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27.前世の私と前々世の私 10

『私が子供の頃にフォントボンに会わなかったら、帝国はどうなっていたか分からないし、エリザベートの記憶もなかったかも知れないわね。』


「エリザベートは?エリザベートは、フィオナの中に眠っていたのよね?」


『【ええ。フィオナがセフィーアの『帝王結界』に触れて少しでも古の記憶を思い出してくれたから私も目が覚めたけれど、きっかけがなかったら、眠ったままだったと思うわ。】』


『前世の記憶を思い出す時は何かのきっかけがあるのよ。レリーリアラもアリアもそうね。私の魔力暴走がきっかけね。申し訳ないわ。』


「フィオナ、魔力暴走したのね。クノン第一王妃陛下が言っていたわ。」


『【そうよ。レリーリアラちゃんにね、自分のところに来なくていいって言われてね、ショックで我を忘れて暴走したのよ。アリアがフィオナを止めなかったら、たいへんなことになっていたわ。

思えば、レリーリアラちゃんもアリアもフィオナのせいでとてもたいへんな人生だったって思うわ。お気の毒な人達ね。フィオナがバカみたいに毎年毎年繁殖するから。】』


「第一王妃、第一王女はフィオナ親玉ネズミの一番の被害者なのね。エリザベートの言うとおり、お気の毒な人達だわ。」


『【王子王女なんて金喰い虫なのよ。妃が五人に王子王女が七人もいたら、王国の王家費用なんて破綻よ。第一王妃のレリーリアラちゃんは人を使わないで自分でするしかなかった。アリアもよ。第一王女のアリアは、フィオナに仕事を押し付けられていたわ。初等学校の頃から休日には第二王女クレアの魔法の先生をやらされていたわ。クレアだけでなく、下の妹弟の面倒をみるのは全部アリアの仕事よ。アリアは、四星の異母妹王女にまで魔法を教えていたわ。フィオナが他所に作った異母妹に魔法の技術を教えるために、アリアは帝国留学までさせられた。フィオナは親の責任を完全に放置よ。可哀想に。】』


『大切に思っていたわよ。レリーリアラのこともアリアのことも。』


『【当然だわ。あの二人がいたから下の王子王女達は普通に王子王女でいられたのよ。いなかったら、王家費用をカットしないと生活出来ていないわ。お誕生日パーティーや祝賀会もカットになるわよ。子供達の教育費もね。】』


『…。

感謝していたわ。レリーリアラにも、アリアにも。』


『【だから、それは当然のことよ。レリーリアラちゃんとアリアに見捨てられたら困るのはフィオナだったのよ。レリーリアラちゃんは、王家関連費節約のために侍女のする仕事までしていたわ。第一王妃なのにタダ働き専雑用係よ。可哀想に。レリーリアラちゃんってフィオナなんかのどこがそんなによかったのかしら?疑問だわ。恋は盲目だったのね。中等学校くらいの頃にフィオナのことなんて冷めたらよかったのに。冷めないでフィオナの妃になったばかりに一生忙しい人生になってしまったわ。そして、今世は、ランセルなんてダメ国王の第一王妃なんて、男運が悪すぎるわ。お気の毒な方ね。レリーリアラちゃんって。】』


「私もエリザベートの言う通りに思うわ。彼女、フィオナなんかのどこがよかったのかしら?顔は義理の祖母にそっくりだから少なくともフィオナの顔ではないわね。私ならば、義理の祖母にそっくりの従姉なんて絶対嫌だわ。

フィオナって、妙に自信家だし、乙女心の分からないただの鈍い『男』だし、彼女を泣かせてばかりだし、中等学校留学時代は付き合っていたクセにほとんど放置しているし。

私、フィオナの良さが全く分からないわ。マジでフィオナの恋人なんてありえないわ。」


『…。言い返せないわ。本当ね。レリーリアラって私のどこを好きになってくれたのかしら?』


『【まっ、それを言ったらフィオナの妃全員ね。フィオナなんて魔力くらいしか取り柄がないもの。四星ならば、フィオナの魔力に魅せられたってことはないし。五星のセシルとエリアノーラもフィオナの魔力に惹かれたってわけではないし…。

みんな何故なのかしら?】』


「本当にそうよね~。私の前世だけど、全く惹かれる要素ないわね~。帝国の三人は友人から恋人になったらしいけれど、私ならば、普通に友達なだけ終わりね~。それ以上なんてないわ。」


『【私もよ。フィオナなんかクソ生意気な子孫にしか思わないわ。フィオナの魅力って何なのかしら?】』


『失礼ね、エリザベートもフィアレアラも。…言い返せないけれど。帝国の三人ならば、私も仲のいい友達と思っていたわ。みんな、私のどこがよかったのかしら?』


「もしかしたら、好きでもない男に嫁がされるよりも、友人のフィオナの方がマシだっただけじゃないのかしら?友人として好きの延長よ。ならば、自信たっぷりのイタい勘違い女ね、フィオナって。」


『…。そんなことない…はず…。』


『【痘痕も笑窪だったの可能性があるわね~。思春期あるあるの勘違いよ。他国の王女のフィオナが珍しくて気になっていただけなのに、惹かれて気になっているってまさかの思い違いをしてしまったのよ。そして冷静になってそれが思い違いだと気付く前にフィオナの婚約者になってしまって、そのまま妃になったのよ。】』


『…。全員平等に愛していたわよ。』


『【はいはい。そうね。まっ、その単純で鈍いところがフィオナの魅力だったのよ。女子によくある裏表がね全くないところよ。鈍い男児みたいな。】』


『…前世と今世の私にディスられて凹むわ。』


「フィオナもエリザベートも私をディスってばかりだけどね。」


『【フィオナも私をすぐディスるわよね。何故かしら?】』


「みんな自分が一番の自信家だからよ。前世だろうが今世だろうが関係なくね。自分で自分の過去と現在をディスるなんて不毛な争いだわ。」


『『【…。その通りね。だけどまだ初等学校一年生のクセにババクサイ発言ね。フィアレアラ。】』』


「ほら、ディスった。学習しないバカだわ。前世と前々世の私って。」


『『【…。あなたもね、フィアレアラ。】』』


「性格だわ。三つ子の魂百までね。死んで生まれ変わっても治らないなんて質が悪いわ。」


『そうね。ならば、あなたは、そのうち私達みたいになるのよ、フィアレアラ。私とエリザベートなのだから。』


『【そうそう。フィアレアラは私達よ。目立たない傍系皇族皇女なんかでは満足出来ないわ。魔力が増えたら、叔父皇帝なんか怖くないわ。】』


「…。叔父上様皇帝陛下は、怖いわ。何言われるか分からないからビクビクしてしまうわ。母方のお祖父様も、」


『ないわね。あなたの叔父皇帝も、祖父の前皇帝も、私の娘のエリザベートよりも下よ。平均的旧帝国皇族家系五星よりもほんの少し上な程度の。そのうちあなたが彼らの四倍以上になるのよ。たいしたことないって思うわよ。』


『【そうよ。フィアレアラ。あなたは私達なのだから、まずはそのショボい子供魔力を鍛えないといけないわね。目標は私達と同じくらいよ。安心して私達に全部任せなさい。】』


「はいはい。悪くはないわよ。前世と前々世の知識のおかげで魔力鍛えるくらい努力なんて言えないくらいたいしたことないもの。」


『『【それは、そうね。転生も二回目だからすぐ出来るようになるけれど、技術は自分で磨かないと身に付かないわよ。】』』


「分かったわ。エリザベート、フィオナ。」

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