536.【番外編】楽したいのに 5
孫長女:「お祖母様、私に魔法を教えて下さい。」
孫長男:「お祖母様、ぼくに勉強を教えて下さい。」
孫次男:「お祖母様、ぼくに剣術を教えて下さい。」
孫長女:「ちょっと、あなた達、お母様がお休みになられている間、お祖母様は私に魔法を教えて下さるのよ。あなた達には家庭教師も剣術師範もいるのだから、私に譲りなさい。」
孫長男:「しかし、姉上。お祖母様のように本家ヨーデキールの血筋の家庭教師は我がウェスターナル公爵領にいません。ぼくはもっと難しい問題をお祖母様に教えていただきたいのです。家庭教師の学習なんて簡単過ぎてもう終わりましたから。」
孫次男:「姉上、兄上。ぼくもです。お祖母様のような本家イットー流を極めた師範なんて我がウェスターナル公爵領にはいないのです。ぼくはお祖母様に稽古をつけてもらいたい。」
孫長女:「私よ。」
孫長男:「いいえ、ぼくです。姉上はお祖父様か父上に魔法を習えばよいと思います。」
孫長女:「私はお祖母様がいいのよ。」
孫次男:「ぼくです。ぼくもお祖母様がいい。姉上、兄上、一番年下の弟のぼくにお譲り下さい。」
孫長女:「は?あなただってもうすぐ『兄』になるじゃない。」
孫長男:「そうだ、そうだ。姉上のおっしゃる通りお前も『兄』になるのだから、自分の力で強くなればいい。『弟』を守れるくらいに。」
孫長女:「は?『弟』?あなた、何言ってるのよ。お母様のお腹の赤ちゃんは女の子よ。可愛い『妹』が生まれてくるはずよ。」
孫長男:「それはそうですね。姉上のおっしゃる通りです。『妹』は間違いなく可愛いと思います。」
孫次男:「賛成です。ぼくも守るならば『弟』よりも可愛い『妹』の方がいい。」
孫長女:「そうだわ。お母様にお花を摘んで持って行って差し上げたらどうかしら?」
孫長男:「いいですね、姉上。母上もお喜びになられるはずです。」
孫次男:「ぼくも、母上にお花を摘んで差し上げたい。」
孫長女:「ならば、みんなでお庭に行きましょうか?」
孫長男、孫次男:「「はい、姉上。」」
孫長女:「お祖母様、私たちは、これにて失礼致します。」
孫長男、孫次男:「「失礼致します、お祖母様。」」
行った、行った。
ああ、漸く、孫達がいなくなったわ。
はぁ~。
子どもが多いってなんてにぎやかなのかしら…。
娘に爵位を譲り、漸く自領でのんびりと…、と思っていたのに、自領に戻った途端、サダドックのところの孫達に引っ張り蛸。
敷地内分家の自宅から、毎日、本家に遊びに来ては、『お祖母様、お祖母様』とキラキラした目で私に教えを乞おうとする。
向上心があって、真面目で、何でも一生懸命努力する、とてもいい子達なんだけど…。
あの子たちは、『休む』っていうことばを知らないのかしら?
体力オバケの孫達に容赦なく教えを乞われ、私の体力は、沈没船よ。全く休みがないわ。




