第二章第三話
学校に着くと、真っ先に職員室に向かう2人。
学園祭顧問の磯山先生が出勤していて、自分の机に向かっている。
職員室のドアをノックするなり開ける凛。磯山先生と目が合ってしまう2人。
雪村が慌てて先生に話しかける。
「お、おはようございます先生。あの、3年A組の伊丹です。」
「おはようございます。3年B組新川です。」
「おはよう。3年生がこんなに朝早くどうしたの?クラスの出し物も、外の露店も3年生には負担にならない様運営するのが恒例だから、もっと遅くに登校して構わないのよ。」
「あ、いえ、その……。学校宛に、変なメール、不審なメール来ませんでしたか?」
雪村は凛を抑える様に慌てて尋ねた。
「メール?学校宛に?……特にメールは入ってなかったわよ。何か有ったの?」
怪訝な表情の磯山先生。
雪村は更に慌てて凛を抑えながら、
「あ、いえ。何でもありません。最近、変なツイートが多くて、それで気になってて……。」
言い訳っぽいが言い訳になっていない雪村。
凛が口を開いた。
「あ、磯山先生。話は違うんですが、講堂イベントの件、実行委員の後輩に聞きました。サプライズの出し物とか……。」
「ちょっとー。それはホントにサプライズの企画なのにぃ……。全くしょうがないわねぇ……。でも、サプライズは実行するのよ。」
「タレントさんが来るとかって話でしたが。ホントなんですね。」
「それが昨日、芸能事務所から電話が来てね。予定のタレントさんのスケジュールが合わなくて、芸人さんが来る事になったの。でも、お二人さんには誰とは話しませんよ。イベントまでのお楽しみにしてね。」
「朝早くから磯山先生も大変ですね。頑張ってください。俺達もイベント見に行きますから、じゃ、これで失礼しますっ。」
雪村は凛を引っ張り、職員室を出た。
「凛、メールは来てない。って事は夢の内容は起こらなかったって事になる……。」
「雪村、一旦部屋に戻ろうよ。それから考える。」
講堂イベントの夢の方は現実になった。しかし、予告メールの夢の方は来なかった……と言う事だが……。
凛は歩きながら考えていた。雪村のノートを信じたが、今日の結果に動揺している。
「凛、先に部屋に行ってて。俺、コンビニ行ってくる。」
「雪村、朝ご飯だったら作るから、食材買ってきて。」
「分かったー。」
部屋に向かう凛と、コンビニに向かう雪村が交差点で分かれた。