4.同盟国ゴ・リキ・マ・アール王国
私は、自分が留学する同盟国ゴ・リキ・マ・アール王国について自分なりに詳しく調べた。来年から私は、二年間彼の国の王宮で暮らすのだから、彼の国の王家、王族、さらには公爵家をはじめとする貴族について詳しく知る必要があると思ったのだ。
現在の国王は、ランセル・マ・アール陛下。31歳、五星。父親の前国王(52歳)から王位を譲られて即位したのは7年前。
第一王妃、王族出身四星クノン・マ・アール陛下。27歳。四星第一皇子ソウル・マ・アール。9歳。
第二王妃、分家サザリーナンダ公爵家出身の四星女性タミル・マ・アール陛下。28歳。五星第二王子ハウル・マ・アール。5歳。
側妃、フラインダー侯爵家出身ヒカリエ・マ・アール様。24歳。四星第一王女カルア・マ・アール(2歳)
五星異母妹王女、レティーア・マ・アール王妹殿下。23歳。三年前に四大公爵家の一つ筆頭公爵家東のイーデアル公爵家に降嫁。現在妊娠中。
王族は一つだけ。
クロノス・レリ・アール殿下。70歳。五星。
長女クノハ・レリ・アール殿下。51歳。五星。
長女の嫡男クロード・レリ・アール殿下。32歳。五星。
長女の嫡男クロード殿下の長女クララ・レリ・アール殿下。9歳(12月末日で10歳)。五星。
クロード殿下の長男(1歳)は、四星。
クノハ殿下の長女で、嫡男クロード殿下の妹が国王ランセル陛下の第一王妃クノン陛下。
ランセル国王陛下の第一王子ソウル殿下は、第一子なのに四星。五星の親から生まれる第一子は、他の五星と妊娠が被らない限りほとんど五星の子供になる。つまり、第一王子ソウル殿下は、母親クノンの兄クロードの妃の懐妊と被ってしまったために四星になってしまった。先に生まれたのがクノンの兄の娘クララ王族王女五星。そしてその僅か1ヶ月後に生まれたのが四星第一王子ソウル殿下なのだ。
ちなみに、王族王女クララ殿下は私の二つ年上。第一王子は私よりも一つ年上で、誕生日は1ヶ月違いだが、学年が一つ違う。
それと…。
影で囁かれている黒い噂があった。
ランセル国王陛下は、第一王子が四星だったためにすぐに第二妃を娶った。が、生まれた五星第二王子の魔力に少し問題があるとのウワサだ。
第二王子の魔力が、第一王子の母親の兄クロードのところの王族五星王女の魔力量よりもおそらく少ないらしい。まだ第二王子は幼児ではあるが五星ならばだいたい分かる。おそらく少ないは、確実に傍系王族王女よりも少ない。
そして、その後、ランセル国王陛下は側妃を娶るも生まれた子供は四星王女だった。
あの国は、あのフィオナ王女殿下の時代に王族に関する法の改革で直系傍系関係なく一番強い魔力を持つ者が次の国王になることになっている。今までは王家の直系が一番強かったのだが、ついに王族王女の魔力が直系の第二王子よりも強いことになったかも知れないのだ。
皆幼いので王太子を定めるには様子見らしいが、王位継承順位さえ発表にならない、らしい。
そういう黒いウワサはすぐ広がる。通常ならば、王位継承権順位は三の月上層会議後に毎年発表されていた。王子、王女が生まれたり、降嫁や年齢などを理由に入れ替わりもある。その年、その時の王位継承権順位なのだ。そして、順位に変更があった時にもすぐに変更発表されていた。なのに第二王子が生まれて以降、一度も発表されていない。
ちなみに、国王陛下の五星異母妹王女レティーア殿下は、三年前に筆頭公爵家イーデアルに降嫁して王位継承権がなくなってしまったらしいが、それも未発表だ。
あの国の筆頭公爵家イーデアルは、海沿いの広い公爵領を持ち、外交交易の玄関口としても、海産物の豊かなところとしても、四季のある農産地としても、工業地としてもとてもとても裕福な公爵家だ。
故に外国の脅威に一番晒されやすい領なので国防強化も一番強い領でもある。降嫁した王女様の夫の次期公爵様も五星だ。一度五星の後継ぎを失って何世代か苦しんだイーデアル公爵家はもう二度と後継ぎ五星を失わないように分家にも五星対策をしているらしい。
私は、まず、そのイーデアル公爵領に滞在することになっている。留学が決まってからあの国のことはめちゃくちゃ調べた。イーデアル公爵家についても。とても楽しみにしている。