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18.傍系王族王女クララ 2

ある日、私に帝国の皇女殿下が我が国に留学なさることになったと父上が話してくださった。我が国の歴史に登場するとても強い魔力を持つ王女殿下の時代の子孫になる方らしい。


普通では考えられない位強い魔力の王女殿の名前は、フィオナ・マ・アール王女殿下。彼女は老齢になっても世界一の魔力量を持っていたらしいがとても信じられない。


その王女殿下の時代に我が国と帝国は同盟国になり、帝国の公爵家の令嬢が我が国の国王陛下に嫁ぎ、そして、生まれた王女がまた帝国の公爵家の男性に嫁いだと習った。


留学なさる皇女殿下は、フィオナ王女殿下の双子の兄フェリオ・マ・アール国王陛下の孫、そして帝国の大皇帝第50代エリザベート・F・ヤ・マティス皇帝陛下の養女皇女となった我が王国の王族王女殿下レアラ・レリ・アール・ヤ・マティス皇女殿下の子孫になる方らしい。


帝国とは、その時代には仲良くしていたが、今では、それほど仲良くはない。帝国の人口は我が王国の三倍以上いて、五星の数も多い。広大な国土、経済力、生産力全て世界一だ。フィオナ王女殿下の時代には、帝国の皇族の魔力量が少なくて滅亡寸前だったらしいが、歴史に出てくる先祖返りの強い魔力を持つ大皇帝第50代エリザベート・F・ヤ・マティス陛下の時代以降、帝国は世界一強い大国になった。


その後、隣国で流行った病で一時期国を閉ざしたが、流行り病が収まるとすぐに開国し、弱った隣国を次々に支配下に置いた。今の帝国は、他のどの国々よりも突出した大国なのだ。


我が王国の五星の魔力も強いが、あの帝国の皇族五星の魔力も強い。我が王国が国外外交代表五星ランキングで毎年ランク一位になってはいるが、あの帝国の代表五星も毎年ランク二位だ。うちの王国が僅かに上程度で、ほとんど変わらない。人口、五星の数、国土の広さ、生産性、経済力等、全て帝国が上。総合的に見て我が王国よりも帝国が二倍、三倍くらいは格上になる。


うちの王国も五星の数は増えているが、数十年後にはヤバい気がする。私は、自分に自信がない。私は、直系王家の五星ではないから。今のうちの王国の国外外交代表五星は、私の父上でランク一位だが、帝国の代表との差は極僅か。私の時代で逆転されるかも知れない。そうなると恐ろしい。我が王国も同盟国から帝国の支配下に置かれる国の1つになる可能性もある。


我が王国に留学される『フィアレアラ・マティス皇女殿下』は私よりも二歳年下。皇家ではなく皇族の五星皇女殿下。現皇帝の姪ではあるが、殿下の母親は前皇帝の養女で四星だった。父親は、現皇帝とは7親等以上離れた五星皇族男性。つまりは私と同じような立ち位置だ。皇女殿下の魔力が二歳年上の私よりも上ならば、私は終わりだ。帝国五星と我が国の五星の強さは逆転していることになる。我が国は完全に敗北し、そのうち支配下に置かれるだろう。


私は、緊張しながら、フィアレアラ皇女殿下の留学の日を待っていた。


……………


フィアレアラ皇女殿下の留学の日、夜に歓迎パーティーが開かれた。1の月から初等学校二年生に編入学なさる。身長等の見た目は、年相応か、少し背が高いかな?二歳年上の私と同じくらいか、少し高い。お顔は…、とても可愛いと思う。目がくりっと大きい。


私の叔母である第一王妃陛下が殿下を紹介してくれる。王族である私のところが一番だ。

にこやかに挨拶を交わす。少しくらいは殿下の魔力を感じられると思っていたのだが、全く分からない。何故?本当に全く感じない。誰でもほんの僅かに感じるはずなのに。


少しの挨拶程度で終わってしまい、残念に思っていたら、サザリーナンダ公爵家の令嬢とトラブルを起こしている。近くに行って彼女がどう行動するのか見ることにした。


「殿下、私、同い年の五星に初めてお会い致します。学校の授業の前に少しだけ殿下の魔力を感じてみてもよろしいでしょうか?もちろん帝国の皇族の皇女殿下の魔力ならば私よりも全然上だと思っていますが。」


サザリーナンダ公爵家の次女リマリーエ・マ・サザリーナンダはなかなか強引傲慢な五星令嬢だ。自分に意見する者は容赦なくいじめる。そして必ず言うことを聞かせようとするワガママ令嬢だ。


「貴国は強い魔力の五星が治める国とは知っていますが、私も帝国の皇族皇女です。同い年の『公爵家』のご令嬢には負けないつもりですわ。手加減が必要ならばおっしゃっていただければ、あなたに合わせますわよ。」


彼女もなかなかの自信家だ。流石帝国の皇族皇女殿下と言ったところか。


「凄い自信ですわね。でも私もこの国の四大公爵家第一位の権限を持つサザリーナンダの五星ですわ。己の魔力には自信がありますので遠慮なくどうぞ。」


「では。」


お互いに握手して魔力勝負している。握手をするのは魔力を周りに洩らさないようにするためだ。だが、少しはどうしても洩れてしまう。リマリーエの魔力を感じる。王族ほどではないが、まぁまぁ強い。だが、彼女は全然平気な顔をしている。やはりかなり強い魔力を持つ皇族皇女殿下に違いない。


「これで全力ですか?」


「まだまだよ。」


勝ち気なリマリーエは、挑発に乗っている。子供だ。さっさと負けを認めて謝罪すべきなのに。


「あなたは五星の勝負を分かってないのですか?己の力の分からない五星が一番愚かだと。降参することは恥ではありません。再起不能にさせられるまで降参しない方が恥なのですよ。」


「煩い。」


周りの大人がリマリーエを止めはじめた。降参しろと。でも彼女は聞き入れない。


「ごめんなさいね。五星の勝負だから再起不能にさせてもいいのだけど、同い年のご令嬢にそんなことをしたくないから、気絶してもらうわね。お休みなさい。」


彼女はそう言って一瞬でリマリーエを気絶させた。そして倒れる彼女を握っていたその手で自分の方に抱き寄せ横抱きにした。そして驚くことに周りに謝罪したのだ。


「五星の勝負ですので、遠慮なく気絶してもらいましたが、回復させますわね。私、同い年の彼女と仲良くしたいので。」


少しだけ回復魔力を垂れ流し、あっという間に気絶していたリマリーエを回復させた。なんて凄い魔力。彼女から感じる魔力は、極上で膨大だった。私よりも二歳も年下なのに、私の二倍以上ある。私の父上やもしかしたら国王陛下と同じくらいあるように思った。


リマリーエの父親のサザリーナンダ公爵が必死にフィアレアラ皇女殿下や国王陛下に詫びている。フィアレアラ皇女殿下の魔力をべた褒めしながら。


苦い顔をしているのは、私の父上と国王陛下。私もだ。この皇女殿下はヤバい方だ。まだ初等学校の子供なのに物凄い魔力だ。魔力量もそうなのだか、質が普通の五星ではない。初めて感じる蕩けるような極上の質の回復魔法だった。


リマリーエは、赤い顔をして皇女殿下に抱かれたまま殿下を見ている。それに気付いた皇女殿下は慌てて彼女を下ろした。耳元で殿下に何かを言われて彼女は、真っ赤になって謝罪していた。


珍しいといえば珍しいのだが、強い五星には敬意を示すのは普通のことだ。その後も二人の様子を見ていたが、リマリーエは、皇女殿下と目が合う度に照れて目を反らしている。まさか、リマリーエ、皇女殿下を好きになったのでは?と思ってしまった。五星は、時々あるのだ。圧倒的な魔力差を見せつけられると逆らえなくなってしまうのだ。何でも言うことを聞かないといけないような気持ちになってしまう。さらに相手を認めて尊敬し好きになってしまうことが。


そして、皇女殿下の方は、リマリーエと目が合うと視線を反らされ落ち込んでいる。何故?もしかして好かれているからなのに嫌われているからだと勘違いしていたりする?まさかね。そんな超鈍い幼い男児のような勘違いなんてするはずないわね。もしかしたら私のように目立ちたくないのに他国に来ていきなり目立ってしまって落ち込んでいるのかも知れないわ。初等学校二年生からの転校生になるからきっと新学期が憂鬱なのね。お気の毒に。

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