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6.王国留学 1

一年生の学年末休みが始まるとすぐ、私は、同盟国ゴ・リキ・マ・アール王国のイーデアル公爵領に行った。深夜に帝国を出発し、ついたその日は、ここに滞在し、領を案内していただける。案内役は、前イーデアル公爵ゼビオ様と次期公爵ゼオン様。


「ようこそ。フィアレアラ皇女殿下。歓迎いたします。」


ゼビオ様とゼオン様は、港まで私をお迎えに来てくれてそう言った。そして、その後、邸宅で昼食をいただいた。


「フィアレアラ皇女殿下。殿下のお母上様のサミィレアラ皇女殿下は、『レアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下』の子孫だとお聞きしました。」


ゼビオ様にそう言われて、そうだと答える。


「実は、『レアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下』の祖父は、我が国の国王陛下だったフェリオ・マ・アール陛下だとご存知ですか?」


知っていると答える。だから亡くなった母上のルーツであるこの国に来ることを楽しみにしていたと答える。


「そうですか。そのフェリオ・マ・アール国王陛下の第一王妃様は我がイーデアル公爵家出身の女性なのですよ。第一王妃様の産んだ第一王女殿下がフェリオ国王陛下の次の国王アリアレイア陛下。実弟第二王子ヴィアラン殿下の娘が『レアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下』なのです。フェリオ国王陛下の母親も我がイーデアル公爵家出身の女性です。なので、フィアレアラ殿下と我がイーデアル公爵家は遠い祖先ででもつながっているのです。つまり、殿下は、我がイーデアル公爵家の子孫でもあるのです。さらには、私の曾祖母様は、アリアレイア国王陛下の第一王女ティーラ様でした。ティーラ王女様とレアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女様は、従姉妹同士になります。」


私は、自分が『レアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下』の子孫であることを証明する物を持っている。だから私の名前は『フィア『レアラ』』なのだと言った。


「もしかして、二刀対の短刀ですか?私の亡くなった曾祖父母が言っていたのです。『我が国の王族と帝国の皇家の紋章の入った二刀対の短刀を持つ者がもし助けを求めたら必ず助けよ。その方は我が国の王女殿下だったレアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下の子孫で、我がイーデアル公爵家の子孫でもあるから。名前は必ず『アラン』か『レアラ』。もし違う名前ならば、本当の持ち主を探せ。』曾祖父母は私に何度もそう言いました。」


その短刀で間違いないと思う。そして、何故短刀の持ち主が『アラン』か『レアラ』なのか。それは、持ち主を示すお印がレアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下のお印『レアランの花』だから。そう答えると、前公爵ゼビオ様は、感極まって涙を流した。


「そうです。私も、亡き曾祖父母にそう言われました。その二刀対の短刀をレアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下に与えたのは、レアラ王女殿下の祖父フェリオ・マ・アール国王陛下と養母第50代皇帝エリザベート・F・ヤ・マティス陛下。両刀の持ち主を示すお印は共に『レアランの花』。なので、短刀を受け継ぐ子孫は必ずお印にちなんだ名前であると聞きました。フィアレアラ皇女殿下、もし、その短刀をお持ちならば、私に見せていただけませんか?」


別にかわまないと、短刀を出す。短刀は普段から持ち歩いている。私が『レアラ』だと証明する私の御守り刀だから。


「えっ?フィアレアラ皇女殿下、今、どこからこの短刀を?もしかして収納魔法ですか?」


そうだと答える。いつの間にか出来るようになっていたと。


「殿下はまだ初等学校一年生が終わったばかりなのに凄い魔力と魔法の技術なのですね。

では失礼致します。ああ、凄い短刀ですね。素晴らしいです。

ありがとうございます、フィアレアラ皇女殿下。曾祖父母の言っていた名刀が見られるなんてとても嬉しく思います。レアラ王女殿下の子孫のフィアレアラ皇女殿下にお会いできたこととても嬉しく思います。我が領で暫しごゆるりとお過ごしください。午後から旧マ・アール城にご案内致します。」


前公爵ゼビオ様は、昼食後、旧マ・アール城に案内して下さった。


「フィアレアラ皇女殿下、この肖像画は、我がゴ・リキ・マ・アール国王初代国王ジュリアス国王陛下の少年時代の家族画です。真ん中の少年がジュリアス国王陛下。ジュリアス国王陛下の母親のエリザベス王太后陛下は、古の旧大帝国ギーガ・マクス・ア・メディアスタ帝国から亡命した皇女エリザベート・F・ア・メディアスタ皇女殿下だったと伝えられています。殿下は、エリザベート・F・ア・メディアスタ皇女殿下をご存知ですか?」


もちろん知っている。旧帝国の滅びの原因となった膨大な魔力を持つ末子皇女殿下だ。我が帝国の大皇帝第50代エリザベート・F・ヤ・マティス陛下のお名前は彼女に由来する。古の末子皇女殿下のように強い魔力を持つ先祖返りの皇帝陛下だ。彼女以前の皇族の魔力は滅亡寸前まで減少していたらしい。今の皇族の半分くらいしかなかったと聞いている。


「エリザベス王太后陛下が抱いている乳児が我がイーデアル公爵家の祖ジョージ第二王子様です。我が国と殿下の帝国は、千年以上前から祖を同じくする親戚なのです。」


ああ、懐かしい気持ちになるのはそのためなのか。この国王の間も懐かしく思う。あの肖像画も。我が第一王子ジュリアスはあの頃から私に拘るマザコン少年だった。


…えっ?


私?今、何を?


『エリザベート、だめよ。まだ早いわ。』

『【煩いわね、フィオナ。大丈夫よ。】』

『フィアレアラはまだ八歳よ。』

『【十分だわ。】』


???

何だろう?私の頭の中で、誰かが何かを言い合っている?


…誰?


エリザベート?フィオナ?エリザベートって私?フィオナって私?


頭が痛い。記憶が混乱してくらくらする。誰かが私を呼んでいる。ゼビオ様?ゼビオって誰だったかしら?私は?私は誰?ここはどこ?私の名前は………。

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