552.【番外編】皇帝セラティー・ヤ・マティス 8
ふふふっ。やった〜。やりましたわ。我が皇女の魔法の先生に旧帝国時代の伝説の末子皇女エリザベート・F・ア・メディアスタ殿下がなっていただけるなんてこれ以上のことはありません。ようやくいい報告をすることが出来ると、足取り軽く父上のところに向かいます。
元々、皇家五星の子供の魔法の先生の給金は、皇族五星の子供の魔法の先生の三倍なのです。皇家は皇族の上にならないといけないので三倍必要なのは当たり前です。そして、たいてい子ども皇族五星の魔法の先生は、親がなりますから、フィアレアラいとこ姉上様が子ども皇族五星の給金の相場を知らないのではないかとは思っていました。
私の子ども時代、エリザベート皇女殿下に支払われていた魔法の先生の給金は、フィアレアラいとこ姉上様ではなく、エリザベート皇女殿下が受け取られていました。そして、まだ子どものフィアレアラいとこ姉上様にはエリザベート皇女殿下から身体レンタル料としてお小遣いを渡していたらしい、と父上からの情報ではそう聞いていたのです。
父上は、エリザベート皇女殿下に皇家五星の子供の魔法の先生の給金の三倍払っていたともおっしゃってました。内訳は、お祖父様とエリザベート皇女殿下にそれぞれ通常の皇家五星の子供の魔法の先生の1.5倍です。ところがお祖父様は、自分は給金なんて要らないから、その代わりエリザベート皇女殿下に渡して欲しいとその全てをエリザベート皇女殿下にお渡ししていたらしいのです。
つまり、最初から、エリザベート皇女殿下には普通の皇族五星の子どもの魔法の先生の9倍の給金を支払っていたのです。故に、父上からは、フィアレアラいとこ姉上様に我が皇女の魔法の先生をお願いするならば、皇家五星の子供の魔法の先生の給金の四倍以上を支払うように言われていました。エリザベート皇女殿下にお支払いしていた時よりも税率が上がってしまうので私の時よりも低い給金は駄目だと。それは、皇族五星の子供の魔法の先生の給金の12倍です。
もちろん、私は、フィアレアラいとこ姉上様が我が皇女の魔法の先生になってくださるならば最低12倍の給金を支払うつもりでした。
『フィアレアラいとこ姉上様か、もしくは、図々しいお願いと思いますが、エリザベート皇女殿下にお願いしたいと思っています。』と、私がそう言った時のことです。フィアレアラいとこ姉上様は、『エリザベートは、王国でリマリーエと一緒にザカランの子ども達の魔法の先生をしているのよ。王国と帝国では距離が離れ過ぎているからなかなか難しいわ。』と、そうおっしゃったのです。
【つまり、フィアレアラいとこ姉上様は、子供の魔法指導をしたことがない、魔法の技術も子供に魔法指導する能力もエリザベート皇女殿下が格段に上。ならば、我が皇女の魔法の先生はフィアレアラいとこ姉上様ではなくエリザベート皇女殿下に是非ともお願いしたい。】
とっさにそう思った私は、父上に言われていた最低ラインよりも下の皇族の子ども五星の10倍を提示しました。エリザベート皇女殿下ならば、10倍では税率が異なるために私の時よりも低い給金となり、私は、父上やお祖父様に叱られてしまう金額です。お前は、我が帝国の未来を考えていないのか、と。私や父上では我が皇女の魔法の先生なんて無理なのですから、なんとしてでもフィアレアラいとこ姉上様かエリザベート皇女殿下に魔法指導していただかないといけないのに断られてどうするのだ、と。
ですが、10倍でも破格の給金であることは間違いありません。フィアレアラいとこ姉上様がザカラン国王陛下として休みなく働いているのはたくさんいる妻子を養うためですから、魔法の先生ならば、短い時間でたくさん稼げることをアピールするための金額提示でした。そして、狙い通りフィアレアラいとこ姉上の顔が変わったのを確認し、伝説の末子皇女エリザベート殿下が我が皇女に魔法指導いただけるならば、その1.5倍の時給を出すと言ったのです。
【我が皇女の魔法の先生をフィアレアラいとこ姉上様ではなくエリザベート皇女殿下にお願いするために。】
そう、フィアレアラいとこ姉上様同様、エリザベート皇女殿下に魔法指導をお願いするならば、皇家五星の子供の魔法の先生の給金の五倍以上を支払うようにと父上にそう言われていたのです。エリザベート皇女殿下にお支払いしていた時よりも税率が上がってしまうので私の時よりも低い給金は駄目だと。つまり、皇族五星の子供の魔法の先生の給金の15倍です。もし、足りなければ30倍まで上げるつもりでした。これならば皇家の予算の範囲内です。それでも足りなければ父上が出してくれる予定でした。
皇帝至上主義の我が帝国の皇家の予算は、皇族の予算のおよそ30倍。皇家から世代の離れた『壱の宮家』出身のフィアレアラいとこ姉上様は、その差を知らないのです。




