30.練習
翌日、朝食後、魔法の授業が始まるまでの一時間の間に、私はフィオナに姿を変える魔法を習った。フィオナの記憶ならば12歳まである。やり方も分かる。出来るはずなのに、全く出来ない。
フ:『何故かしら?』
フレ:「知らないけれど、私は、フィオナに教えられた通りにやっているわよ。フィオナの記憶ならばあるし、間違うわけないし。」
フ:『そうよね?そうよね?おかしいわね?』
エ:『【でも、フィオナ。】』
フ:『何?エリザベート。』
エ:『【私、エリザベートとして生きてる時、体を男性に変えるなんてやったことないわよ。当たり前だけど。】』
フ、フレ:「『…。』」
エ:『【だいたいね、魔法なんてイメージ力よ。なんで女の私が男の姿を想像しないといけないのよ。そんなこと考えたことないわ。幻影魔法もだけど、自分以外の姿を想像して、その姿に体を変えるなんて幻影同様、もしかしたら幻影作るよりも難しいわよ。出来ないのが当たり前だわ。】』
フレ:「うん。確かに。エリザベートの言う通り、自分が男の姿を私は想像出来ていないのだと思う。」
エ:『【フィオナはね、元々男として育ったから簡単に男の姿になれるのよ。で、まだ魔力が少なかった子供の頃もね、女児の姿が本来の姿だから女児の姿にも簡単に戻れたのだと思うわ。最初の頃なんて夜中父親の魔力量を超えたら勝手に女児の姿に戻っていたし。
魔力量が増えれば勝手に体は女児になって、魔力量が少ないと勝手に体は男児になるのよ。想像なんてしなくても両方自分の姿なのよ。
大きくなって魔力量が増えてからもね、普段から両方の姿で生活していたから両方の姿を簡単にイメージ出来たのよ。両方自分の体だって認識してね。
私もだけど、フィアレアラはずっと女の子なのよ。男の子になった姿を想像することは難しいわ。】』
フ:『…エリザベートは、フェリオが苦手だったわよね。』
エ:『【当たり前じゃない。私は女なのよ。フィオナがいつもフェリオの姿でいたからなんとか出来たけれど、男の姿を想像するなんて難しいから適当だったわ。しかも、フィオナの時と魔力も違うし。フィオナの姿の時は自分だと思うけれどフェリオは他人の体みたいだったわ。だからいつも私がフィオナ担当で、フィオナは幻影フェリオ担当だったでしょ。私が適当に作った幻影フェリオをいつもフィオナが修正していたじゃない。】』
フ:『…そうね。エリザベートが作る幻影フェリオは本当にいつも適当だったわ。』
エ:『【あれで精一杯だったのよ。】』
フレ:「エリザベートがそう言うならば、私、ますます男の子になんてなれない気がしてきた。…試しに、エリザベートに私の体を任せるわ。魔法の技術はフィオナよりもエリザベートの方が上だから。エリザベートに出来ないならば私なんて絶対無理よ。」
……………
エ:『【ごめんなさい。フィアレアラ。私も、あなたの男の子の姿、全く想像出来ないわ。フェリオでさえ苦手だったし。非常識な魔法は難しいわ。】』
フレ:「やっぱりそうよね?フィオナは?フィオナは私がもし男の子だったら、の姿を想像出来る?」
フ:『エリザベートが出来ないならば私も出来ないと思う。あなたの魔力を借りて、幻影フィオナとか幻影フェリオならば作れるけれど、よく考えたら、そうよね、私もエリザベート同様あなたが男の子だったら、の姿を想像して体を変えるなんて難しいと思う。私の時とは違うように思うわ。』
フレ:「一応、やってみる?フィオナは子供の頃から男女両方の姿で生活していたのだから。」
フ:『ええ。体借りるわね、フレアレアラ。』
………………
フ:『…。…。…。
やっぱり私も想像出来ないわね。フィアレアラが男の子なんて、無理だわ。』
エ、フレ:「『【…。】』」
フ:『体返すわ。フィアレアラ。私も出来なかったわ。魔法以前の問題ね。ごめんなさい。』
エ、フレ:「『【…。】』」
フ:『どうしたの?二人とも?』
エ:『【フィオナ、あなた、フレアレアラの体に何したの?】』
フ:『へっ?何もしてないわ。体を借りただけで。何の魔力も使ってないわ。』
エ:『【フィオナ、あなた、父親の呪詛、解呪してないわよね?】』
フ:『ええ。する必要なかったし、解呪したら解呪に使った分の魔力なくなし、フェリオがいないと困るから。』
エ:『【フィオナ、あなた、死んだくせにまだ呪詛かけられたままよ。】』
フ:『へっ?』
エ:『【フィアレアラの体、「レアラ」じゃなくて、「アラン」よ。…たぶん。】』
フ:『…。初等学校一年生の子供が男か女かなんて見た目では分からないわ。申し訳ないけれど確認していいかしら?』
フレ:「別に自分の体を自分の前世が確認してもいいわよ。…私も気になるし。」
………
フ:『ちん◯んついてる。えっ?呪詛なのかしら?フィアレアラがまだ私の父上の呪詛以下の魔力しかないから?』
フレ:「イヤ~。なんで私にそんなモノがついているのよ。姿を変える練習をしていたけれど、それは要らないわ。」
フ:『いやいや。ついてないと男じゃないし。』
フレ:「ない。ないから。要らないから。」
フ:『そこまで嫌がることではないと思うけれど?』
エ:『【フィオナは物心ついた時から男だったからよ。女の子にそんなモノがいきなりついたら混乱するわ。】』
フ:『私はついていたのがなくなって混乱したけれど?』
フレ:「フィオナ。いえ、フェリオ。私の体返して。もう最悪だわ。『アラン』なんて。私は、『レアラ』よ。」
フ:『返すわよ。はい、どうぞ。子供の体なんてどっちも同じだわ。』
フレ:「全然違うわよ。」
フ:『ついてるか、ついてないか、くらいだわ。下半身見ないと分からない、上はどっちもツルペタ、声も同じ子供声よ。』
エ:『【フィオナの言う通りね。男の子の姿のフィアレアラもいつもとあまり変わらなかったわ。下半身だってまだ可愛い子供ちん◯よ。騒ぐほどのことではないわ。】』
フレ:「…。(急に付いたら騒ぐくらいするわよ。)」
エ:『【でも、やっぱりそうだったわね。女の子のフィア『レアラ』が男の子のフィ『アラン』の姿を想像するなんて無理だったから出来なかったのよ。良かったわね。フィオナの、フェリオっていった方がいいかしら?フィ『アラン』の姿に慣れたら、フィアレアラもそのうちフィ『アラン』に姿を変えれるようになるわよ。』
フ:『フィアレアラが私の父上の呪詛以下の今のうちに男の子になる練習ね。私の父上の魔力は、まぁまぁ強いから半年くらいは十分練習出来るわね。フィアレアラが男の子の体に慣れないならば、私がフィアレアラの体でいてあげるわ。そうすれば毎日男の子よ。』
フレ:「イヤに決まってるじゃない。何で私が毎日男の子にならないといけないのよ。」
フ:『そんなに悪くないわよ。結婚相手だってどっちでもいいのよ。好きでもない男と結婚しなくていいなんて凄くいいじゃない。あなた、このままだと、帝国のあなたの従弟皇子の第一皇妃になる可能性が一番高いんじゃないの?』
フレ:「…。そうだけど。」
フ:『帝国に帰らないでうちの王国に残ったらどうかしら?イーデアル公爵家辺りに養女じゃなくて養子になればいいのよ。で、傍系王族王女の王配になって自由にしたら?なかなかいいアイデアだわ。』
フレ:「恋愛に興味ないけれど、自分の相手が女の子なんて考えたこともない。」
フ:『今から考えたらいいのよ。』
エ:『【でも、フィオナ。フィアレアラは練習して男性の姿になれるようになったとしてもたぶん見せかけだけよ。フィアレアラは呪詛をかけられていないからね。フィオナ、あなたと違って。
フィアレアラが傍系王族王女を妃にするにはフィアレアラの体をフィオナが支配する必要があるわよ。そしてフィオナがフィアレアラの体を支配したとしてもフィ『アラン』に男性としての生殖能力があるかどうかは分からないわ。フェリオの時と違うわよ。】』
フレ:「男性として子孫を遺せないならば、私が男になる練習する意味ないじゃない。」
エ:『【可能性の話よ。フィアレアラの魔力が少ない今のうちに練習しないと、フィオナの父親の魔力量を超えたら男性に姿を変えるなんてほぼ不可能よ。私達みんなさっき出来なかったようにね。
とても難しいわよ。男性として子孫を遺すならば、体をフィオナに渡す必要があるわ。自分は男性に姿を変える練習をして、相手になる女性を選んでも、その女性の相手をするのはフェリオよ。私ならば無理ね。自分の体を空け渡して、愛する女性をフィオナに任せるなんて。】』
フ、フレ:『「…。」』
エ:『【そろそろレリーリアラちゃんの母親が来る時間よ。】』




