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523.【番外編】娘の秘密 3

一瞬でロクデカン公爵領に着いた。普通の五星とは全く次元の違うフィーちゃんならば非常識な転移魔法が可能だった。


「じぃじ、ばぁば〜〜。」


ぼくの孫なのに、第一印象が悪かったせいか一緒にいるぼくの方を全く見てくれなくなったラリーレアラ第二王女様。ロクデカン公爵領に着くやいやな本宅の玄関先で待っていた前ロクデカン公爵夫婦のところに嬉しそうに走り出した。


「はははっ。ラリーレアラ第二王女様。ようこそいらっしゃいました。」


「うん。じぃじ、来たよ~。

ばぁば〜、抱っこして〜〜。」


そう言って、満面の笑顔で前ロクデカン公爵第二夫人に抱きつくラリーレアラ第二王女様。


どうやら、フィーちゃんは、ラリーレアラ第二王女様をよくここに連れて来ているようだ。


ズルいぞ、フィーちゃん。ぼくだってラリーレアラ第二王女様のおじいちゃんなのに、ぼくには何も知らせないでここにだけ孫を連れて来ていたなんて。


「申し訳ありません、前ロクデカン公爵、夫人。父上にラリーレアラのことがバレてしまって、約束の時間に遅れてしまいました。」


「そうですか…。大丈夫です。お気になさらないでください。

我が帝国の偉大なる皇帝セラティー・ヤ・マティス陛下の御伯父上様であられます壱の宮家の皇子エリック・マティス殿下。ようこそ我がロクデカン公爵領本宅へ。ロクデカン公爵家前当主ギード・ヤ・ロクデカン光栄の至りにございます。」


そんな挨拶は、どうでもいい。いったい前ロクデカン公爵はいつからぼくのフィーちゃんは同盟国のザカラン国王陛下だと知ってたんだ?まさか、最初からか?令嬢がザカラン国王陛下に嫁いだのは、ザカラン国王陛下の正体は、ぼくのフィーちゃんだと知ってたから、なのか?


聞きたくて聞きたくて仕方ないが、ここに来る条件として、余計なことを聞かないこと、言わないこと、ザカラン国王陛下の正体をバラさないことをフィーちゃんに言われている。ムカムカする気持ちをグッと抑える。


「突然来て済まないが、お邪魔するよ。」


そういうので精一杯だ。


「父上、ラリーレアラが怖がりますから、そのような怒った顔はお止めください。」


ぼくの顔を見ていたラリーレアラ第二王女様は、ぼくと目が合った途端に慌てて前ロクデカン公爵第二夫人に抱きつきこっちを見なくなった。


しまった。また怖がらせてしまった。ヤバい。優しいおじいちゃんだとアピールするつもりでここに来たのにこれでは逆効果だ。必死に笑顔を作るが、時既に遅し。ぼくの孫はぼくを見てくれない。


「お父様、お母様、立ち話もなんですから、邸の中に入りましょう。帝国壱の宮家の皇子エリック・マティス殿下、フィアレアラ様、どうぞ中にお入りください。

ラリーは、母のところにいらっしゃい。」


良くない雰囲気を壊すようにスーラ側妃殿下がそうおっしゃってくれたが、ラリーレアラ第二王女様は、イヤだと言って前ロクデカン公爵第二夫人に抱きついたままだ。


「ラリーレアラ。母の言うことを聞きなさい。」


「うわああ〜ん。うわああ〜ん。ばぁばがいい。うわああ〜ん。ばぁば、ばぁば〜〜。うわああ〜ん。」


スーラ側妃殿下が少し強い口調でそう言った途端に泣き出すラリーレアラ第二王女様。


はぁ~〜。


ぼくが悪い。

知らなかったとはいえ、幼い子供を怖がらせた。

なんとかぼくは怖くないとアピールしようと思っていたのに、苛立つ気持ちを抑えきれず、また怖がらせてしまった。


「ごめんね、ラリーレアラ第二王女様、同盟国のスーラ・マ・アール側妃殿下、それに、前ロクデカン公爵、夫人。ぼくが悪かった。申し訳ない。


フィーちゃん、申し訳ないがぼくを宮に送ってほしい。ぼくがいたら、ラリーレアラ第二王女様が怖がってしまう。」


悲しい気持ちになる。ぼくはおじいちゃんなのに、孫に好かれたい気持ちから前ロクデカン公爵夫妻に嫉妬したのだ。ぼくはぼくの孫に懐かれている二人が許せなかった。


最低だ。許せないのは、ぼくの狭い心の弱さだ。ぼくは、ぼくのフィーちゃんが家族を持っていたことを秘密にされていて悲しかった。だけど、ぼくがこんな風だから、フィーちゃんはぼくに相談なく家族を得たのだ。ぼくに言えなかったのだ。


悲しくて、淋しくて、涙が出てきた。


だが、淋しいのはぼくだけではない。


エメロラだって、ずっと淋しかったはずだ。たった一人でフィーちゃんのいない留守を守っていたのだから。


「父上…。」


「宮の留守ならば、ぼっ、ぼくに任せたらいい。

その代わり、エメロラを、エメロラをここに連れて来てあげてくれ。エメロラは、たった一人で君のいない留守をずっと守っているんだ。

妻にとって、夫の子は自分の子だ。なぁ、そうだろう、前ロクデカン公爵第二夫人。」


「はい。

私はテーラさんの異母ですが、テーラさんは私の子だと思っています。テーラさんも私を実母同様母として大切に思ってくださっています。

テーラさんは、私の子である異母弟、異母妹や孫たちをとても可愛がってくれてます。」


帰ろう、己の宮に。前ロクデカン公爵夫妻にフィーちゃんたちを頼むとお願いとお礼を言って立ち去ろうとした時だった。


「おじちゃんは、フィアレアラ皇女様の父上なの?」


ラリーレアラ第二王女様がぼくに話しかけてくれた。


背の高いぼくは、前ロクデカン公爵第二夫人に抱かれるラリーレアラ第二王女様の目線に合わせて腰を屈めた。


「そうだよ。ぼくはフィアレアラの父親だ。フィアレアラはラリーレアラ第二王女様に優しくしてくれるかい?」


「うん。いつもね、母上と私を帝国のじぃじ、ばぁばのところに遊びに連れて来てくれるの。私のね、異母姉上も異母兄上たちも異母弟の母上もみんな王国の人だから私だけなの。

私ね、帝国の母上の家族はみんな優しいから大好きなの。フィアレアラ皇女様も皇帝陛下も優しいの。」


「そうか。それはよかった。」


「私ね、フィアレアラ皇女様にそっくりだってみんなに言われるの。親戚だからなんだって。おじちゃんがフィアレアラ皇女様の父上ならば、私とも親戚ね。」


「ああ、そうだ。ぼくは親戚のおじいちゃんだよ。」


「おじいちゃんも一緒に遊ぼう。ここはね、綺麗なお魚がいっぱいいてとても楽しいの。」


「いいのかい?ぼくと遊んでくれるのかい?」


「うん。いっぱい人がいる方が楽しいから。」


嬉しくて、嬉しくて、笑顔になって振り返り、フィーちゃんを見る。聞いた?フィーちゃん。ぼくも遊んでいいって言ってくれたよ。


「私、エメロラを連れてきますわ。スーラ、いいかしら?」


そうして、ラリーレアラ第二王女様と前ロクデカン公爵家一家全員とぼくとエメロラは海で遊んだ。初めて見る海の中の小魚の群れにぼくは大興奮だ。とても楽しかった。


それ以降、月に一回程度あるなしだがフィーちゃんはラリーレアラ第二王女様とぼくを会わせてくれるようになった。

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