7.前世の私と前々世の私 1
※注意事項※
フィアレアラの前世のフィオナと前々世のエリザベートとフィアレアラの三人の会話は、フィアレアラの頭の中での会話になります。
誰が話しているのか分かりやすくするために、次話以降も基本的には
フィアレアラは、「」、フィオナは、『』、旧帝国語で話すエリザベートは『【】』で表示します。
また、エリザベートは、自分と会話する相手に【旧帝国語】で話すことを強要するので、他の登場人物が【旧帝国語】で話す時も【】が付きます。
少しややこしくなりますが、ご了承ください。
気付いたのは、旧マ・アール城の医務室だった。旧マ・アール城は、一部役所として使われていて、図書館などの色々な施設も入っているらしい。
「フィアレアラ皇女殿下。良かった。気付かれましたか?殿下が急にお倒れになり心配いたしました。医師を三人よびましたが、皆、眠っているだけで心配ないと言っていましたが、心配致しました。寝不足でしたら、こちらでもう少しお休みになられますか?」
「大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ありません。ゼビオ様。眠ったらすっきりしました。
…私、どのくらい眠っていたのですか?」
「三時間少しです。もう夕方です。」
私、そんなに寝ていたの?はぁ~、エリザベートとフィオナのせいだわ。あの二人、私の頭の中でごちゃごちゃ喧嘩して。あの二人が私の前世と前々世なんて超イヤなんですけど。しかも、フィオナって、私が、歴史で習ったあのフィオナ・マ・アールなのに、実際の本人は…、完全に『男』だった。
『失礼ね。フィアレアラ。私は『女』よ。』
『【微妙ね~。九割くらい『男』だったわ。】』
『そうかも…。』
『【ねぇ、フィオナ。フィアレアラにもう少しあなたの記憶開放したら?九歳ってあなた完全に『男』じゃない。フィアレアラがあなたみたいに『男』になったらどうするのよ。】』
『何歳でも同じよ。私、ほとんど『男』だわ。』
『【…そうかも知れないわね。ならばあなたの記憶は開放しない方がフィアレアラのためね。ほとんど『男』なんてありえないわ。私一人で十分だわ。】』
『はぁ?あなただって私とあまり変わらないわ。いえ、私の方がマシだわ。あなたの最低な私生活はフィアレアラには絶対に開放しないことをおすすめするわ。』
『【妃が五人もいた女に言われたくないわ。】』
エリザベート、フィオナ共に記憶の解放は九歳までと九歳以上の一部必要と思われる記憶。記憶だけならばまだいいのだが、二人の言い争いが鬱陶しい。大人になったら、子供の頃よりも我慢しないワガママな大人になってしまったと思われる。こんな大人になるくらいならば、もう記憶の解放なんて要らない。
『失礼ね。フィアレアラ。私の孫のレアラの子孫のクセに。』
『【そうよ。私の遠い子孫のフィアレアラ。私はね、伝説の末子皇女『エリザベート・F・ア・メディアスタ』なのよ。私の記憶があるなんて光栄に思うことね。私に扱えない魔法なんてないに等しいんだから。】』
なんて傲慢なんだろう、この二人。ヤバいんですけど。
『エリザベートよりも私がマシよ。』
『【フィオナよりも私がマシよね。】』
『はぁ?私だわ。私、エリザベートみたいに暇に任せて好き勝手してないし。私は超忙しい国王だったから。』
『【はぁ?確かにフェリオの時は真面目だったけど、フィオナに戻った途端に自分勝手な無鉄砲女だったわ。私の方が100倍マシだわ。】』
マジ煩い。引っ込め。二人とも。
二人を深層に閉じ込める。出せ出せと騒いでいるが無視する。
「…殿下?フィアレアラ皇女殿下。やはり、我が家でお休みになられますか?お疲れのところご案内など申し訳ありませんでした。」
あの二人がごちゃごちゃ煩いせいでぼーっとしてしまい気を遣わせてしまった。再び大丈夫だと答えた。帝国を出発したのは、深夜0時だった。初めて船で寝たためにあまりよく眠れなかったみたいで、急に眠くなってしまい、心配させてしまった。申し訳なかったと。