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8.前世の私と前々世の私 2

イーデアル公爵領本宅に戻り、夕食を頂き、部屋で一人考える。三階の客室。昔、フィオナだった頃の部屋ではないが懐かしい。


解放された二人の記憶を思う。今の私よりも一歳年上の初等学校二年生の学年末までの九歳。


私の前々世、ギーガ・マクス・ア・メディアスタ帝国皇帝ゾフの第三皇女『エリザベート・F・ア・メディアスタ』。

母親は筆頭公爵家ファストリア出身の四星女性。母親はMRの違う双子を懐妊したために不吉と言われ実家に戻された。双子の四星兄は出産。母親もエリザベートを産んですぐに亡くなった。エリザベートは母親の兄である伯父の子供として育てられる。初等学校入学前、父皇帝の第三皇女となる。

初等学校二年生の頃は、父親に皇太子になるように言われた時だ。絶対的な『力』を欲した子供時代。大切な人達を守るために。必死になって魔法の練習をしていた。


私の前世、ゴ・リキ・マ・アール王国王孫王女『フィオナ・マ・アール』。

父親は、国王エドガー・マ・アール。母親は、筆頭公爵家イーデアル出身の四星女性。母親はMRの違う双子を懐妊。双子の四星兄王子を死産、五星妹王女フィオナを早産で産んだ後亡くなる。そして、フィオナは産まれてすぐに父親に『呪詛』をかけられ、王子の姿に変えられる。初等学校に入学前に祖父王から自分は本当は王女であるとその真実を聞かされる。父親の『呪詛』の魔力量を超えた時にフィオナは王女である本当の姿を取り戻すことが出来る。


初等学校の二年生の頃は、一生懸命『フィオナ王女』になるために頑張っていた頃。フィオナは、『フェリオ王子』だったから。『王子』とは違う『王女』らしい言葉遣い、所作などを身に付けるために。幻影魔法で初等学校三年生から編入学するために。『フェリオ王子』と『フィオナ王女』の一人二役するために。


二人とも必死だった幼少時代。父親のベタベタちゅうちゅうから逃げ出したくて留学を決めた私と全く違う。私の母上の幼少時代の話も侘しいと思っていたが、この二人もなかなかだ。



『【もう少し大きくなったら教えてあげるけど、私の少女時代は最悪よ。亡命したくらいね。私が滅びの原因って言われているけど、私の責任ではないわ。不名誉極まりないわ。】』

『まぁ、あなたが原因なことは原因よ。エリザベート。あなた、適切な対応の出来ない子供だったのよ。』


『【煩い、フィオナ。甘えん坊の淋しがり屋のクセに。】』

『はぁ?それ、私の父親のせいだわ。不可抗力よ。赤ん坊の私の責任ではないわ。』



「静かにして。言い合いならば二人だけでやって。」



『【そうよね。ごめんなさい。悪かったわ。】』

『私もよ。申し訳なかったわ。フィアレアラ。』



フィオナは普通の言葉で話すが、エリザベートは【旧帝国言語】だ。【旧帝国言語】は世界共用言語なのだが、今では世界国際会議くらいしか使われない。発音が難しいのだ。加えて文字も難しい。専門家でも苦労するくらいに。



『フィアレアラ。私達、あなただから、あなたの今までの記憶ならば私達も共有しているわ。あなたが、留学前に調べたことと関係があるから、その部分の人間関係を説明するわね。私の子孫になるから。』


「うん。王位継承問題ね。フィオナの子孫だと思ったわ。フィオナの記憶は九歳までだけど分かっているわよ。フィオナは、フェリオとして王位を継いだのよね、複数の子孫を得るために。九歳の時点では悩んでいたみたいだけど、結局、そう選択するしかなかったってことよね?」


『ええ。私しか若い王族五星がいなかったから。フェリオの姿で複数の五星の子孫を得ることを選択したわ。』


『【フィオナはね~、そんなことを言っているけれど、きれいごとよ。フィオナは頭の中が男だから自分の結婚相手が男なんてイヤだっただけなのよ。】』


『煩い、エリザベート。…まぁ、そうだけど。仕方ないじゃない。ずっと私王子だったのだから。』



フィオナの九歳までの記憶は全て開放されている。確かに。完全に『男』だわ。初等学校の同級生の女児と何話したらいいのか分からなくて、友達は全員男児。当然、男友達は恋愛対象にはならない。なのに結婚相手に男性なんて無理だと私もそう思う。フィオナは、大叔母の魔法指導と王女教育の時間以外のほとんどの時間を『王子』として生活していた。



『【人間関係って言ってもね、私とフィオナが分かるのはフィオナが死ぬ前までよ。フェリオの王位を継いだのは、フィオナの第一王女アリアレイア、アリアレイアの第一王子アンリ、アンリの第一王女アクアリア。

今の王国の国王は、アクアリアの二人の王子のどちらかの子孫なのかは分からないわ。クレアの孫王子はアクアリアの王配になって、王族はいなくなったから、アクアリアの王子であることは間違いないけれどね。】』


「繋がるかどうかくらい?クレアって誰?」


『そうよね、そんなところかしら?クレアは、フィオナの五星第二王女よ。成人後は王族に残ったわ。

前イーデアル公爵ゼビオに聞いた方が手っ取り早いかも?

第一王子の魔力の方が強かったから、第一王子が次の国王とは思うけれどね。第二王子は王族として残った可能性が高いわ。第二王子もそれなりに強い魔力だったから。第二子だったけど、両親が旧帝国皇族家系五星だから。』


『【傍系の王族五星王女は本来国王の七親等だったのならば、繋がらないわ。聞いた方が早いわよ。】』


『やっぱりそうよね。フィアレアラ、申し訳ないけれど、明日、ゼビオに聞いてくれないかしら?』

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