、誰かが手貸したはず、
ほならうちには一人しか思いつかんかった。
「さぁ?私は知らないわよ?
でもあの術のおかげで両親と再会出来て、
誤解が解けて、結婚について考えれたんでしょ?良かったじゃない」
「良くないわ!急に再会させられてどないしたらええかわからんかったし!
結局答えも出んかったしな!」
「あら?そうなの?」
シャーリーはしらばっくれて答えへん。
うちがこいつどないしたろか考えてたら、
「華よ、まだ答えはでないか。
我々は黙って待つつもりだったが、いい加減待ちくたびれたぞ」
「はぁ?!なんやいきなり!」
うちは突然急かされてめっちゃ焦った。
「ん~~まぁ確かにな!待つつもりだったけどよ、ただ待つってなかなかしんどいしな!」
「同感だ、どちらの答えが待っているにせよ、はっきり言われた方がスッキリする」
ベルゼバーンの言葉にエストアとキュリオスも乗ってきよる。
うちは三方から包囲された気分やった。
「な、なんやなんや!お前ら手のひら返して急に催促してきよってからに!
あれか?お前らは金貸しか!ミナミで帝王か!?」
うちのしどろもどろなツッコミを無視して三人が迫ってくる。
「「「華!誰を選ぶんだ?」」」
三人はキレーにハモって聞いてくる。
シャーリーや、ノルムやギルドの面々もみんな興味津々や。
「ん~~はぁ、ほな言うたるわ。
うちはまだ結婚する気あらへん」
うちの返事に三人は顔を見合わせて困惑しとる。
「あんな?うちわかったんや。
幽霊のおとんらに会って話して、結婚だけが幸せとちゃうってようやくわかった。
ほんでうちの幸せの形ってまだわからんねん」
うちは自分自身の気持ち整理しながらゆっくりゆっくり話した。
「まぁあんたら三人はええ人らや。
ほんまにうちなんかにはもったいないくらいええ男やと思う。
せやけどな、やっぱりうちはまだ誰かと添い遂げる覚悟ないんや。
すまん!うちが臆病やからあんたらの気持ちに答えられへん。
せやけどほんまに嬉しかったからな?」
三人は苦い顔して固まってもた。
「あ〜ほんでな?うち今が割と幸せやねん。
依頼こなして酒のんで、シャーリーやノルムとアホみたいに騒いで。
ほんまに幸せな日々やからまだこの感じ終わらせたないって思った」
「・・・華」
シャーリーがなんとも言えん顔で見てくる。
うちは構わず続けた。
「幸せの形が色々あるなら今はまだギルドでバカやってたいんや。
無理に結婚しても幸せなられへんかもやし。
せやからうちがもう少し納得出来るまで待ってくれへんかなぁ??」
うちの勝手なお願いを三人は黙って聞いてた。
しばらくの沈黙の後にまずはベルゼバーンから話しだした。
「・・・わかった。華が幸せを見いだせたのならば我は邪魔する気はない。
華の気が済むまで今の生活を続けるが良い。
我は魔族だ。百年待っても時には困らんからな」
「ベルゼバーン・・・」
うちはベルゼバーンの覚悟に胸打たれた。
こいつはうちのことまだ諦めとらん、何年何十年でも待つ気や。
「ならば僕も納得せざる得ないな」
「キュリオス」
キュリオスがちょっと拗ねた顔してそっぽ向いとる。
うちにはその様子が歳相応の子供に見えてえらい可愛いく感じた。
「華の幸せを願うのは僕も同じだ。
華が幸せでいられるようにギルドの運営に力を貸すよ。
正直このギルドの運営はまだまだなってないからね」
「ふふふ、言ってくれるわ」
キュリオスの言葉にシャーリーが意地悪い笑いを飛ばす。
うちはこの二人がおればギルドはずっと大丈夫やと確信でけた。
「おいおい、お前ら二人がそう言うなら俺だけ駄々こねてる場合じゃねぇな」
今度はエストアが観念したみたいに手広げた。
「華、お前の気持ちは良くわかった、
俺も待つよ、ベルゼバーンみたく何百年ってわけにはいかねえかもだけど、人間の俺が待てるだけ待つよ」
「エストアァ」
うちはエストアの気持ちも感じてめっちゃ申し訳なくなった。
なんでこいつら三人はうちなんかをこんなに好きなんやろか??
「ほんますまんなぁ、うちなんかの為にすまん。
お前らみんな大好きやで」
「それはありがたいな、まぁ我としては華より賜った接吻で数千年と生きれる心地だからな」
うちは涙ながらに三人を称えるけどベルゼバーンが妙な事言い出した。
「なに!お、お前!華とキスしたのか!?」
エストアが驚いてベルゼバーンに掴みかかる。
「無論だ、話に聞けばお前も賜ったようではないか」
「あ!そう言う事か!ちくしょう!てめぇそれが狙いで魔力限界まで使ったんじゃねぇだろうな!?」
エストアとベルゼバーンが揉めだしたらみんながワイワイ囃し立てだした。
一方キュリオスは一人酒場のカウンターに座ってぶつぶつ言うとる。
「・・・あれはキスじゃないだろう、あくまで救命措置であって華はそんなつもりじゃ、でも・・・」
うちはキュリオスがちょっと可哀想なったから隣に座った。
「な、何だ?!」
「いや、あんただけ可哀想やからちょっとサービスさしたろおもてな」
うちはキュリオスの頬にキスした、自分でもこんな事出来るなんて思わんかったけど、なんや自然とでけた。
「な、なな、な」
キュリオスは顔真っ赤にしてえらい驚いとる。
なんでそないにびっくりするんや?
「なんや?嫌やったんか?」
うちが聞いたらキュリオスは黙って首横に振る。
「ほうか、ほな良かったわ♪」
うちは納得して酒注文しようとしたら、
「あ〜!今華ちゃんとキュリオス君が、キスしてたよ!私見たぁ!」
ノルムが騒ぎ出してまた騒ぎがデカなった。
「なぁにい!キュリオス!てめぇ抜け駆けか!」
「待つと決めたばかりで抜け駆けとは貴様恥をしれ!」
エストアやベルゼバーンが中心にワイワイ騒ぎ出す。
観客もガヤガヤ騒いどるし、ノルムはまた再現とかしとるし、
シャーリーは飽きれて一人高みの見物してる。
当のキュリオスはまだ顔真っ赤にして必死に弁明しながら顔はにやついてきとる。
うちはそんな様子見ながら思う。
あぁ、幸せってこんな感じかぁ。
ずっとこんな日々続いたら幸せやのなぁって。
そう想いながら飲むビールは今までで一番美味かった。
End




