13.王国留学 2
翌朝、朝食の時間、王都のことを確認のために聞いてみる。王家と王族について。
現在の国王ランセル・マ・アールには、妃が三人と王子が二人、王女が一人。
第一王妃、王族出身の四星女性クノン・マ・アールと四星第一王子ソウル・マ・アール(九歳)。
第二王妃、サザリーナンダ公爵家分家出身の四星女性タミル・マ・アールと五星第二王子ハウル・マ・アール(五歳)。
側妃、フラインダー侯爵家出身ヒカリエ・マ・アールと四星第一王女カルア・マ・アール(二歳)
王族は、現在、一つだけ。
傍系五星王女、クララ・レリ・アール(九歳(お誕生日がきたら10歳))。
「昨日、お話し致しましたが、我がイーデアル公爵家からフェリオ国王陛下の第一王妃様になられました女性がお産みになられました次の国王陛下は我が王国初の女性の国王陛下でした。そして、その次の国王陛下は男性だったのですが、お子は、五星と四星の王女殿下で、王子様がいらっしゃらなかったのです。王族の五星王子様が王配になられましたが、王族がなくなってしまいました。幸いにも、五星の王子殿下二人に恵まれて第二王子殿下が王族となられましたが、王族が一つのままでは国家が危うくなります。
さらに、今までの法では、王族は、国王からみて四親等以内でした。四親等では、すぐに王位継承権がなくなってしまいます。なので、第二王子様の息子王子様は、兄の第一王子様の娘王女様とご結婚されました。従兄妹結婚です。しかし、血縁が近すぎるのは、子孫によくありません。王族を維持するためには、四親等では難しいという問題から、その時代に六親等以内に改正されました。
ですが、六親等に改正されても王族は一つしかありません。その王族も前国王陛下が代替わりすれば、王族がなくなってしまう状態でした。それを防ぐために王族の王女殿下だったクノン王女殿下が当時王太子だったランセル陛下の妃になられたのです。
つまり、今の王族五星王女様のクララ殿下が生まれた時の国王陛下は、前国王陛下でしたので、クララ殿下は六親等の王族王女殿下です。しかし、ランセル王太子殿下が即位なされば、クララ殿下は七親等となり、王位継承権が消えてしまいます。なので、クララ殿下の父親の妹王女だったクノン王女殿下がランセル王太子殿下の妃となることにより、クララ王女殿下は、本来の六親等から四親等の王族王女殿下に、ランセル国王陛下が御即位なされてからは、三親等王姪殿下になられたのです。」
「なるほど。確かに四親等は、厳しいですね。一つしかない王族もなくなってはたいへんですし。」
「うちに降嫁なされたランセル国王陛下の異母妹王女レティーア様は、元々は王族として残られる予定でした。しかし、ランセル国王陛下には五星王子様、王族にも五星王女様、さらにご側妃様をお迎えになられることが決まってましたので、将来に問題ないと、降嫁が決まりました。四年前のことです。
うちにレティーア王女様が降嫁なされたのは、三年前ですが、ランセル国王陛下のご側妃様のお産みになられたのは、四星王女様でした。一度、王位継承権がなくなってしまえば、復活することはありません。第一王妃陛下の兄である王族王子殿下も第二妃をお迎えになられましたが、お産まれになられたのは、四星王子様でした。
またギリギリの状態です。レティーア王女様は、王族に残られた方が良かったのではないかと今となっては思うのですが、当時は、国王陛下と四大公爵家第一位の権限を持つ南のサザリーナンダ公爵が強くおっしゃっていましたし、うちも損はないだろうと言われまして、そうなってしまいました。」
フィオナの言う通り、国王ランセルは異母妹王女レティーアを降嫁させるべきではなかったと私も思う。第二王子の魔力が弱いならば尚更だ。息子に王位を継がせたい気持ちは分かるが。
現在の四大公爵家第一位の権限を持つ公爵家は、南のサザリーナンダ。今の当主の二代前にウエスターナルから奪ったらしい。一番強い魔力を持つ公爵家が第一位であるべきだと言って。そして、第二王子の母親も分家サザリーナンダ公爵家出身だが、国王ランセルの母親は、本家サザリーナンダ公爵家出身の女性らしい。
…………………………
『【ふーん。ならば、第二王子はナンダン王族家系五星かしら?確実なのは魔力に触れることだけど、見ただけでもだいたい分かるわ。】』
エリザベートが私の頭の中でそう言っている。フィオナは妹王女が気になっている。妹王女のお腹の子供のことが特に気になるみたいだ。
『イーデアルに降嫁した現国王の異母妹王女の魔力が分かる?フィアレアラ。』
「うん。私の父上よりは上。今の私よりもね。」
『そうね。あなたの叔父皇帝に比べると、どうかしら?』
「異母妹王女だと思う。後は技術力?あの異母妹王女がどれくらい技術を磨いているかは分からないけど、異母兄ランセルが王位を継ぐ王子だったから、彼女は幼少時代にそれほど技術を磨いてないと予想する。フィオナとエリザベートの記憶から私も『帝王結界』を張れるようになったけど、私の叔父皇帝は皇太子だったから、『帝王結界』を張るためにかなり魔法の練習したと予想する。」
『そうね。私も同じ意見よ。私の子孫同士で潰し合いなんていやだけど、将来、我が国は帝国に潰される可能性があるわ。』
『【出産は来月って言ってたわね。生まれる子供次第にはなるけれど…。】』
『ええ。…。』
「…何?どうしたの?フィオナ?エリザベート?」
『…なんとなく、なんとなく…だけど、父親似のワントゥン公爵家系五星男児だと思ったのよ。』
「何故?男児?魔力ならばだいたい分かるかもだけど。」
『お腹の出方が男児だから。お腹の子が男児ならば前、女児ならば全体的に出るのよ。必ずではないけれどね。後、旧帝国皇族家系五星にしては少し魔力が弱い気がするわ。さっき、ほんの少しだけお腹の子供の魔力を感じたのよ。もっと近くではっきり感じてみないと分からないし、生まれてからでないと確実ではないけれど…。』
「…エリザベートはどう思うの?」
『【残念だけど、フィオナと同じ意見よ。
母親のお腹の中にいる胎児はね、ほとんどいつも寝ているのだけどね、臨月に近い頃の胎児は母親のお腹が窮屈だからね、ふと起きた時に魔力を放つのよ。狭いことへの不満からね。
だから母親は自分よりも上のMRの子供を授かるとたいへんなのよ。出産予定日よりも早く生まれることが多くなるわ。胎児に攻撃魔法放たれたら母親の体が持たないからよ。そして、母親の体も、胎児を異物として拒否してしまう。故に、一人目が母親よりも上のMRの子供ならば、二人目は授かりにくくなる。
一人目の子供が母親と同じMRか、下のMRならばそんなことはないのだけどね。
話は元に戻るけれど、異母妹王女のお腹の子供は、旧帝国皇族家系五星にしては少し弱いわね。私とフィオナの経験測だから必ずではないけれどね。ワントゥンか旧マ・アールの可能性が高いわ。父親はワントゥンだけど、子供は、旧マ・アールかしら?】』
『私にはそこまで分からないけれど、エリザベートがそう言うならば旧マ・アールかも?』
「エリザベートが子供を産んだのは1000年以上前、フィオナは自分で産んでないから忘れているのではないの?」
『…昨日のことのように覚えているわよ。ねぇ、エリザベート。』
『【フィオナの言う通りよ。そんなことを言うならば、私の記憶の全てをフィアレアラに開放してあげるわよ。出産の頃も全てね。私、五星を三人も産んだのよ。一番下の息子のジョージは、旧マ・アールだったしね。】』
「そんな記憶要らないわ。私が悪かったから解放しないで。」
………………………
「…殿下?フィアレアラ皇女殿下?お疲れですか?出発は朝9時を予定していますが、大丈夫ですか?」
「えっ?あっ、はい、大丈夫です。すみません。少しぼんやりしていました。」
「お疲れでないならばよかったです。本日殿下とご一緒させていただくのは、私と、あともう一人はゼオンの異母妹です。本来ならばゼオンを、と思ったのですが、ゼオンの妻は臨月なこともあり、殿下と同性である孫娘が代わりにご案内する方が良いかと思いまして。孫娘も異母兄ゼオンと同じくらい強い五星ですので、ご安心して私達にお任せ下さい。」
「えっと、朝食にはいらっしゃらないようですが?」
「今日の早朝王都から戻ってきたので、自室で休んでます。ご挨拶なく申し訳ありません。孫娘はまだ高等学校の学生なのです。来年度1の月に三年生になります。」
「とんぼ返りなんて申し訳ありません。お疲れではありませんか?」
「若い五星なので大丈夫ですよ。15歳の少女の体力なんて数時間休めばすぐに回復しますから。」
『15歳…。一番ピチピチの超いい頃だわ。回復なんて当たり前に超早いわよ。毎晩何回でも…失礼…何でもないわ。』
「(…フィオナ。最低。)」
『申し訳ないわ。』
そうして、ゼビオ様とゼオン様の異母妹の15歳五星少女に王都まで案内していただいたのだが、このゼオン様の異母妹は私に全く興味ない様子で、一言も話すことなくずっと隣で爆睡していた。




