10.前世の私と前々世の私 4
フィオナの記憶が頭の中に入ってくる。王太孫となったこと、国外外交代表となったこと、留学をしようと思ったこと、留学をしてからのこと、帝国歴史にでてくる女性皇帝、セフィーア、セシル、エリザベートの一番最初セフィーアが皇帝となるまでの記憶と『帝王結界』。
ちょっと待って。セシル皇帝陛下って初等学校に入学したばかりだわ。この後フィオナの毒牙にかかって第50代エリザベート皇帝陛下が生まれたってことね。
『…今、とっても失礼なこと考えたわね。フィアレアラ。違うわよ。私がセシルに口説かれ続けたのよ。二年も。母親のセフィーア皇帝陛下は反対し続けたわ。セシルは皇位継承権を持つ唯一人の皇女だったから。』
へぇ~~~。でも前々世エリザベートが私にフィオナには妃が五人もいたって言ってたわ。怪しいわね。まぁ、複数の五星の子供が欲しかったことは分かるけど、帝国の皇家は必要なかったのでは?私の父親もフィオナの子孫みたいだから微妙だけど。
『…また、失礼なこと考えているわね。フィアレアラ。まぁ、そうなんだけど、私の第二妃がクラリスで側妃はカンナなのよ。帝国の皇族の魔力がヤバいくらい少なかったのは分かったわよね。あのままだと帝国を維持出来ないくらい皇族の魔力が減っていた原因は遺伝子異常なのよ。もう面倒くさいわね。留学後まで記憶を開放するわ。少しずつなんてまどろっこしいけど、さすがにフィアレアラはまだ八歳だから自重するわ。』
再びフィオナの記憶が開放される。へぇ~~。セシル皇帝陛下に『帝王結界』を教える旅をしたんだ。ああ、だから、クラリス、カンナがフィオナの妃なのね。めちゃめちゃ仲良ししてるじゃない。遺伝子異常…。ああ、ヤバいわね。これでは、帝国もフィオナの国も共倒れになる可能性がある。
『分かったかしら?まぁ、私だって悩んだわよ。セシルのことは好きだったし、大切に思っていたのよ。私の妃になってくれるならば全然問題なかったんだけど、皇太子だったからそれは出来ないし、セフィーア皇帝陛下もセシルも公爵家の者達も未来の帝国のために必死だったのよ。毒牙になんてかけてないわよ。ちゃんと付き合うような関係になってからしかしてないわ。』
…あーあーあー、何で『初めて』をフィオナは今思い出したの?私まだ八歳なのに伝わってきたわ。
『【フィオナ、ちょっと、あなた、バカじゃないの?フィアレアラは私達なのよ。セシルとの『初めて』をフィアレアラに伝えてどうするのよ。】』
私の前々世のエリザベート、もう、遅いわ。伝わった後よ。
『面目ないわ。つい。あの時のセシルがめちゃくちゃ可愛くて思い出してしまったわ。』
『【フィオナのバカのせいでフィアレアラが男に興味を持たなくなったらどうするのよ。フィアレアラはあなたと違って普通の女の子なのよ。頭の中が男だったフィオナとは違うのよ。】』
『あのね~、もしそうなったとしても、それは私のせいではないわ。あなただってそうだったクセに私だけの責任みたいに言わないで。』
…あーあーあー、開放されたフィオナの記憶の一部の中にエリザベートの記憶の一部もあったわ。深くは考えないようにしよう。私は、まだ八歳だから。
『【育った環境によるのよ。フィアレアラは私達と違って父親に可愛がられて育ったから、将来男性を好きになるわよ。…たぶん?】』
今のところ男にも女にも興味ない。五星だから誰かを好きになったとしても仕方ないって思っている。叔父皇帝に適当な男性を決められるだけだと。皇族の五星皇女なんてそんなもんだ。
『淋しい考えね。フィアレアラ。好きな相手は自分で探すのよ。そして落とすのよ。』
…どこからくるのだろうか?フィオナのその自信。
『当然じゃない。私はこの世界で一番強い魔力を持つ五星だったのよ。私は誰の言うことも聞かないわ。私は私の自由にするのよ。誰も私に逆らうことなんて出来ないのよ。私はそれが許されるのよ。』
この女、ヤバい女だわ。世界一自己中なワガママ自分勝手女だわ。私が習った歴史は間違いだった。実際の本人はそんなに出来た人間ではなかった。
『誰がよ。失礼な子孫ね。フィアレアラ。私がいるからあなたがいるのよ。感謝しなさい。』
『【あなたもね~。フィオナ。あなたも凄く生意気な子孫だったわ。私の子孫のクセに。】』
はぁ~~~。マジでこの二人が私の前世と前々世なんてイヤなんだけど。
『『【失礼ね。フィアレアラ。私達の子孫ならば、私達の記憶があるなんて光栄に思いなさい。】』』
要らないし。前世と前々世の記憶なんて。しかも記憶だけならばともかく、前世と前々世の私が私の頭の中でごちゃごちゃ話して煩いわ。
まぁ、魔法に関しては…悪くない…かな?
勉強もね…。フィオナの知識のおかげで高等学校卒業までの学習が終わってしまったわ。何の勉強もしなくても全教科100点満点取れるわ。あっ、でもフィオナの死んでからの以降の近世界史くらいは必要だけど。
『ある意味チートな知識よ。あなたに私の全部をあげるから、私に協力して欲しいわ。フィアレアラ。』
はい、はい。分かったわよ。フィオナ。私はあなただから。




