私たちの流星刀
(お知らせ)キャラクター紹介は活動報告(女子高生が刀鍛冶になる!)に掲載しています。投稿日が一番古い記事です。
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物語の主人公、藤原 刀美は幼少期、両親と共に古式日本刀鍛錬の様子を観て育ち、アクリル板越しに刀鍛冶職人が刀の素体をハンマーで叩く姿と真っ赤な火花を放つ情景に感動を覚えた。いつか、あの職人さんみたいに刀の素を叩いてみたいと心に誓った。
それから十年の時が過ぎた。
ある日、空地(弥勒寺史跡東遺跡をモデル)に小さな隕石が落下した。
その隕石は真っ赤に燃えて銀色の塊になり、鎮火した。
翌朝のニュースでは全国的にその隕石落下事故が話題になった。
刀美は登校時間になったので自宅を出て直ぐ傍のバス停(せき東山)に向かい、関シティターミナル行きののバスに乗った。 因みに彼女はかなり小柄で、左の横髪にいつも刀の鍔(一期一振)を模したピンク色の髪飾りを付けているのが特徴である。
当駅に到着すると彼女の友人、虎野 小豆が待っていた。
「刀美ちゃん、おはよう! 今朝のニュース観た?」
「うん、あれは凄かったね! もし、人の住んでいる所に落ちてたかと思うと冷や冷やするよ。空き地で良かったね。」
小豆は刀美の幼馴染でとても仲が良くおっとりとした性格で髪型はストレートロングヘアーである。
雑談をしながら関駅で長良川鉄道に乗り換え、北濃方面に向かい関下有知駅に到着した。
彼女たちが通っている高校は下有知高校(現実の関有知高校)である。
この高校は校則が割と緩くて自由気ままな生活が出来る事で人気が有る。
部活も色んな部が有り、小豆は実家が和菓子店の為か料理部に所属している。
そして3人目の少女 小瀬 鶴子は陸上部に所属している。
彼女は実家が鵜匠のため基礎体力を付けるためにこの部で体力維持をしていた。
男勝りのサバサバした性格で髪型はポニーテールである。
「よお、刀美、小豆、オッス!」
彼女は教室で二人を待っていた。
4人目の少女 角田 立夏はいつも本を読んでいるので読書部に所属している。
しかし物静かな性格のため挨拶は頭を下げるだけで声は小さく「おはよう」と言う。暗い性格に感じるが意外な面もある。
更に言うと体格も他の女の子よりも大柄で背も高い。
そして、この4人は普通の高校生活を送るのだが有る出来事をキッカケに物語が一変するのである。
先日、遺跡に落下した隕石が各務原航空宇宙博物館の研究所に収容されて検査を受けた。
更に、この素材が刀にも応用できるという事が分かり、関の刀剣委員会のメンバーが招集された。
「ほう、この隕鉄はなかなか素晴らしい」
「ええ、この素材で新しい刀剣が作れると思うとワクワクするわい」
この業界は鎌倉時代から続くため伝統があり、職員も年配が多い。
しかも、刀匠は昔から男性であり、何か業界に衝撃を与えるような革命が有ると良いなと考える者が一人いた。
「ワシとしては偶には女の子が作った刀を見てみたいな。これを機に女子刀も良いじゃ?」
「はあ、あんた何を言っているんだ?日本刀鍛錬をなめとんかい!」
そんな中、刀美の祖父、藤原貝蔵が判断を下した。
「ワシに心当たりが一人おる、ワシの孫娘に製作の意思があるかどうか確かめよう」
「えっ?お孫さんをお使いになるのでしょうか?」
「そうじゃ、何か不満でも?」
「いいえ、そのような事は御座いません」
刀美の祖父は有名な刀匠で、既に引退しているが、刀剣の委員会の中でも地位が高く、逆らう人は誰もいない。貝蔵は今の時代、刀鍛冶では生活していくのが厳しいため若い男性でも跡取りがいない事を考え、最後の思い出としてこのような企画を立てる事にした。
貝蔵は帰宅後、刀美を呼び出した。
「刀美、話がある。ちょっと来てくれんか?」
「なあに、おじいちゃん?」
「お前、刀を作ってみたいか?」
「えっ?私が? でも刀って男の人が作るものでしょ?」
「そうじゃ、本来は男の仕事じゃが近年、全国的に跡取りも殆ど居ないし、今回は隕石が落下して被害を受けたお寺(弥勒寺をモデル)のお坊さんに、落ちた隕石を刀にしてその売れたお金を寄付しようという事なんじゃよ」
「ふーん、困った人の役に立ちたいんだね」
「そうじゃ、武士道とは決して単に武術や剣術が強いだけではないんじゃ。強きものは弱きものを救うのが仁義じゃ。 19世紀末、トルコのエルトゥールル号遭難事故を覚えているか?」
「うん、社会科でトルコと日本が仲良くなったキッカケだもんね? あれを知って私も日本人であることを誇りに思えるよ!」
「ワシもあれを知って確信したんじゃよ。強い事だけが武士ではない。他人を思いやってこそが武士なんじゃと。私は決してお前に刀匠になれてとは言わん。じゃが今回は人助けの為に御刀を作ってくれんか? お前一人には押し付けるつもりは無い、誰か友達と一緒でも構わんよ」
「分かった。おじいちゃん! クラスメイトの小豆ちゃんや鶴子ちゃん達を誘ってみるよ」
善は急げと言う諺もあり、刀美は小豆の両親が経営しているお店に足を運んだ。
その店は和菓子処で常にお客さんが待っている。小豆はその家業手伝いをしていた。
「小豆ちゃん、ヤッホー!」
「刀美ちゃん、一体どうしたの?」
「えっへへ。実は大事なお話が有って来たんだぁ」
「その話って何?」
「私と一緒に刀を作ろうよ!」
「えっ? でも刀匠って皆、男性でしょう?」
「でもおじいちゃんは今回は女の子だけで刀身を作って欲しいんだって。他にも色んな根回しはあの人がやってくれるから」
「うーん、刀美ちゃんがそこまで言うのなら…とりあえず両親に相談してみる」
「小豆ちゃん、有難う!」
刀美は嬉しさの余り、小豆を思いっきり抱きしめた。
そして彼女は鶴子の居る場所に向かった。
鶴子は丁度、鵜匠の特訓をしている所だ。
小瀬の長良川の向こう岸から大声で刀美は彼女を呼んだ。
「鶴子ちゃーん!」
「おう、刀美、どうした!」
「あのね、私と小豆ちゃんと一緒に刀を作るの手伝ってくれないかな?」
「面白れぇー! いっちょやってみっか!」
鶴子は運動系の女子の為、こういう事には関心を持ってくれるので話が早かった。
そして4人目は角田 立夏である。
他の2人と違って普段は大人しくいつも読書をしているので話しかけにくいという抵抗感は有ったのだが古式日本刀鍛錬を見学して最低4人は必要なのでどうしても立夏を仲間に入れる必要があった。
しかも彼女の実家はうなぎ専門店なのでそればかりを食べている為か他の3人よりも大柄で背も高かった。体力は十分に有る人材だった。
「ねえ、立夏ちゃん、私と刀作りしない?」
「…興味ないわ」
「そっか、じゃあ、この写真、クラスの皆に見せようかな?」
「はっ! ああぁー! するする、しますからそれだけは勘弁して」
その写真はなんと立夏が丸い眼鏡を掛けて元気にウナギ店の接客をしている姿の写真だった。
(写真は立夏の生い立ち ~私たちの流星刀 前日譚~を参照)
普段は物静かで四角い眼鏡をしているのでまるで別人だった。
家業手伝いで両親からそのような振る舞いを叩き込まれたので仕方が無いのだが、同級生に見られると流石に本人は恥ずかしい。
しかし立夏は刀美には心を許す器があった。
刀美は4人の中でも背が低く妹みたいな存在で女子の中でも人気が高かった。
立夏は自身の背の高さを気にしており、自分とは体型が対照的な刀美が小さく可愛らしいという感情があり、その本能を抑えるためか、刀美には少しよそよそしさがあるものの、本当は刀美が好きでたまらないのだ。 だから多少の意地悪でも憎んだりしなかった。
しかも、立夏は眼鏡の形でキャラが変わるという特殊な性格の持ち主だ。
メンバーが揃った後、貝蔵はその4人を関の鍛錬所(関鍛冶伝承館)に呼んだ。
「君たち、よく来てくれた。では一通り、工程を説明する」
古式日本刀鍛錬は現在の工法とは違い、とても手間は掛かるが完成度は現在の工法よりも品質が高く、戦国時代で使われた刀に近い質感が得られるからだ。
その方が高く売れるという考えもあるし、大富豪は高くても良いから珍しい物を欲しがる傾向がある。
そして今回製作する流星刀の種類は太刀である。
刀剣博物館でよく見かける反りのある刀はこの種類が多い。
戦国武将に登場する刀もこの種類をよく見かける。
それに反りが有る方が直刀よりも折れにくいというメリットがある。
よって貝蔵はこの種類を選んだ。
「何せ、今回は女の子が4人で製作するんじゃから丁寧に教えんとな」
直ぐ傍に貝蔵の弟子が居る。
「ええ、藤原先生のお孫さんや年頃の若い娘が相手だと教え甲斐が有ります」
「そうっす!」
昭和や平成と比べれば令和になってからは弟子も大分減ってしまった。
貝蔵の弟子も残っているのがこの二人だけである。
流星刀を除いて刀剣の知識や伝統はこの二人に任せようと検討していた。
その弟子たちが作刀の工程を説明した。
先ずは試し作りとして短刀を勧めた。いきなり本番で太刀はハードルが高いので短い物から始めることにしたのである。
工程は簡潔に言えば「1水へし 2小割り 3積み沸かし 4折り返し鍛錬」 特に4は刀が長いほど何度も繰り返す工程なので手間が掛かる。
そして「5造り込み 6素延べ 7火造り (細かい説明は図鑑を参照)で一通り工程は終了した。
しかし4人の女の子にとっては初めての刀作りなのでドッと疲れが溜まった。
「はあ、はあ、はあ、刀作りってこんなに大変なんだね」
「ええ、はあ、はあ、こんなにキツイ仕事だから男の人がやるのが普通だもんね」
「そうかな、私は良い汗かいて楽しかったなけどなぁ」
「…」
今回は練習という事でお開きとなり、本番は貝蔵が追って連絡する事となった。
翌日になって放課後、学校の教室で4人が集まった。
「みんな、昨日は無理に付き合わせて有難うね」
「別にいいわよ。人助けの為だし」
「おう、良いってことよ」
「私は…もう降りる」
そう言って立夏は教室を後にした。
すぐさま、刀美は彼女を追いかけた。
「立夏ちゃん。どうしたの? どうして辞めちゃうの?」
「なんか私には性に合わないから…」
刀美の後を追うようにゆっくりと鶴子が近づいてきた。
「なんだ立夏、図体でかい癖に根性無しだな?」
「私は本来、読書が好きで、貴方みたいに運動は好きじゃないの」
「そうかよ、そんじゃ辞めちまえ」
「鶴子!、それは言い過ぎよ」
小豆も彼女らの傍で聞いていた。立夏の言い分も良く分かる。本来、この作業は男性向きで女性にとってはキツイからだ。
「そうだよ、元はと言えば私が悪いの…」
刀美には立夏に本人の恥ずかしい写真を見せて強引に勧誘をしている。
それに負い目があるのだ。
「刀美ちゃん、私はそのことはもう気にしていないの、それがキッカケで貴方と話ができるようになったから」
立夏はそのまま家に帰ってしまった。
彼女はベットの上でうずくまって泣きながら謝った。
「ごめんね、刀美ちゃん…」
人間関係において特に学校の部活は大きく分けて運動系と文科系がある。
当然、鶴子は運動系で立夏は文科系である。どうしても価値観は双方異なり気が合わないのは仕方がない。でも学校はそれを学ぶ場でもある。
一方、鶴子は自宅でふてくされており、親父さんが話しかけても返事が無い。
「おい、鶴子、少しは手伝って鵜の面倒見れ」
鶴子の家系は先祖代々、鵜匠でありそれを受け継いでいる最中である。
「なんや、学校の友達でも喧嘩したんかい?」
「別に、父ちゃんには関係ねえ…」
「まあ、お前は陸上部だから集団的スポーツってものがりかいできねぇかもしれんが、鵜飼でもそれは似たようなもんだ。鵜だってチームワークが出来てやっと俺たちが一人前の鵜匠になれるってもんよ。
それなら人間同士でも一緒や」
「はあ…」
彼女は立夏の事は決して恨みとかは無いのだが、思ったことを直ぐに口にする癖が有るのでそれが喧嘩別れする原因にもなっていた。 心の中で明日、立夏に謝ろうかと悩んでいた。
その頃、刀美は小豆にある事を頼んでいた。
小豆は両手にミラーレスの高そうなデジカメを持っている。
しかも彼女は顔を真っ赤にしている。
「と、刀美ちゃん、本当にこんな恥ずかしい格好撮るの?」
「うん、立夏ちゃんに対しての罪滅ぼしだから我慢するよ」
そして数日が経って刀美は立夏に会った。
「あのね、この写真を立夏ちゃんにあげる」
「えっ? 一体どんな写真を…えーーー!」
その写真を見た立夏はいきなり鼻血を出した。 凄いリアクションだった。
何と、その写真は刀美がメイド姿で恥じらっている写真だった。
あまりの可愛らしさに、立夏は凄く興奮してしまった。
「わぁー!立夏、鼻血が出ているわよ!」
「いいわよ。幸せ過ぎて死んじゃいそう」
丁度、そのタイミングで鶴子がやってきた。
「お前ら、何やってんだ…」
「あら、あんた、そこに居たの?」
「居たのって…! まあ、いい、此間は悪かった」
「…私こそ、弱音を吐いて御免なさい」
「これで二人とも仲直り出来て良かったね」
刀美が二人の手を持って握手したと同時に、その写真が鶴子の手の元にヒラリって落ちてきた。
「ん、何だ、この写真…ってぶはははっはーーーー!」
鶴子は刀美のメイド服写真を見て爆笑した。
「あー!鶴子ちゃん、酷い! 私が恥ずかしい思いをして撮った写真なのに!」
「んーな事言われても可笑しいものはしゃーねえだろ、あ、ははは、腹がイてー!」
こうして4人は再び再結成したのであった。
それから数日後、関の鍛錬所に隕鉄が運び込まれた。
本来、古式で刀を製作する時の作業着は烏帽子に白い衣装が用意されるのが一般的だが貝蔵は初めて女の子が本格的に刀を鍛錬するという事で特別に色付きの衣装を用意した。
まず、刀美は桃色、小豆は黄色、鶴子は水色、立夏は緑色が用意された。
其々のキャラクターのイメージカラーである。 貝蔵は本人のイメージに合わせてくれた。
しかも、サイズもピッタシだった。古い人なので人を見る目はあった。
「わあ、こんなに可愛い色の衣装が有ったんだね、有難う!お爺ちゃん」
「なあに、ワシからのプレゼントじゃよ。また汚れたらすぐに用意してやるからな」
「お爺さん、どうも有難う御座います」
「爺さんが、感謝するぜ!」
「お爺さん…どうも、有難う御座います」
彼女はモジモジしながら手に何かを握っている。
「おい、立夏、何持ってるんだ?」
「眼鏡よ、しかもただの眼鏡じゃないわ」
そのメガネは逆三角形型で吊り目状だった。
それはさておき、加熱された隕鉄が4人の少女の前に用意された。
「これが以前、お寺の前の空き地に落ちた隕石の塊なんだね…」
本来の玉鋼とは異なり、地球外物質なのでそれなりの迫力はある。
それでも鉄には変わりないので刀に出来ることは可能である。
「よし、始めるぞ!」
それと同時に少女4人が皆、気合を入れた。
更に立夏は手に持っていた吊り目状眼鏡を掛けて表情が変わった。
凄く迫力のある表情だ。 鶴子よりも気が強く見える。
「おまえ、キャラ変わったな…」
普段から強気の鶴子もドン引きした。
鍛錬が始まり、刀美は鞴、つまり鍛冶屋が火力を調節する為の送風器を動かしながら真っ赤になった隕鉄を取り出した。
そして、小豆、鶴子、立夏の3人はハンマーをお互いタイミングを合わせながらトン、テン、カンを何度も繰り返した。
それから約3か月が経ち、ようやく完成した。
初めて本格的な刀を製作したので、それまでに何度も失敗してこれだけの日数が経っても仕方が無いのである。
その御刀が白い絹の上に丁寧に置かれると、刀の上身の部分がとても輝いて見えた。
「わぁー、これが私たちが作った御刀なんだね…」
「あんなに真っ赤に溶けていた鉄がこんなに美しく見えるなんて…」
「やったぜ」
「諦めなくて良かった…」
「君たち、本当に有難う。今回で女性が作ったという事例が出来た。
そして、隕石が落下した場所の近くに住んでいるお坊さんのお寺の修繕費が払えるわい」
「そうだね、待ってね。お坊さん」
完成してから色んな検査が行われて、全世界でオンライン配信のネットオークションが開始された。
入札価格は5百万円から開始されたが本品は隕石でしかも女の子が製作したという事で勢いよく入札件数が入った。
そして開始から一時間後、何と一億円という価格で落札が確定した。
某大富豪の男性である。
「オー、これがシューティングスター・ソード、しかもガールズ・ソード、サイコウネン!」
上手い日本語でコメントを言ってもらえた。
「ええー!私たちの作った刀が一億円だって!」
「あれだけ苦労したんだもん、何か十年分働いた気分だよね!」
「よっしゃー! 一億ゲット!」
「刀って凄い…!」
後日、刀美たちは貝蔵と共に大富豪から受け取ったお金を用意して被害を受けたお寺を訪ねた。
「坊さん、居るかい?」
屋敷の奥に居た住職は無気力な状態で玄関まで来てくれた。
「はい、どんな御用で?」
「お坊さん、このお金でお寺を直してください。よろしくお願いします!」
用意されたジュラルミンケースの中身は一億円が入っていた。
それを見たお坊さんはびっくりして腰が抜けた。
そして立ち上がりそのケースを見たら確かに一億円あった。
「あ、あああ…有難うございます!」
そのお坊さんは泣き崩れてしまった。近年、檀家も少ない上に隕石は直撃はしていないが地面にぶつかった時の衝撃でお寺の周りはボロボロで生活は絶望的だったのに女の子がこんなに大金を用意してくれたのはとても嬉しかった。
お坊さんにとって彼女たちは仏さまに見えた。
流石にお寺の修繕に一億までは必要が無く余ったお金は全国各地の自然災害の義援金に分配され、彼女たちは話し合って各10万円だけを貰う事にした。
「君たち、本当にこれだけで良いのかい?」
「うん、私たちはお金よりも世の為、人の為に役に立てたのが嬉しいの!」
貝蔵はこんなに思いやりのある女の子たちを見て感動した。
後日、全国から新聞記者やテレビ局らが彼女たちの高校に来て校内が騒がしかった。
そして校長がこの4人を校長室に呼び出しマスコミたちもカメラを用意してフラッシュをいっぱい浴びた。
「君たち、世の為、人の為に働いてくれて本当に有難う!」
彼女らは校長からの感謝状を受け取り、4人組の代表として刀美が選ばれ、マスコミに対してコメントを言った。
「全国の皆さん、おはようございます! 私の名は藤原刀美と申します。私の祖父であり有名な刀匠でもある藤原貝蔵の孫娘です。私は有るキッカケで日本刀を作る事になりました。それは市内に隕石が衝突してその周辺に被害が及んだことが分かりある決断をしました。
私たち女子高生がその隕鉄を刀にしてオークションに出品すれば世界的にも価値が有るはずだと確信したからです。本来、刀は男性が製作するのが一般的ですが女性が鍛錬、しかも女子高生が製作した事は前代未聞です。だからこそ世界的にも価値が高いと判断して高額な値段が付きました。
でも、手に入れたお金は私利私欲では無く世の中の為に寄付する事が良いと判断しました。
刀は決して人を殺すの為の武器ではなく世の中の平和の為に存在すべきだと思います」
彼女が発言した後、皆が一斉に拍手した。
「刀美ちゃん、こんなに小さいのに凄く大人に見えたよ~」
「よく言った! 刀美!」
「刀美ちゃんが益々好きで堪らなくなってきた!」
立夏はまた鼻血を出した。
そして、先日、大富豪に売れた御刀がワイドスクリーンに表示された。
立夏は漏れた鼻血を拭き、丸型の眼鏡に差し替えた。
普段使っている角型が汚れたため仕方が無い。
スクリーンの背景は青空の模様になっている。
そのスクリーンの前に4人が立った。
「その御刀は貴方たち4人が製作したのですね?」
次から次へとフラッシュやシャッターの音が飛び交った。
「そう、これが…」
「私たちの流星刀です!」
おしまい