555.【番外編】皇帝セラティー・ヤ・マティス 11
「うむ。なるほど。」
と、そうおっしゃって感心している父上にさらなる私の作戦の説明をします。
「さらに、1日の大半を過ごすことになる学校生活をよりよくするために環境を整えます。留学期間は、子供の間だけとなるはずですから、短いと一年、長くても三年以内だと考えます。おそらく、初等学校か中等学校の子供時代となるでしょう。
私が留学中の王女様王子様の保護者になったとしても、愛国心の深い我が帝国の貴族の中には同盟国とはいえ、他国の王家の王女様王子様を気に入らないと思う者がいるはずです。
私が我が帝国の威信にかけて最大限のおもてなしをしろと大人に命じるだけでは足りないのです。たとえば、六大公爵家の当主たちにそう命じたとしても、ザカラン国王陛下の第一王女様の年齢に近い同級生前後の女の子の子供がいるのはヨバルテ公爵家だけで、あとは、三歳以上年齢が離れているか、男の子の子供です。これでは留学中の第一王女様の学校生活をお守りすることが出来ません。留学中のザカラン国王陛下の子供たちが学校で孤立等悲しい学校生活を送る羽目になってはたいへんです。」
「なるほど、それはそうだな。親に愛国心を植え付けられた貴族の子供たちが同盟国の王族を気に入らないと思ってしまうのはありそうな話だ。留学中の学校生活が淋しく悲しいなんてなんとしても避けねばならぬ。」
「はい、父上。故に、六大公爵家の分家筋からも年齢の近い子供たちを帝都に呼び寄せるのです。第一王女様の場合は、ロクデカン公爵家です。現ロクデカン公爵の嫡男はザカラン国王陛下の第一王女様よりも三歳以上年上ですから同じ学校にはいません。しかしながら、ロクデカン公爵には自領を守る分家として独立した異母弟がいます。ザカラン国王陛下の御側妃スーラ殿下の実の兄ですわ。その実の兄に、確か第一王女様と年齢の近い子供がいたはずです。はっきりと何歳だったかまでは覚えてはいませんか、その子供が同い年くらいならば帝都に呼び寄せ、第一王女様をお守りさせるのです。ロクデカン公爵家は、学校教育を担当してますし、令嬢が同盟国に嫁いでますから、先陣を切るのにとても好都合な公爵家です。同様に他の六大公爵家も分家筋に近い年齢の子供がいたら帝都に呼び寄せ、ザカラン国王陛下の子供たちをお守りさせるのですわ。六大公爵家の子供たちがそうすることにより、侯爵家以下の子供たちは、従わざるを得なくなります。
名付けて『ザカラン国王陛下の子供たちに近い年齢の公爵家の子供達を集めて守らせ、帝国は留学時代楽しい学校生活を過ごした思い出の国と認識させる』作戦ですわ。
協議はその下準備をするためなのです。
壱の宮家で実の祖父家族と親交を深め、楽しい学校生活で、帝国留学時代のよい思い出作りをサポートする。同盟国の王子様王女様全員に我が帝国を末永く『父の国』だと思ってもらう環境を作り上げるダブル作戦なのです。
我が帝国と同盟国は、お互い国の未来を守るために子々孫々より良い関係を築く必要がありますから。」
「なるほど。(あえて言わぬが、いや、長過ぎてとても覚えられない作戦名だから言いたくても言えぬとも言う。)それは凄いダブル作戦だな。(作戦のネーミングセンスは壊滅的に酷いが)素晴らしい、とても素晴らしいダブル作戦だぞ、セラティー。
ははははっ。いいぞ。それはとてもいい作戦だ。よく考えたな、セラティー。
よくやった、よくやった、(作戦のネーミングセンスは酷いが)賢いぞ。さすが我が帝位を継いだ我の第一皇女である。
ははっ。
そなたは、父に似て賢い皇帝であるぞ、セラティー。
あっははははっ。」
父上は、未だかつてこんなに誉めてくれたことはないくらいよくやった、よくやったと私を誉めてくださりました。




