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73.第一王子ソウル 5

初等学校三年生の二学期が始まった。ぼくは、一学期期末休みにノーストキタ公爵領に行った経験から、自分はとても恵まれているのだから、もっと強く生きることに決めた。無い物ねだりをして落ち込むのは、止めようと。


二学期は、五の月に参観日と、七の月に運動会がある。そして、五の月の参観日に、なんと、初めて母上が見にきていただけることになった。


『母上が初等学校に来ていただけるなんて入学式以来だ。』


ぼくは、純粋に喜ぶことにした。母上は、ぼくだけでなく、フィアレアラ皇女様の授業も見に行く予定なことも分かっている。だけど、それでも、母上が来ていただけるなんて嬉しい。去年までは、クロード伯父上様の妻である義叔母様が娘のクララいとこ姉上様を見に来たついでにぼくのところにちらっと寄ってくれるだけだったのに。


参観は、一年生は二時間目の授業、二年生は三時間目の授業、三年生は四時間目の授業なのだが、母上たちは、一年生の授業から見学していた。たくさんの貴族夫人たちと一緒に。


母上は…。

最近の母上は社交的になった。侍女達の仕事の様子を見て回ったり、小さなパーティーや、お茶会を開き、貴族夫人達と交流するようになった。そして今日は、一年生の授業の様子まで見学して回っている。


「ソウル様。第一王妃陛下が参観にいらっしゃることはぼくの母上からお聞きしていました。母上は、二つ年下のぼくの妹の学年も見に来てくださるかも知れないとは言ってましたが、本当に一年生の授業から見学して回っているなんて、驚きました。」


友人にそう言われたが、ぼくも最近の母上の行動力に驚いている。今までの母上ではありえないから。


四時間目には、ぼくの教室に来てくれた。45分授業の全部ではないが、最初の15分と最後の15分はぼくの教室で見学してくれた。途中の15分は違う教室を見ていたのだろう。一年生も二年生も全部のクラスを回っていたらしいから。


ぼくは、嬉しくて先生の質問には、全部手を上げた。指名されて答えたのは二回だけだが、母上達はニコニコしながら見てくれていた。


母上達は、七の月の運動会も見に来てくれる予定だ。ぼくは、今年、児童会の会長をしている。三年生の運動会は、児童会会長の一番大きな仕事で、この仕事を最後に三年生の児童会役員は引退する。八の月の頭に新児童会役員の選挙があり、旧役員である二年生、三年生から新役員の一年生、二年生にメンバーが入れ替わる。


ぼくは、運動会で児童会会長として、開会と閉会の挨拶をすることになっている。格好いいぼくの姿を母上に見てもらえると思うと、自然に練習に力が入った。


運動会は大成功し、ぼく達三年生はもうすぐ児童会から引退だ。二年生の新会長候補は二人。今の児童会二年生副会長のリマリーエと、帝国留学生フィアレアラ皇女様。例年、二年生の旧副会長が新会長になるのだが、今年は…どうなのだろうか?


『以前のプライドの高い傲慢なリマリーエならば、絶対譲らないと思うけれど、今のリマリーエはフィアレアラ皇女様を立てて自分は副会長でいいと引きそうだな。フィアレアラ皇女様は帝国の皇女殿下なのに初等学校人気ナンバーワンだしな。』


フィアレアラ皇女様は、運動会のクラスリーダーをやっていた。彼女のクラスは、団結力一位だったし、走るのもめちゃくちゃ早くて注目を集めていた。

バッシュもクラスリーダーになって頑張っていた。彼のクラスの団結力も良かった。三年生のぼくらが驚くほど、二年生はどのクラスも男女が団結して盛り上がっていた。


そして…、

ぼくが思った通り、彼女が新児童会会長になり、リマリーエは副会長になった。


もうすぐ二学期も終わるが、フィアレアラ皇女様が我が国に留学して来てからみんな変わった。彼女に対する劣等感がなくなったわけではないが、ぼくだって二学期は自分なりに頑張ったと思っている。二学期末テストの成績も良かった。

ぼくは、このテストの成績を持って母上のところに相談にいくつもりだ。ぼくは、将来、医師になりたいと思っている。そのために、中等学校は、医療コースを受験したいと。

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