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560.【番外編】六大公爵家パニック 3

【イッチバーン公爵家 2】



「ヨバルテ公爵は、まだかしら?遅いわね…。」


「陛下、ヨバルテ公爵様でしたら、もうそろそろ皇城にお着きになられます。ヨバルテ公爵家から兄五星ご嫡男ではなく妹四星ご令嬢なのかと二度ほど確認の連絡があったそうです。そのために少し遅れているのかと思われます。」


使える者がそう報告しています。確かに緊急呼び出しに五星嫡男ではなく四星令嬢なんて間違いではないのかと思う気持ちも理解出来ます。


「令嬢は、今日の主役よ。ザカラン国王陛下の第一王女様と同い年に生まれたことを光栄に思うことね。まぁ、でも、四星では、お守りするのに力不足だから、ロクデカン公爵家の分家五星の令嬢を帝都に呼ぶのよ。ああ、そうだわ。あなたたち、分家に五星の10歳の子供はいないのかしら?」


「我がイッチバーンの分家筋に9歳の五星男児がいますが、一学年下になります。帝都にいる分家五星はその子くらいです。自領にも分家筋に五星の子供はいますが10歳ではありません。」


「我がニッチェルの分家筋にも10歳の五星の子供はいません。」


「そう。分家イッチバーンの子供は一歳違いだけど、来年度は学校が異なるわね。残念。やはり王女様と同い年の分家ロクデカンの子供を帝都に呼び寄せるのが一番ね。」


どうやらロクデカン公爵家の分家筋には10歳の五星の子供がいるようです。もしかしたら…、と心当たりのある親五星を知っています。

子供の頃、私は、一歳年下のロクデカン公爵、当時はロクデカン公爵家嫡子テーラ様と仲良くしていました。その頃の話ですが、彼女が言っていたのです、異母弟の母親はヨバルテ公爵家出身の強い魔力を持つ四星令嬢なのに異母弟は四星だった、分家と被ってしまったからだと。


第一子は五星の子供の確率が高いのですが、第二子の約半数は四星。ところが、同じ四星でも強い魔力を持つ方が五星の子を授かり易く、第二子も五星の子供を望む各公爵家の男性五星当主は、他の公爵家、分家公爵家の強い魔力の四星令嬢を第二夫人に迎えることが多いのです。


話が元に戻りますが、その分家五星の10歳の子供の親は、年齢からロクデカン公爵の四星異母弟との本家分家の家系被り五星と思われます。気を付けていても本家分家は被り易いので仕方ないことです。


……………………



『皇帝陛下、ヨバルテ公爵様がご令嬢と共にご登城なされました。謁見の間に入られます。』


バーンと扉が開き、ヨバルテ公爵が令嬢と一緒に謁見の間に入ってきました。ヨバルテ公爵は、私と新ニッチェル公爵、前ニッチェル公爵の後ろで跪き、頭を下げます。六大公爵家には序列があります。当主の年齢に関係なく、一番上が我がイッチバーン。二番目はニッチェル。ヨバルテは四番目です。


「ああ、ようやく来たわね。今日の主役の令嬢が。二人とも頭を上げなさい。

ヨバルテ公爵、あなたを同盟国の第一王女リリーレアラ様の後見人に指名するわ。王女様と同い年の令嬢は命を賭してリリーレアラ第一王女様の学校生活をお守りするのよ。万一にも王女様が楽しい学校生活を送れない時はヨバルテ公爵家の責任にするわ。」


「はい、承知致しました。皇帝陛下。」


『はい』と、とりあえず返事をしていますが、何が何やら分からず困惑しているヨバルテ公爵。


「そこのヨバルテ公爵家の令嬢。あなたの行動がヨバルテ公爵家の運命を握るのよ。そのつもりでいなさい。」


「はい。皇帝陛下。」


令嬢も意味が分からないままブルブル震えながら返事をしています。母娘揃って大混乱しているに間違いありません。


「ふふふっ。明日の御前会議が楽しみね。ふふふっ。最高の気分よ。ふふふっ。用は終わったから、皆、下がりなさい。ふふふっ。」


超ご機嫌の皇帝陛下。触らぬ神に祟りなしとばかりにさっさと退室します。今日は何度も陛下の魔力に当てられたのです。これ以上は遠慮致します。


「イッチバーン公爵。私、何が何やらさっぱり分からないのですが、同盟国のリリーレアラ第一王女殿下の留学のお話があるのですか?確かに私の娘は、リリーレアラ第一王女殿下と同い年ですが、もしかして、私は、娘がリリーレアラ第一王女殿下と同い年という理由でリリーレアラ第一王女殿下の後見人に選ばれたのですか?」


「ええ、その通りよ。」


意味の分からないヨバルテ公爵と令嬢に説明をします。令嬢はその命に代えても第一王女リリーレアラ様をお守りしなくてはならない立場になったことを。

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