514.【番外編】私の人生計画
高等学校二年生になった。参の宮家の皇子が亡くなり、我が壱の宮家も喪に服していたが、それも終わり、次々と慶事が発表になった。
先ずは、我が壱の宮家。
私とエメロラの婚約が国民発表となり、新学期からエメロラは皇族婚約者として皇族同等の扱いになった。
つまり、今までは、スーラやサリエラの下だったが上になったのだ。
いつも私の隣にいたスーラは、二歩下がり、代わりにエメロラが私の隣にいる。同級生の友人なのだから気にすることはないのだが、皇帝至上主義の我が帝国の身分制度は他国よりもやや厳しい。私は、皇族壱の宮家を継ぐ五星皇姪皇女で、エメロラはその私の婚約者。ロクデカン公爵家の四星次女スーラよりも全然格上としての扱いとなったのだ。
スーラには申し訳ない気もするが、仕方ない。昨年に比べ、魔力が増えた私は、時々エリザベートと身体を入れ替え、同級生の令嬢たちを友人として出来る限り身分関係なく扱うので精一杯だ。だが、公爵家の令嬢として厳しい教育を受けているスーラは必ず退くのでこれがなかなか難しい。
高等学校二年生二学期になって、弐の宮家の皇子ジルコフ様が新しく妃を迎えることが発表になった。
さらに、高等学校二年生三学期になんと参の宮家のウィンダム叔父上様の妃が懐妊したのだ。皇子が亡くなって早二年。待ちに待った吉報だった。
高等学校三年生になった。
今までニ歩退いていたスーラが突然積極的に自己アピールをするようになった。私は、ニ年前スーラに告白された。第二配偶者にして欲しいと。だが、私は第二配偶者を迎えるつもりはない。スーラには、婚約者が既にいるのだから第二配偶者は諦めて欲しいと断ったのだが、スーラはなんと婚約を解消してしまっていた。
スーラは、私に、『以前、婚約者がいるからと第一配偶者に選らんでもらえなかった。ならば第二配偶者に、今度こそ自分を選らんで欲しい。婚約は解消した。』とそう言ったのだ。高等学校三年生の二学期が始まるくらいまでに返事が欲しいと。
告白から一年以上スーラは何のアピールもなかった。第二配偶者は諦めてくれたのかと思い、極普通に友人として接していた。だが、三年生になってスーラは急にアピールし始めたのだ。
私の側には、婚約者エメロラがいる。故に私と二人だけになることはほとんどない。が、唯一、体育の授業だけは別だ。
毎年、一学期の最初はスポーツテストがある。スポーツテストは学籍番号順。つまり、学籍番号一番の私と二番のスーラはペアになる。体育の授業の度にスーラに返事を急かされ、超困ってしまった。
スーラのことは嫌いではない。むしろ好感を持っている。ロクデカン公爵家の令嬢でありながら、それを鼻にかけることはなく、控えめで優しい。友人たちに気遣いも出来るし、勉強もよく出来る。性格は、真面目で、実は子供の頃から一途に私を想ってくれているらしい。
私は、第二配偶者を迎えるつもりはないが、もし、スーラがザカランの側妃になってくれたらいいのに、と思うくらいにはスーラのことは好きだ。
国民発表は、三の月上層会議の後だが、ザカランの第二側妃にリマリーエが内定している。
ザカランには、クノン、クララ王女様、リマリーエの三人の婚約者がいるが、クノンは再婚なので、実質の妃は、クララ王女様とリマリーエの二人となる。王国の将来を考えれば、後一人妃を迎えたい。
自分のことを好きでいてくれる女性がいいので、スーラは理想の相手なのだが、縁もゆかりもない同盟国の王子の妃になって欲しいとは言えない。しかも、正妃ではなく側妃。申し訳なくて言えるはずなかった。
そして、スーラに返事をしないまま二ヶ月半が過ぎた休日光の曜日の夜中、爆睡中に突然エリザベートに起こされた。
「何?エリザベート?クレアが私に何の話?」
「エリザベスお祖母様からこの令嬢の聞いて、ピンと来たのです。もしかしたら我が王国に来てくれるのではないかと。前世の私の母上も帝国イッチバーン公爵家の令嬢でしたから。」
「へっ?スーラ?何故クレアと王国にいるの?」
どうやらエリザベートがクレアにスーラの話をしたらしい。クレアは、ザカランの正体は私だと説明し、スーラにザカランの側妃になって欲しいと頼んだのだ。
スーラに、エリザベートとクレアの言ったことは事実だと言う。
『帝国壱の宮家の皇女フィアレアラ・マティスは第二配偶者を迎えることも第一配偶者との間に子を成すこともない。
帝国国外代表五星になることもない。
特に何の仕事のない皇族五星として、自分の宮から外に出ることがほとんどないまま一生を過ごす。
それが、私、フィアレアラ・マティスの人生計画だ。』
エメロラはそれを承知の上で私の婚約者になってくれた。そして、もしスーラがザカランの側妃として王国に来てくれるならば、妃の一人として大切にするとスーラに説明する。
スーラは…。
ザカランの側妃となることを決めてくれた。
そして、3ヶ月後、6の月上層会議の後、王国と帝国の両国で同時発表になった。
スーラがザカランの側妃予定の婚約者に内定した、と。




