表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
527/566

527.【番外編】再びあなたの息子として 4

「父上、母上…。」


「どうやら思い出したようだな、自分が誰なのか。」


「はい。」


と、そこにノックと同時にクノハお祖母様が入ってきた。


「クノ〜ン、クララがソウルはヴィアランだって言ってるのだけど、本当?」


「あー、えっと、ヴィアランです。えっと、クノハお祖母様は…?」


「クレアレイアよ。言ってなかったかしら?」


「そういえば、前世の記憶があり、素晴らしい魔法の技術を持ったフェリオ国王陛下の五星第二王女殿下だったと聞いてました。

ああ、なるほど、と納得です。クノハお祖母様がクレア異母姉上ならばあのハウルのお誕生日パーティーの時の魔法の技術は特に驚くことではありませんから。」


ぼくは、高等学校を卒業した時、母上とクノハお祖母様には前世の記憶があることを聞いた。母上は、前世の記憶から帝国の皇族皇女フィアレアラ・マティス殿下ならば必ず母上の味方になって我が王国を救って下さると確信していたからこそ、フィアレアラ皇女殿下の留学を希望した、と。

フィアレアラ皇女殿下は、我が王国の全盛期時代の国王フェリオ・マ・アール陛下であり、桁外れの強い魔力で世界を従えていた双子の妹フィオナ・マ・アール王妹殿下なのだ。


そして、フィアレアラ皇女殿下は、我が王国の将来を担う王家王族五星がクララいとこ姉上様たった一人になってしまった未来守るために、ザカラン王子として我が王国に来ていただけることになったと聞いたのだ。ハウルのお誕生日パーティーの時の記憶もその時に戻された。ぼくは、父上に暗示をかけられて、ハウルを殺めようとしていた。ぼくは、母上に守られたのだ。


………………………………………


「あら、失礼な異母弟だわ。前世のクレアが一生懸命磨いた魔法の技術なのに。」


「つまり、今世のお祖母様は、何の努力することなく、前世のその技術を手に入れたということですか?」


「あら、遠慮なく言ってくれるわね。ふふっ。私にそんなことを言うのは孫ではなく異母弟だわ。ふふっ。それはそうなんだけど、私は悪くないのよ。悪いのは我が王国の王族法よ。王家王族の王子王女の魔法の先生がMRが同じ同性の親族と決まっていたのが悪いのよ。

父上が…、ザカランね、法を変えたけれどね、クノハの私のように王子王女が魔法の技術を習う機会がないなんて問題ありよ。王家王族に魔法の技術が継承されなければ、将来、国を守ることが出来ないわ。」



王族法の改正には、王家を出たぼくにも投票権があったから知っている。性別に拘り魔法の技術が伝承されないのは国家の損失、として新たに子供の魔法の先生に『三親等以内の親族ならば性別は問わない』がプラスされたのだ。


「申し訳ありません。クレア異母姉上のおっしゃる通りです。」


「そうでしょ、ヴィアラン。

ふふっ。ヴィアランは、またレリーリアラ様の息子として生まれたのね。

エリザベスお祖母様がね、おっしゃってたのよ。みんな同じ家系、同じMRの誰かだった生まれ変わりだとね。記憶を取り戻す、戻さないはあるらしいけれど。」


なるほど。だからぼくはまた母上の息子として生まれきたのか。今世のぼくの母上の顔を見る。前世の母上とは全く違うお顔だが、今世の母上称第一王妃クノン陛下は、前世の母上第一王妃レリーリアラ陛下そのものだと言われたら、その通りだ。前世同様王国女性第一位の御位に就き、父上とクレア異母姉上のお側で国政を支え、国を守っている。


前世のぼくは、我が王国の全盛期時代を作り上げた立派な両親の息子であることが苦痛だった。優秀な姉たち、兄に比べられるのが嫌で、自分の国から逃げ出した。


己一人で自由に生きるつもりで冒険者になったが、孤独で寂しい人生に堪えきれず、安らぎと癒やしを求め、妻子を得た。妻を守ることも、子を養う能力もないくくせに。無責任なダメ男だった。


そして、妻を失ったぼくは、子を養うために結局国に戻り、両親と姉に頼るしかなかった。


ぼくの子レアラは、ぼくが嫌で嫌で逃げ出した王族教育を喜んで学んだ。分単位でギチギチに縛られているのに嬉しそうに学び成長する優秀な娘を見ていたぼくはますます惨めな気持ちになった。

娘と同じ教育を受けさせてもらったくせに、何故ぼくはもっと頑張ろうとしなかったのだろか、と後悔した。そして、王族四星でも出来る仕事を、とイーデアル公爵家が担当していた学校教育関係の仕事の手伝いをしていた。『何の仕事もない王族でいたくない。』そう思ったが、特別な資格もこれといった取り柄もないぼくに与えられた仕事は、そう多くなく、淡々とした毎日を過ごしていた。


それから、母上が突然亡くなり、その淡々とした毎日が一変した。父上は、父上のお姿のまま父母上にならなくなった。気落ちした姉上は、国王の御位を譲位すると言い出した。城中から笑顔が消え、一気に真っ暗になった。


母上が毎月一、二回開いていたお茶会もなくなった。お茶会の度に我が王国に戻って来ていた帝国の公爵家に嫁いだカレン異母姉上、皇帝だったセシル様とエリザベート異母姉上、帝国に留学していた娘レアラが王国に帰れなくなった。


誰もが無口になり、下を俯く。さらに母上の喪が明けてからも城の慶事は最小限となった。


淡々とした毎日と思っていたが、それは、とても幸せな日々だったのだ。母上は、みんなの笑顔の中心だった。ぼくは、ぼくを可愛がり大切に育ててくれた母上に何の恩返しも、感謝の意を伝えることさえ出来ないまま母親を亡くした。そして、亡くして初めてそのことに気付いた愚かな息子だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ