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556.【番外編】皇帝セラティー・ヤ・マティス 12

ふふふんっ。ふふふふんっ。

最高の気分で父上の居室を出た私は、足取り軽く自室に戻ります。


あっ、そうだわ。

途中で良いことを思い付きました。

んふふふっ。

今日の私は、冴えてます。


「今すぐロクデカン公爵家に連絡し、嫡男を謁見の間に呼びなさい。」


歩きながら侍女にそう命じます。今日は、休日闇の曜日。ロクデカン公爵は嫡男に帝都本宅の留守を任せ、異母妹スーラ側妃殿下と姪っ子のラリーレアラ第二王女様と一緒に自領に戻っていると聞いています。ロクデカン公爵が帝都の自宅に戻って来るのは、フィアレアラいとこ姉上様がラリーレアラ第二王女様をお迎えに行く時ですから、まだ時間があります。私の作戦を速やかに実行するためには、確認しなければいけないことがたくさんあります。ロクデカン公爵が帰って来るまでのんびりなんて待てません。自室ではなく謁見の間に戻り、ロクデカン公爵家の嫡男が来るのを待つことにします。



………………………………


「ロクデカン公爵家嫡男ガード・ヤ・ロクデカン。あなたに聞きたいことがあるのよ。自領にいるあなたの叔父、つまり、同盟国に嫁いだスーラ側妃殿下の実兄のところの子供は何歳かしら?」


「叔父上のところの子供ならば、三星第一夫人に四星長女が12歳と、三星第二夫人に四星次女が5歳です。叔父は、三星第一夫人との子供が四星の女の子でしたから、新たに三星第二夫人を迎え入れました。故に子供達の年齢が少し離れてしまいました。」


嫡男を呼び出し、聞き出したところ、残念な事実が発覚してしまいました。年齢が近いことは近いのですが、12歳と5歳は、ザカラン国王陛下の王子様王女様と同い年の子供ではありません。残念無念…。同い年でないならば、帝都に不慣れな自領にいる分家の子供をわざわざこちらに呼び寄せる価値は、あまりないも知れません。残念…。はぁ~。残念です。はぁ~。最初から帝都にいる上位貴族の子供達をターゲットにした方がいい気がします。はぁ~。残念…。


「はぁ~。作戦が早くも終わってしまったわ。ザカラン国王陛下の子供達と同い年でないなんて。はぁ~。」


ため息が止まりません。はぁ~。


「恐れながら、皇帝陛下はザカラン国王陛下の王子様王女様と同い年の子供をお望みなのですか?ならば、当家の分家筋に第一王女リリーレアラ殿下と同い年の五星の子供がおります。10歳、初等学校三年生の女の子です。」


「えっ?五星?しかも女の子?」


なんと。本家筋ではありませんが、分家にもってこいの子供がいるではありませんか。やりましたわ。


「はい。子供の母親の分家五星と叔父とは同い年で、誕生日が二週間違いの家系五星被りです。叔父は第二子ですから、被りでなくとも四星となった可能性もありますが…。」


本家と分家との家系五星被りで本家が五星を失ってしまうことはあるあるです。特に第二子以下は被り易い上に、被らなくても四星になってしまうことがあるので仕方ありません。妊娠出産には適齢がありますから何年もは待てません。


「ちょうどいい子供がいるなんて最高よ。私の作戦が繋がったわ。今すぐ分家に連絡してその五星の子供を帝都に呼びなさい。そして来年までに使えるように育てあげるのよ。」


自領の田舎で育ったとはいえ、五星の子供。急いでリリーレアラ第一王女様をお守りするに相応しい品位ある五星令嬢に育てないといけません。


「へっ?恐れながらそれはどういう意味でしょうか?」


「ザカラン国王陛下の子供達の留学の話があるのよ。最初は、第一子のリリーレアラ第一王女様よ。我が帝国の国民は自国愛が強いわ。同盟国とはいえ、他国の王族を受け入れるのは難しい。」


「…はい、承知しております。叔母上様スーラ側妃殿下が同盟国に嫁がれた時、我がロクデカン公爵家は上位貴族に非難されたと聞いています。」


「我が帝国の国民は、自国が世界一の大国という誇りがあるから仕方ないのよ。でもね、事、同盟国に至っては、仕方ないでは済まされないのよ。あなたに分かるかしら?私は、なんとしてでもリリーレアラ第一王女様の留学を成功させなくてはならない。故にロクデカン公爵家はその同い年の分家五星の子供を王女様をお守りするに相応しい貴族令嬢に教育しなさい。


あなたは、同盟国の国王ザカラン陛下と壱の宮家の皇女フィアレアラいとこ姉上様との関係を聞いているのかしら?」


「いえ…。私は、叔母上様は、同盟国に留学していた壱の宮家の皇従姉皇女フィアレアラ・マティス殿下のご紹介でザカラン国王陛下に嫁ぐことになったと一般的に国民が知っていることしか聞いてません。

が…、なんとなく、なんとなくなのですが、それだけではないとは思っています。

壱の宮家の皇従姉皇女フィアレアラ・マティス殿下もエリック・マティス皇伯父皇子殿下も、我がロクデカン公爵家にたいへん良くしていただいています。

そして、何より…、我がいとこ殿ラリーレアラ第二王女様は…、…うり二つですから。」


誰に…、と言わなかったところは誉めてあげるわ。それは口に出して言ってはいけないことよ。でも、やはり…。子供が親に似るのは不可避とはいえ…、困ったことです。

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